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第9話 運は追加されてないと思う

 「はあ、今日は疲れたなぁ」


 僕は、受けてあった依頼の採取を一人でしていた。

 結局チェミンさんは、父親とルンルンで帰って行ったのだ。半日損した気分。

 それにしてもパラメータに運だか追加されていたけど、良くなってないよね絶対に!


 うんうん。なってない。パーティーは追い出されるし、変な親子には関わるし。まあいいけどね。死ぬ目にあってないから。


 さて、採り終わったし帰るかな。

 その日は、疲れていたからすっかり忘れていた。彼女とパーティーを組んだままだったと。

 気がついて連絡を取ってもらってやっとチェミンさんは現れた。この前父親が連れていた冒険者の二人と一緒だ。


 「ごめんなさい。ご迷惑をお掛けました」


 脱退手続きが終了した。これでソロに戻ったわけだ。


 「ところで錬金術師にはなるの?」


 ならないと首を横に振った。だよね。結婚しない為の口実だったわけだし。


 「ねえ、今日空市しているの。街に来ない?」

 「へ? あぁ、行っても何も買えないし」


 見て欲しくなったら悲しいから行かないでおこう。


 「お礼に何か買ってあげるわ」


 ガシッと僕の腕を取ると、行かないと言ったのにチェミンさんはぐいぐいと引っ張る。


 「お付き合い下さい」


 ボソッと護衛の冒険者の一人に言われた。

 仕方がない。今日は採取は休んで行くか。

 って、馬車に乗せられた。その馬車に、父親が乗っているではないか!


 「この前は世話になったな」

 「はぁ……」


 お礼を言う為にこれに乗って来たの?

 驚きだ。


 「君に言われて自分がなんと恐ろしい事を娘にさせているか悟った。本当に君が言う通り、チェミンが君でない者を選んでいたらとゾッとしたよ」


 反省はしたんだ。


 「君は、命の恩人だ!」

 「は? いやいや大袈裟な」

 「だが嫁にはやらん」


 いえ、僕もいりません。凄く大変そうだ。


 「空市には、掘り出し物もある。冒険に役立つ何かをお礼に贈りたい」


 って、なぜまた空市なのか。結構ケチなのかも。


 「お気遣いありがとうございます」


 一応礼は言っておこう。

 空市は、街の公園で開かれていた。出店が並んでいる。大抵のところは、珍しい骨董品などが売られている様だけど、僕から見るとガラクタにしか見えない。後は、マジックアイテムやダンジョンから発掘されたアイテムが売られている。


 「こっちだ」


 見て回るのかと思ったらもう行く場所は決まっているみたい。


 「お待ちしておりましたよ、エドラーラさん」

 「これなんかどうだ」


 チェミンさんの父親が店主から受け取った剣を僕に手渡す。もう僕に買う物が決まっていたのか。


 「鑑定」


 こっそりと鑑定を行う。


 『ロングソード』武器ランク:F

  長めの剣

  ◆攻撃力:15


 うわぁ。普通のロングソードだよ。僕が今使っているのよりちょっと攻撃力があるだけだ。どうせなら服がほしいけど、ここにはないか。


 「ありがとうございます」

 「君、何か欲しい物あったら買って行ってよ」

 「はぁ……」


 パーッと見た所、冒険者向けらしい。けど、ここに冒険者なんて見に来るのか?

 ほぼ武器が並べられていて、たまにマジックアイテムだろう指輪やネックレスがある。

 その中に一つだけ、箱が置いてあった。五センチ四方ぐらいの黒い箱。


 「それって何ですか?」

 「これかぁ? 何でも古い屋敷を取り壊す時に見つかったいわく付きの箱なんだ。封印がしてあって剥がせないから鑑定してもらったら、MP3,000以上が必要だとか。どうだ。記念にいるか?」

 「え? くれるの?」

 「あぁ、やるやる。開けられるやつなんていないからな」

 「ありがとうございます」


 開けられる奴はここにいるんです!

 こっそり鑑定すると、封印されていて条件が言った通り、MP3,000以上だった。

 楽しみだな。何が入ってるのかな?


 「剣より嬉しそうだな」

 「え? いや、ロ、ロマンがあるなぁって」

 「さすが冒険者。そんな得体のしれない物で喜ぶとは」


 うん。冒険者に偏見持ってますか? チェミンさんのお父さん。


 馬車でギルドの近くまで送ってもらった僕は、密かに開ける為人気のない場所へと向かった。草原の脇。林との境に僕は来た。

 周りをぐるりと見て確かめると誰も居ない。


 地べたに座り、ぺりっと封印をはがす。


 「本当にはがれちゃった」


 深呼吸して、そっと箱を開けた。すると、黒い煙の様なモノが僕の顔目掛けてきた!


 「うわぁ」


 目を瞑るも激痛が走った!

 こんなトラップってあるか……。やっぱり運ないよ。

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