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28:侵略者の使い



ゴト、ゴト、と馬車が揺れる。




「じゃあな」

茶髪の少年はそれだけ言って立ち去り、

「お互い頑張りましょう」

三つ編みの少女は軽く頭を下げて彼を追った。


「ではまた会おう」

金髪の少年は華麗にその場を去り、

後ろから彼の仲間達がそれを追った。


黒髪を短く切った少女はハイタッチだけをして見送り、

「またね、アルレイ」

輝く美少女はこちらに手を振ってから彼女の隣に並んだ。


「君ならできるさ」

白髪の少女とは拳を軽く合わせ、


「おし、ちゃんと死んでこいポンコツ」

銀髪の少女とはいつも通り話し合った。






「先輩、そろそろ着きますよ。……先輩?」


黒髪を後ろで一つに纏めた少女がこちらを覗いている。


「これが正真正銘最後の戦いかな」


「いつ敵が居なくなるかも分かりませんし長期戦を覚悟しておいた方がいいですけどね」


「それもそうか」


ゴトン、ゴトン。


段々と揺れが収まってくる。

目的地に到着したようだ。


立ち上がり馬車を降りる。


天使教会の人が迎えに来てくれていたのでその案内に従って戦場へ向かう。


案内の人はそれなりに速く走っているがあまり疲れた様子はない。

こういう人が町を守ってくれるからいつも安心して眠れるのだ、とぼんやり考えていると目的地に到着したようだ。


何人もの人がテカテカとした化け物達と戦っている。

ちなみに天使教会ではこいつらを侵略者の使い、という意味で「使い」と略して呼んでいるらしい。


「三体か」


今のところ動いているのは三体で、停止している、恐らく死んでいる個体が、見える分だけでも五体は確認できた。


「勇者到着しました!」


案内してくれた人が声を上げる。


すると、戦いを見ていた男性がこちらに寄ってきた。


「到着してすぐで悪いが、一人一体担当できるか?時間を稼ぐだけでもいい。こちらで一体処分したあと援護に入る」


隣のメイリーを確認するとこちらを見て軽く頷いた。


「大丈夫です」


代表して俺が発言する。


「了解した。………勇者様のご登場だ!A班、C班は下がってB班の援護に入れ!」


彼が戦っている人達に指示を飛ばすと彼らはすぐに行動し、二体の「使い」から離れ一体の使いを相手し始めた。


それを二体の使いが追おうとするがその内の一体にメイリーが斬りかかった。


もう一体はこちらに気づいたようで進路を変更して襲いかかってくる。


刀を抜いてそいつの外殻を軽く撫でる。


使いが二本の腕で襲いかかってくるが大振りなので軽く移動して避ける。


「うーん、硬めかな」


一つ、呼吸をする。


使いがその口を大きく広げて近づいてくるので後ろに跳んで範囲内と思われる場所から逃げる。


剣を振る。


とりあえず頭と思わしき部分を胴体と思わしき部分から切り離した。


ドサリと倒れる使い。


一応動く気配はないので周りの様子を見る。


メイリーがまだ戦っているのと、天使教会の人達がなんだかよく分からない武器を使って使いを弱らせているのが確認できた。


新たに現れる使いは今のところ居ないようで空を見ても何かが降ってくる様子はない。


さっきは戦っている人達だけを見ていたが後ろの方で休んでいる人達も見えた。


恐らく交代して降り続ける使い達に対応しているのだろう。


メイリーが使いに剣を突き立ててから魔法を使用すると、使いの動きが止まった。


恐らくあれで死んだとみなしてもいいんだろう。


それに遅れてもう一体の使いが天使教会の人達によって倒される。


とりあえずさっき俺たちに指示を出した人のところに行くことにした。


「到着してすぐの戦闘ですまなかった。応援に来てくれたこと、本当にありがたく思う」

「恐縮です。……使いについて聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」

「何だろうか?」

「私が最初に見た個体とは違う形だったのでどれほどの種類があるのか聞きたいのです」


実は先ほどの個体だが、口を開いて襲いかかってきたとき、何本か牙のようなものが見えた。

確か、最初に見た個体は口の中はぽっかり穴が空いていただけだった。

戦闘に特化したものが居るのか、こちらに来てから形を変えたのか。


「ふむ、君がみた個体について聞いてもいいかな?」

「はい ———————」



彼との会話によって、使いは地上に降りてきてからその姿を変えることが確認できた。


つまるところ、この先もっと戦闘に特化した使いが現れる可能性があり、現在は対応できていても、いずれ対応できない個体が現れるかもしれないということだ。


彼は、まだ余裕があってもう少し数が多かったり強い個体が現れても問題ないと言っていたが不安は残る。

恐らく彼もこのままでは危ない可能性があることくらい分かっているのだろう。




「ま、不安を感じさせないくらい威厳があってちゃんとここのリーダーとして働いてたけどね」

「彼、時々戦闘にも参加していましたが中々の強者ですね。武器はなんだかよく分かりませんでしたけど」


深夜、宿の中で二人揃って剣の手入れをしながら会話する。

リーダーさんは「戦うためにはちゃんとした休息が必要」と言っていたので俺たちは今戦線から離れてベッドで休むことになっている。


数時間休んだらまた使い達の相手をする。


今日だけでも10は倒した気がする。

今まではつるんとした手だったが、そこに鋭い爪を生やした個体もいた。


「あの武器なんなんだろうね?目を凝らしてみたら何か打ち出されてたけど、何かの魔法かな?」

「なんでしょうね?」


しばらく考えてみたが思い浮かばないので天使教会の新兵器ということで話は纏まった。


ベッドに入って目を瞑る。


ちなみに今回の二人部屋の理由は、もはや伝統だからという理由ではなく、お店の人が気を利かせて「二人部屋ですよね?」と聞いてきたので「じゃあそれで」と頷いただけである。


「おやすみ、後輩」

「おやすみなさい、先輩」


まだ、起きてたんだ……


返事が返ってきたことを嬉しく思いつつ、眠ることにした。


今日に限って23時投稿になった理由は直前まで書いてたからです。


割と投稿時間がズレることがあるのでお待ち頂いてる方が居たら申し訳ありません。

0時超えたら今日はないかなーと思って寝てもらって大丈夫です。

起きた時に1時か2時に投稿があれば書いてたんだなぁって思って下さい。

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