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ブルーフェアリー・ガール ~なりゆきで令嬢にドレスを貸したら舞踏会でイケメン騎士様に見初められたので、今さら元婚約者のところには戻りたくありません~

作者: 咲倉 未来

【総合日間:1位/異世界(恋愛)日間:1位】

をいただきました。

ありがとうございます!!

 ――カラン、カラン


 街の小さな雑貨屋で店番をしていたアメリは、扉を開けて入ってきた客に笑顔で挨拶した。


「いらっしゃい、エラさん」

「ごきげんよう、アメリさん」



 エラはニーライン伯爵令嬢という身の上で、事情があって先日この雑貨屋にドレスを一着持ち込んだ。


 雑貨屋はレースやリボンなどの洋裁の材料を取り扱っていて、簡単なお直しも受けてはいた。

 けれど令嬢の着るドレスが持ち込まれたのは、初めてであった。


 エラは自分が非常識な行動をとっているのは重々承知していた。それでも彼女を駆り立てるだけの事情があるのだ。


 相談を受けたアメリもまた、諸事情により最近雑貨屋に住み込みで働きだしたところであった。

 通常であれば令嬢のドレスのお直しなど街の雑貨屋が引き受けられるはずもないのだが、腕に覚えのあるアメリはこれを快諾した。



 そして約束の日の今日、エラは半信半疑で店に訪れたのだった。


「あの、それで、先日お預けしたドレスはどうなりましたか?」


 アメリは店の奥にいる店主に断りを入れると、自分の寝泊まりする部屋へとエラを案内する。



 扉を開けると、そこには先日エラが預けた桃色のドレス――ではなく、美しいドレープが波打つ水色のドレスが一着、部屋の真ん中に置かれていた。



 驚くエラを前に、アメリは勢いよく頭を下げる。


「預かったドレスじゃなくて、これを着て舞踏会にいってほしいの。お願い! このドレスはこのままだと誰にも着てもらえないの」


「どういうことですか?」


 驚いたエラは、アメリのお願いよりも彼女にそうさせた理由が気になった。

 理由を聞かれたアメリも、無理なお願いをしている自覚はあるため、経緯を包み隠さず話すことにした。


「私、元はブルーノ商会でドレスのデザイナーとして働いていたんだ」


「ブルーノ商会って、最近貴族の間で人気のドレスを扱っているところですよね。すごいわ!」


「もう辞めたんだけどね。それで雇ってくれる工房を探したんだけど全然ダメで。ドレスも作ってみたけど売るあても無くてさ」


 勢いで辞めたあと思った以上に再就職先に難儀したアメリは、持ち込み用にと作り始めたドレスが仕上がる頃には、再びドレスデザイナーとして活躍する夢を諦めざるを得ない状況になっていた。


 ただ、夢は諦めても一生懸命作ったドレスが日の目を見られないことだけが、作り手として後悔しきりであった。


 そんなアメリの元へ、偶然にもエラが舞踏会に着ていくドレスのお直しを持ち込んだのである。


 軽く十年以上前に流行ったデザインに所々シミのついた布地は、どう直しても悪目立ちしかしない仕上がりになるのが一目でわかった。


 それでも着ていくドレスが必要なのだと必死に訴えていたエラなら、アメリの作ったドレスを着てくれるのではないかと思ったのだった。


「でも、私にはこのドレスの代金は払えないわ」


「支払いはいらない。このドレスを着て舞踏会に行ってほしいだけなの。それで沢山の人に見てもらいたいんだ」


 きっと、これが最後の仕事になるから、とアメリは心の中でつぶやいた。


「私にとっては、夢みたいな話ですから喜んで引き受けます。でも、こんなに技術があるのに、どうして辞めてしまったの?」


 エラの言葉に、アメリの脳内で忘れたくても忘れられない記憶が蘇る。


「ブルーノ商会の会長の息子と三カ月後に結婚する予定だったんだけどね。用意していたウェディングドレスを売られちゃって、破談になったの」







 アメリのドレスは貴族の間で非常に人気があり、その腕を認められてブルーノ商会の会長から息子テイラーとの結婚を打診された。

 二人とも幼少期から知っている仲で、互いに相手への不満もなかったので、トントン拍子に話は進んでいたのだが――。


 ある日、休憩時間にアメリが部屋に戻ると、毎日少しずつ作りつづけていたウェディングドレスが消えていたのである。

 泥棒が入ったのかと慌てて婚約者のテイラーに相談にいくと、そこで信じられない話を耳にしたのだ。


『アビゲイルの友人が、急ぎで結婚式を挙げることになって我が商会にドレスを注文しにきたんだ。既製品は嫌だといわれて仕方なく君が作っていたウェディングドレスを見せたら、すごく気に入ってしまってね。その場で購入してもらったよ』


『はぁ?!』


『ごめんなさい、アメリさん。相手は貴族のご令嬢で、断りづらくて……』


 テイラーの斜め後ろで、彼の妹であるアビゲイルが申し訳なさそうな顔で謝罪するが、許せるはずがない。


 朝から晩まで足が棒になるまで働いたあと、寝る間を惜しんで作りつづけていたウェディングドレスである。


『ふざけないで。今すぐ返してもらってきてよ!』


『もう支払いが済んでしまったから無理だよ。それに君ならいくらでも作れるだろう?』


『結婚式まで三ヵ月しかないのよ? 舞踏会開幕前の繁忙期で時間だって取れないじゃない!』


 今年は王太子の婚約者選定も兼ねた舞踏会があるせいで、例年の倍以上にドレスの注文が殺到していた。

 王太子がずっと婚約者を決めないことで令嬢達が婚約を見送っていたのだが、今年は遂におこぼれに預かれそうだと考えた子息達の一張羅の注文も、山のように入っている。


『……なら、店にある既製品に手を加えるとかして、間に合わせればいいじゃないか』


 テイラーの身勝手な発言に、アメリの堪忍袋の緒が怒りの炎で焼き切れた。


 ――こんな奴と、絶対に結婚なんかしない!


 二人は盛大に喧嘩し、決別したのだった。







「た、大変な苦労をされたのですね」


「結婚しなくて正解だったと思っているから。でも、エラさんだって事情持ちでしょ?」


 古いドレスを街の雑貨屋にお直しに出す令嬢など、普通ではない。


「私は、母を亡くして父が再婚した方と折り合いがつかないといいますか。義理姉と二人で雑用をたくさん言いつけてきて、ドレスを作らせてもらえないくらいです」


 控えめに言っても虐げられているのは明白だった。


「私も母親は子供のころに死んじゃったな。お針子していた母のおかげで、そのまま仕事させてもらえたから良かったけど」


 互いに共通点を見出し、互いの希望を最高の形で叶いあえた二人の仲は、急速に近づいていく。


「でも、よかった。このドレスを着てもらえる人ができて。今年は山ほどデザイン画を描いたけど、どのドレスも仕上がりを見られなかったのだけが心残りなのよ」


「なら、アメリさんも舞踏会に一緒に行きましょう。きっと誰かが着ているはずです」


「え、は?」


「シーズン初めの舞踏会は、王太子殿下が貴族から平民まで招待状を配りましたから。アメリさんも参加できるはずです」


 確かにアメリの元にも招待状は届いていた。


 なんでも王太子が意中の女性を見つけるために、国中の女性を招待すると公言していたからだ。

 ただ、実際には平民で舞踏会に参加できる装いを準備できるのは、限られたごくわずかな金持ちだけであり、これらはただの演出だろうと思われていた。


「そ、そうは言っても、ドレスだって」


「ありますよ。ここに桃色と水色のドレスが二着。私は桃色を着ますから、アメリさんは水色を着てください」


「いや、それはいい。私は水色のドレスを着てもらった姿を見たいだけだもの」


「ハイヒールや宝石類なら私が用意します。一緒に行きましょう!」


 エラの強引な誘いと、もしかしたらデザインしたドレスを一目見られるかもしれない誘惑に負けて、アメリは舞踏会へ参加することにしたのだった。




■□□


 舞踏会当日――

 城までの交通手段を持っていないアメリとエラは、軽装姿で乗り合い馬車をつかい、城の近くまで来たあと控室を借りて身支度を整えていた。


「え、顔と名前しか知らない相手と再会するために、舞踏会に出たかったの?」


 エラがどうしても舞踏会に出たがっていた理由を聞いたアメリは、コルセットの紐を絞めていた手が思わず止まる。


「でも、シーズンオフの領地で子供のころから毎年お会いしていました。会えない年もありましたけど、今年はシーズン初めの舞踏会に参加するから、そこでの再会を約束したのです」


(どうして上手くいくと思えたのかしら。――ちょっとオツムが弱い子かもしれないと思っていたけど、本当に弱かったのね)


 騙されたか遊ばれた可能性もあるのに、エラは相手の男性ときっと再会できると信じて疑っていない様子であった。


「アメリさんが素敵なドレスをプレゼントしてくれたから、余計に運命を感じました」


 エラのおめでたい思考は、アメリの水色のドレス(お願い)でさらに増長していたらしい。

 アメリはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 そんな空気を気にも留めずにエラは夢見心地で話し続ける。


「アメリさんは、まるでブルーフェアリーのようですね」


 青い薔薇(存在しないもの)に宿るとされるブルーフェアリーのことを、この国では奇跡のたとえとして使う。

 あり得ないような奇跡が起きたなら、それはブルーフェアリーの加護があったのだと人々は感謝を捧げるのだ。


「それは、褒めすぎじゃない?」

「そんなこと。私ひとりでは乗り合い馬車も乗れませんでしたから」


 エラが本当に行き当たりばったりで舞踏会に参加しようとしていたのだと知り、アメリは開いた口が塞がらなくなった。





 開演時間を少し過ぎた頃、二人は会場入りをした。

 すでにダンスフロアには人が溢れかえっていて、この中から特定の人を探すのは容易ではないと直ぐに分かった。


「大丈夫です! きっと会えますから」


 エラが会場を歩いて目的の男性を探す後ろを、アメリは周囲を見回しながらついていく。


(あっちにもある、あれも、これも――)


 ブルーノ商会でアメリがデザインしたドレスを、会場のいたるところで目にすることができた。


(やっぱり人気なのよ。それに私のデザインしたドレスは、他の工房の作品よりも素敵だわ)


 身内の欲目、もしくは自画自賛の類が多少は混じっていたが、自信を無くし志を失っていたアメリにとって、その光景は萎んだ心をよみがえらせるのに十分であった。

 アメリの頬が紅潮し心が弾んでいたとき、エラもまた大きく目を見開いていた。


(いた、あの人だわ。間違いない。でも――)


 動揺し一歩後ろに下がると、着いてきていたアメリにぶつかって、それ以上は下がることができなかった。


 その間に、男性はしっかりとエラの目線をとらえて向かってくる。

 正装に使われた特別な色に、胸元の勲章に――。彼の動きに合わせて人々が道を譲っていく。


「お待ちしていました。――会いたかったよ、エラ」


「あ、お――お久しぶりです。グレイ――殿下?」


 王太子にあやかって同じ名前を付けたがる人々は国中に沢山いた。

 継母と義理姉から躾の不出来を理由に社交場に出させてもらえず、貴族や王族の顔をまともに見るのも今日が初めてであった。


 エラはまさか自分が会っていた人が、王太子本人などと思っていなかったのである。


 ショックで距離を取ろうとするエラの手を、逃がすまいとグレイがつかむ。


「逃げないでよ。傷つくな」

「だって、聞いてないもの」

「言ったら、態度が変わってしまうかと思ってね」


 動揺するエラの後ろではアメリも同じく驚いていた。

 目の前で奇跡のような出来事が起きたのだ。


(エラの方こそ、ブルーフェアリーの加護がついているようだわ)


 この日、長年婚約者選定を避け続けた王太子が、ついに意中の相手を見つけたのだと国中が知るところとなった。







 フロア中央で、グレイとエラがファーストダンスを踊っている。それを壁際で眺めるアメリの横には、グレイの側仕えである騎士のルークが立っていた。


「アメリさんは踊らなくて良かったのですか? 私でよければパートナーを務めますよ」


 親切な申し出も、アメリにとっては残念な話にしかならない。


「私、貴族出身ではないので踊れません。お気遣いありがとうございます」


「そうでしたか」


 それ以上の会話が続かなかったので、沈黙が苦痛になる前にアメリはこの場を解散できるよう仕向けることにした。


「ルーク様は、誰かお目当ての令嬢のところへ行かれなくてもよろしいのですか?」


 王太子狙いの令嬢たちが、先ほど全員婚約者募集中に看板を掛け替えたところである。

 同時に見目麗しく装った子息達が、急に活発に動き出してもいた。

 ファーストダンスが始まる直前まで物凄い勢いで声を掛けていたし、今も次の曲でパートナーを得るために、いたるところで駆け引きが続いている。


「私に婚約者はいませんし、今日は殿下の護衛も兼ねていますから」


「お仕事熱心なのですね。素晴らしいです」


「同僚には、仕事バカだと言われていますね。何人か令嬢を紹介されたのですが、最後には『仕事と私とどちらが大事か』と問われてしまって、終わってしまうほどです」


 ルークは自分の情けない話を雑談として提供したつもりだった。


 けれどアメリの脳内では、元婚約者の不機嫌に歪んだ顔と、大きな声が響き渡った。



 ――アメリは仕事ばかり優先する。僕より仕事のほうが大切なんだろう!


「――せめて、仕事と同じくらい愛してほしいと言ってくれたら、こちらだって頑張れるのに。残念ですよね」


「え?」


「だってそうでしょう? 仕事は生きていくために辞めることなどできません。対価に見合った成果を出そうと思えば真剣に努力するものです。それとパートナーを天秤にかけるような質問は、相手を追い詰めるだけで良いことがひとつもありません」


 アメリは思い出したテイラーに対して腹を立てた。

 ウェディングドレスの件以外にも深く気にしていなかっただけで、引っかかる発言はいくつもあったのだ。


 やはり結婚しなくて正解だったと確信する。


「そう言っていただけると、何だか心が軽くなりました」


「? それは良かったです」


 アメリはルークを見上げてにこりと笑った。彼は非常に柔らかな微笑みを浮かべていて、整った顔立ちが輝いて見える。


(王太子様も見目麗しかったけど、こちらの方も負けず劣らずね)


 この顔なら狙っている令嬢はさぞ多いのではなかろうか。

 アメリが悟られないよう周囲を見渡すと、憎しみの込められたいくつかの視線と目があってしまった。


「あー。次の曲を踊りたいお嬢さん方が声をかけたそうですよ。ぜひお誘いしてはいかがです?」


「いえ、お気遣いなく。それに殿下を待つあいだ、こうしてアメリさんと一緒に有意義な時間を過ごすのも悪くない」


 仕事に遠慮する令嬢は何人も知っていたが、仕事を理解してくれそうな女性と初めて出会ったルークは、アメリに興味を持ったのだった。


 アメリとルークが穏やかに会話を楽しんでいると、やがてファーストダンスの曲が終わりを告げる。

 足元がふわふわとおぼつかないエラの体を、グレイがしっかりと腰に手をまわして支えながら戻ってきた。



 戻ってくるグレイとエラよりも、アメリは周囲の動きが気になった。


 ダメもとで次のパートナーに立候補したい令嬢が、徐々に距離を詰めてきたのである。もしくは王太子に見初められたエラと、仲良くしたいだけかもしれないが。


 気になるのが、この人だかりで何故か手に赤ワインやソースをたっぷりかけた肉の皿を持っている者が数人いるのだ。


(私の作ったドレスが汚れたら、どうしてくれるのよ!)


 思わずエラを庇う位置にアメリが進み出ると、同じく危険を察知したルークが横に立つ。


「きゃ~、ごめんなさ~い」

「足元になにかが~」


 酷く間延びした声とともに、放りだされた皿とグラスがルークとアメリに降りかかる。

 ルークがアメリを庇うように少し前に出たため、彼が一番の被害を受けてしまった。おかげでアメリは、ドレスの裾を少し汚した程度で済んでいた。


「アメリさん、大丈夫ですか!」


「私は裾を少し汚した程度で――っ! 預かっていた大切なドレスなのに。直ぐに染み抜きしないと! ルークさんもそのままだと衣装がダメになってしまいます。一緒に行きましょう」


「私は大丈夫です。アメリさんは先に行ってください」


 ルークは皿とグラスを投げ出してなお、悪びれずにグレイに近づこうとする令嬢を止めていた。


「わかりました。少々失礼いたします」


 アメリはその場を辞して、荷物を置くために借りていた控室へと向かう。

 残されたエラは、ルークが止めている令嬢のひとりを見て思わず口に手を当てる。


「お、お義姉(ねえ)さま!」


「エラ、あなたばかりズルいわ。わたくしにも殿下を紹介しなさい!」


 その猛々しい姿に、エラは異常なほどに怯えた。

 エラの待遇があまり良くないのではと以前から危惧していたグレイは、その想像が事実であることを確信する。


「ルーク。私はエラの具合が良くなるまで別室で休むことにする。お前も程々で着替えてこい」


「御意」


 エラはグレイに保護されて、そのまま城に滞在することとなった。


 夢が叶い愛する人との再会を果たしたエラだったが、彼女に悲しい事件が降りかかる。



 このとき以降、アメリが姿を消してしまったのである。




□■□



 アメリが行方不明になってから一ヵ月が経過したが、彼女は今も行方知れずのままであった。

 エラは与えられた城の一室で毎日泣き暮らし、その様子にグレイも心を痛めていた。


「エラ、そんなに泣いてばかりいると、瞳が溶けてしまうよ」


「だって、アメリさんが――っうぅぅ」


(やっとエラと結ばれたと思ったのに、困ったものだな)


 一ヶ月も行方知れずならば、本人が名乗り出る気がないか最悪の場合を想定するしかない。

 その話をルークにしたならば、信頼厚いはずの側近はグレイを射殺さんばかりの勢いで睨みつけてきた。


(エラもルークも、アメリさんと過ごした時間はほんの僅かだというのに。――どうやって心を掴んだのやら)



 信頼とは関わった時間以上に、交わした言葉や共有した考え方に影響される。


 エラは暢気な性格を周囲からバカにされ、怒られることが多かった。

 そんな彼女の人生で一番ともいえる無茶振りを、アメリは苦笑しながら文句ひとつ言わずに付き合ってくれたのである。

 古いドレスはそれなりに蘇り、エラはもっと素敵なドレスで舞踏会に参加することができた。城までの道のりもアメリのおかげで順調だった。

 エラがグレイと再会できたのは、アメリのおかげなのだ。


 ルークは、あの時アメリと一緒に移動する判断をしなかったことを後悔していた。

 もう少し話がしてみたいと思っていただけに、その後の失踪は彼の心に深い闇を宿らせた。

 グレイの言うとおり死んでしまっていたら、もう話すことも会うことも叶わないのだ。

 その事実がルークに言いようのない無念と執着を募らせていたのだった。



「できる限りのことをしよう。もう一度アメリさんについて知っていることを全て教えておくれ」


 グレイは、愛するエラと頼りにしている側近のルークのために、アメリを探し出すことを心に決めたのだった。











 高い天井に四方を壁に囲まれ、棚には乱雑に積まれた冊子が並ぶ。無機質な部屋で、アメリは今日もドレスのデザイン画を描いていた。

 足には頑丈な鉄の枷が嵌められていて、部屋には生きていくために必要な最低限のものが揃えられている。

 扉には小さな小窓が取り付けられていて、一日三回そこから食事が提供されていた。


 アメリは縮んだ背中を伸ばすと、持っていたパステルを置き用紙の上の余分な粉を吹き飛ばす。

 うっかり吸い込んだ粉末にせき込み、治まると深い溜息をついた。


(今日のノルマはこれで終わりだけど。もう少し描いたほうがいいかしら)


 心を保たせるために、アメリは慣れた作業に集中することで考えることを放棄しがちであった。これではいけないと首を横に振り、頭を乱暴に掻き毟る。


 その髪は、肩より上の長さまで無残に切り落とされていた。


 この部屋に閉じ込められた当初、隙を見て髪留めに使っていたピンで枷を外し逃げ出そうと試みたのだが、あと少しのところで見つかってしまった。

 ピンで開錠したことが知れると、結ぶ必要のないようにと髪を切られたのだった。


 あれから何日過ぎたのだろうか。日を追うごとにアメリの中で希望も目的も何もかもが薄らいでいく。

 何も考えずにデザイン画だけ書き続けるほうが、いっそ楽だと思えるほどに身も心も追い詰められていた。



 ――コンコン



 ノックのあとは、いつだって遠慮なく扉が開かれる。

 扉の外にはアメリの元婚約者、テイラーが立っていた。




「進捗はどうだい? ――今日の分は全て仕上がっているね。相変わらず君のドレスは人気があるんだ」


 アメリのウェディングドレスを勝手に売り払い、そのことで喧嘩別れをしたあと、テイラーは父親に酷く叱られた。

 その後はドレスのデザインが思うように仕上がらず仕事で苦境に立たされる。アメリを呼び戻そうとしたのだが、彼女の行方が掴めずに困っていた。


 舞踏会の日、テイラーは決まったパートナーのいないアビゲイルのエスコート役として会場にいた。

 そしてアメリを見つけ、彼女がひとりになった隙を突いて連れ去った。

 事がうまく運んだことで、ブルーノ商会は再び優秀なデザイナーを取り戻すことに成功したのだった。




 テイラーの言葉に反応せず、机に向かったままぼんやりと宙を眺めるアメリの前に一枚の紙が差し出される。


「ドレスのデザイン画と製作の募集だ。なんでもやっと決まった王太子の婚約者が、気に入ったドレスを用意しなければ婚約発表したくないとごねたらしい。とんだ我儘女が未来の王妃に選ばれたもんだよな」


 テイラーが裏で貴族をこき下ろすのは、いつものことであった。


「次はそのデザイン画を描いてくれ。仕上がったら直ぐに製作に入る。君のドレスなら間違いなく予選のデザイン審査は通るだろうからね」


「王太子妃様のドレスなら、私も製作に関わりたいわ」


 全てに無反応を貫いていたアメリが急にしゃべりだしたことに、テイラーは片眉を上げてその心境を探る。

 けれどきっかけがなんであれ、ドレス作りを愛しているアメリが大舞台にやる気を出したのなら、気持ちを削ぐのは逆効果だろうと判断した。


「わかった。ひとりで全行程は難しいだろうから、簡単な作業はいつも通り雇人をつかって進めてくれ」


「はい。ありがとうございます」


 従順なアメリの反応に気をよくしたテイラーは、その後も精力的にドレスを作る彼女の姿を見て安心したのだった。




 アメリのドレスのデザイン画は、予選を通過し実物で競い合う本選へと進んだ。



 本選用のドレスを縫う手を止めると、アメリは両手を組んで祈りを捧げた。


「――お願いします、助けて下さい。ブルーフェアリー様」


 変わらず狭い隠し部屋に足枷をはめたままの生活で、アメリの心は日々擦り減っている。


 仮にドレスが選ばれてエラがアメリの存在に気付いたとて、ブルーノ商会の屋敷の奥にあるこの部屋から助け出すことなど容易ではない。


 彼らがアメリの存在を指摘したところで、テイラーが知らぬ存ぜぬで押し通してしまえば終わりだ。


 気を抜くと絶望的な未来ばかりが思い浮かんだ。



 ――諦めなければ、奇跡は起きる



 絶対に出会えるはずがないと思っていたのに、エラは見事に運命の相手と再会を果たした。しかも相手はこの国の王太子だ。

 それにエラのおかげで、アメリは自分がデザインしたドレスを舞踏会で見ることが叶ったのだ。



 ――奇跡は起きる。絶対に、何度でも



 そう信じるに足るだけのものを、エラは見せてくれていた。

 その希望にすがりながら、アメリはドレスを仕上げていく。


 幾重にも花弁を重ねたスカートは、まるで一輪の薔薇を連想させる。

 大輪の薔薇の造花を、絞った腰のアクセントに縫いつければ、鮮やかな青が美しいドレスの完成だ。


「きっと気づいてくれる。エラだったら、きっと――」




 仕上がったドレスをテイラーに預けた数日後、アメリのドレスが選ばれた知らせがブルーノ商会に届いたのだった。








 婚約発表で着るドレスの追加とウェディングドレスの注文のために、王太子が直々にブルーノ商会へ足を運ぶ話となり、テイラーは舞い上がっていた。


「やった。これで我が商会も王家御用達になれる!」


 テイラーは、当日サプライズでドレスのデザイン画を出すことを思いつき、アメリに仕事の指示を出すことにした。

 今後王太子妃のドレスをデザインすることになるので、そのことも説明して良いものを作るように言い聞かせる。


「ご本人の好みを聞くために、私も打ち合わせに同席させてください」


 急に前のめりの姿勢で仕事に口を出してきたアメリを、テイラーは訝しんだ。


「王族相手だし僕が取り仕切る。アメリは変わらずここで指示に従えばいい」


「良いものを作るなら相手と直接話をしないと。上手くできる自信がありません」


「本当は顔見知りの王太子妃になる女に助けてもらうつもりなんだろう? そんなことさせるわけがない」


 食い下がるアメリの本心をとっくに見透かしていたテイラーは、彼女の愕然とした顔を見て笑いだした。


「舞踏会で誰と一緒にいたのかを見ていなかったとでも? あの日お前とその連れは目立っていたからね。おかげで直ぐに分かったよ」


 言いながらテイラーは底意地の悪い笑顔を浮かべた。


 審査を突破しさえすれば、その先は相手の好みに合わせて作るだけでデザインは対応できるだろう。

 目の前で項垂れているアメリはしばらく使い物にならないだろうが、諦めた頃にまた働かせればいい。


「また来るよ。おバカさん」


 テイラーは部屋を出ると、鍵を施錠し何度も確認してから立ち去った。







 暗闇に包まれた部屋の中で、アメリは絶望の淵に立たされていた。

 やっとエラに居場所を伝えられたのに、ここから抜け出せなければ、なんの意味も無くなってしまう。

 必死に作ったドレスは、いまやブルーノ商会が飛躍するのに役に立つだけになってしまっていた。

 アメリはこれから一生、この部屋で飼われてドレスを作るだけの生活になるのだ。


 心に小さくともっていた光が消えかけ、己の愚かさを呪う声が聞こえてくる。



 それでも、なんとか折れそうな心を鼓舞し、責める声を振り払うように頭を振った。



 ――諦めることだけは、絶対にしたくない



 エラの奇跡を見届けていたアメリは、必要なのは信じ続ける心なのだと教えられた。

 というか、諦める選択肢は最後まで残るので、わざわざ選ばなくても良いのだと気付かされていた。



 残されている僅かな希望を探し出して、とにかく何でも、馬鹿みたいなことでもエラのように試してみるのだ。


 周囲を見回し、柱に繋がれた鎖と足首の枷に目が留まる。


 ――踵が無ければ、鍵を外さなくても抜くことができるかもしれない


 同時に、裁縫箱の中にある厚手の布専用の裁ちバサミが、頭の中をよぎったのだった。




□□■



 王太子がわざわざ一介の商会まで足を運ぶのだろうか――破格の待遇に一抹の不安を感じながらも、ブルーノ商会は王宮の使者と対面を果たす。


 挨拶を交わすと、先方からブルーノ商会が王室御用達の水準に足るかを確認したいと言われ、会長は揉み手に笑顔で大きく頷いた。


「いくつか質問したい。まずはドレスのデザイナーと会わせてほしい。私の婚約者の要望をヒアリングしデザインするのであれば、当然紹介してもらえるのだろう?」


 グレイの言葉に、テイラーはすぐにその狙いを察した。


(やはり、アメリを探しに来ているんだろうな。だが所詮は温室育ちの貴族共と同じだろう。狡猾な商人の話術でどうとでもできる)


 会長が息子へ目線を送ると、テイラーはあざとい笑顔と声色で丁寧に回答する。


「本日は別件のデザインを聞きに出払っております。打ち合わせが始まれば必ず本人を同席させますので。本日は僕が代わりに相談、要望、なんでも承ります」


「不在ならば仕方ないな。それでは次に、今からブルーノ商会が王家御用達に足る商会かどうか改めさせてもらおう」


「――それは、監査にございますか」


「ああ、なにか問題でもあるか?」


「いいえ滅相もございません。どうぞご自由にお改めくださいませ」


 ここで拒否すれば、問題がありますと宣言するようなもの。

 内心冷や汗をかきながらも会長は大きく頷いたのだった。



 許可を得ると連れてきた役人たちが、家人に案内された部屋で一斉に仕事を始める。

 それとは別でルーク率いる数人の騎士が、屋敷のとある場所にまっすぐ向かっていた。




 グレイとルークは、アメリがブルーノ商会で働いていたことをエラに聞いて、ここが怪しいと睨んでいた。

 ただ、中々証拠が掴めず、立ち入るための理由を見つけるのに数ヵ月のあいだ苦戦を強いられたのだ。


 なにか他の正当な理由にかこつけて乗り込もうとしたのだが、ブルーノ商会を一通り洗ってみても、きな臭さはあるが決定的な汚点が見つけられなかった。

 分かったのは、手を付けている大多数の商売がどれもイマイチであり、唯一順調な貴族相手のドレス工房の売り上げが、他の損失を補っているという事実だけであった。


 ならばブルーノ商会が得意とするドレスで釣ろうと、エラの婚約発表用のドレスを募集したところ、彼らは見事にアメリの存在を出してきたのだ。


『アメリがデザインしたドレスです。青い薔薇なんて絶対にそうだわ!』


 婚約発表のドレスに『青い薔薇(存在しえない)』など、嫌味と取られかねないモチーフ選定は、アメリからエラへ贈られることで、『ブルーフェアリーの咲かせた青い薔薇(奇跡)』へと意味を変える。

 元々怪しいと踏んでいたブルーノ商会から出たことで、確証を得たのだった。



 ルークは事前に入手した邸の地図から、空白の――たぶん隠し部屋だと推測される場所の入り口を探していた。


 役人が監査を終えるまでにアメリを探し出さなければ、二度と踏み込めないだろう。

 それどころか、王太子の素行を疑われる理由に使われかねないほどに、危険な橋を渡っていた。


 ――ガタン! ガタタタタタ


 何かが落下する音が響き、その音を頼りに突き進む。

 人の気配のあった部屋の扉をそっと開ける。


「――誰かいるのか?」

「ひっ!」


 小さな悲鳴のあと、ガタンと倒れる音がして慌てて中に入ると、ひとりの女が倒れていた。

 その姿が記憶の中の彼女と違いすぎて、認めるのに少しだけ時間を必要とした。


「アメリさん、ですか?」

「ルークさん。どうして――」


 ルークは絶句したまま、アメリの体を抱き上げた。

 助けにきたとか、無事でよかったと声をかけるべきなのだろうが、アメリの酷い仕打ちを受けた姿に心が押し潰されてしまい、それどころではなくなったのだった。





 ブルーノ商会の王太子訪問と監査は、予定時間を大幅に繰り上げて終了となった。


 アメリを監禁していた部屋に保管されていた裏帳簿を手にした役人が、王太子の待つ部屋へ入り、その後からルークに横抱きで運ばれるアメリが入ってきたことで、テイラーは息を呑む。


「あ、アメリ! なんでここに」


「テイラー殿、彼女はデザイン画の担当者ではないのですか?」


「いいえ、違いま――」

「私が作りました!」


 テイラーの声を掻き消すように、アメリは必死で訴えた。


「私がエラのためにデザインしました。あれは、私がデザインしたドレスです!」


 アメリのメッセージをエラが受け取ってくれたおかげで、無事に助け出され今ここにいるのだ。

 奇跡に心が震え、アメリの顔はくしゃくしゃに歪む。


「まさか初めての取り引きで嘘をつかれたうえ、なにやら良からぬ資料も見つかったようだ。一度中身を改めさせてもらおう」


「そ、そんな! お待ちください。これは何かの間違いで――」


「間違いかどうかは公正に精査するさ。その身が潔白であるのなら問題なかろう?」


 ここで拒否すれば、問題がありますと宣言するようなもの。どうしようもないのだと悟った会長は大きく項垂れたのだった。






 後処理を役人たちに指示すると、グレイはルークと助け出されたアメリに笑顔を向ける。


「さてルーク。我々も帰るとしよう。アメリさんにも同行願いたい。あなたのドレスでなければエラは私と婚約してくれないと、たいそうご立腹でね」


 グレイは多少話を盛っていたが、概ね事実であった。

 アメリの無事を見届けなければ自分の幸せなど考えられないと、毎日エラに泣きながら謝られているのだ。


「――申し訳ありません。エラさんと一度話をしてみます」


「アメリさんが見つかったなら全て解決しますから。何もする必要はありませんよ」


 グレイは軽く笑ったあと、ずっとアメリを抱きかかえているルークの不自然さに気がつく。


「ところで、ルークはいつまでアメリさんを抱いているつもりなんだ?」


「彼女は足に怪我を負っていますので、このまま私が運ぼうと思います」



 裁縫箱に手を伸ばしたあのとき、箱の奥底にあった紐通しの道具に気づいたアメリは、足枷を外すことに成功した。


 王太子訪問の当日に合わせて部屋から出たのだが、階段を上っている最中に足首を捻って一番下まで転がり落ちてしまった。

 なんとか両手両足を使って階段を上り終わった先で、運よくルークとの再会を果たしたのだった。


(数ヵ月間、ほとんど寝るか座るかしかしてなかったから、うまく歩けなかったなんて恥ずかしくて言えない……)


 ルークには、暗がりで足を踏み外したのだと誤魔化してあった。


「ふーん。なら、このまま抱えて運んでやれ。馬車も使っていいぞ。私はお前の馬で帰ることにする」


「お待ちください、殿下。その命令は従えません」


「お前、アメリさんを馬に乗せて運ぶつもりか? それとも私が乗る馬車に彼女を乗せる気か? どっちも愚案じゃないか」


「っ! ですがっ」


 主人を自分の馬に乗せ、主人の馬車に乗って城に戻るなど真面目なルークには許容しがたい状況であった。


「アメリさん、嫌でなければ馬車の中でルークを相手してやってくれ。この朴念仁が珍しく会話の続く女性と出会えたことを、私は応援したい」


「殿下!」


「なんだ。万策尽きたと嘆いた私を睨みつけたくせに! せいぜい嫌われないように努力しろよな」


 目の前で繰り広げられた軽快な会話から察するに、ルークはアメリのことを気に入ってくれているようだ。

 そんな夢のような話が本当にあるのだろうか。ここにエラがいれば笑顔で肯定してくれそうである。


(仕事に真面目な方は嫌いじゃないわ。ううん、どちらかといえば、そういう殿方は好ましいわ)



「アメリさん、その。嫌でなければ私と一緒に馬車に乗ってください」


「はい、喜んで。馬車の中でたくさんお話しましょう」



 アメリの言葉通り、馬車の中で二人は尽きることのない会話を楽しんだ。

 その内容は――仕事の姿勢についてから始まり、仕事とはいかに尊いものなのかという、まったく色気のないものであった。


 意気投合した二人は、その後、順調に仲を深めていく。

 

 そして、王太子妃のお披露目ドレスの発注を勝ち取ったブルーノ商会だが、王室御用達には当然なれず、唯一成功していたドレス工房もなぜか急速に衰退し、ある日突然、大勢の雇人をそのままに、主一家が姿をくらましたのだった。

 



 1年後――


 王太子妃教育を終えたエラが、正式にグレイとの婚姻を結ぶ。

 結婚式当日、純白のドレスに身を包み幸せそうに笑うエラと、その姿に目を細めるグレイの傍らには、王太子の側近であるルークと、王太子妃の衣装係となったアメリの姿があった。


 真面目で仕事優先な二人は、主人たちの結婚式が終わったあと小さな教会で簡単な式を挙げようと計画していた。

 けれどその話を知った王太子夫妻が待ったをかけて、盛大な結婚式へと転向したのだった。


~End~

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