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27:終わらない戦い


コツコツと地面を歩く、走る必要はない。


「それでミーフィスさんが呼ばれたんですか」

「えぇ、彼女は適任です」


キューロックさんが軽く頷く。


ミーフィスさんはキューロックさんがこの事態を予想して予め魔大陸に呼んでいたそうだ。


ちなみに、魔大陸を脱出する為に転移魔法を使うのだが、現在いる場所だと少し遠いのでもう少し山々に近づかないといけない。



「んで、奴らは結局何者なんだ?」

ホリアスが不機嫌そうに言う。


「彼らは侵略者ですよ、この星へお越ししに来たんです」

「侵略者、ですか」

トーレラさんがホリアスに背負われたまま呟く。


「はい、星の外より飛来せし者。侵略者です」

「それに対抗するのが我々なのかな?」

アマリアは静かにそう言った。


「いいえ、貴方達は自分達の種族の防衛をするのがよろしいかと」

「守るだけ?」


一定時間耐久すれば敵はどこかへ行くのだろうか?


「はい、殲滅に関しては専門がいますので」

「それは天使教会の使いなのかな?」


アマリアがキューロックさんへグイッと詰め寄る。


「そうですね、そんなようなものです」

それに対してキューロックさんは曖昧な答えを出した。


答える気は特に無いらしい。


「ていうかさ、やっぱり人族が住んでるところにも来てるんだ?」


その場合、魔王討伐の報告とかどうするんだろう。

予定通りなら勇者育成機関まで戻るんだけど。


「彼らは現在この星を覆い尽くすように襲来しています。もちろんこの星が彼らに乗っ取られるようなことにはならないと思いますが」

「覆い尽くすって、あの岩みたいなのがどこでも浮いてるってこと?」

「そうなりますね」

「やばいじゃん」

「そのための専門です」

「すごいじゃん」

「そうですね」

「じゃん」

「先輩、もう黙りましょうか?」

「酷いじゃん?」

「酷くないです」


ぷいっと顔を背けるメイリー。


「それと、人族の方へ帰ったら勇者育成機関へ天使教会伝いに連絡を入れておきますので心配無用ですよ、勇者さん」

「お、そうなんだ、助かる」


とつとつと目的地に向かう。

ちなみに俺はどのくらい近づけばいいのかは知らない。

アマリアが転移魔法を使うので彼女の指示があるまでは特に何も考えずに歩く。


「結局なんだけどさ、人族の方に帰って何すればいいの?守るっていっても一箇所に纏まるわけじゃないんでしょ?」

「そうですね、天使教会などの各国の防衛組織が大体は守れるのでその補助をしてもらう形になります。派遣先についても天使教会で指示が出ると思いますのでそれによりますね」

「指示待ちってことね……本当に分かんないの?」

「知りたいですか?勇者さん」

ジッとこちらを見つめてくるキューロックさん。


「いえ、結構です」

「あらら、つれないですね」

「そんなに聞いてほしそうにされるとついね」


こればかりは仕方ない。


「ここで十分だよ。さあ、魔法を使うから集まってくれたまえ」


アマリアが少し集団より前に行くと立ち止まり、彼女の足元を杖で小突いた。


「どんくらい時間かかるのー?」

「それなりに人数が居るからね、私としてはやり甲斐を感じるところさ」

「頑張れー」


気怠げに喋るロリっ子だが、ひとつ疑問がある。


「角族の守護とかしなくていいの?」

「んー、表に立つのが面倒くさい。ゆーて、何とかなるじゃろ、人間と違って性能高いし。それに新しい魔王が現れるのに丁度良い困難じゃよ」

「でもこっちで結局働くんじゃないの?」

「んー?儂は別に自由じゃぞ。人族を守る理由もないしの。角族も自分たちで何とかするじゃろうし、体が鈍らないくらいに動いて後は寝るくらいじゃなー」

「怠惰だ……」

「ちなみにこのくらいの怠惰度では怠惰は見向きもしませんね」

「怠惰だ…………」


「さて、準備完了だ。ピッタリ地面には転移できないから少し浮遊感があると思うがそこは我慢してほしいな」


「結局殆どミーフィスさんと話してないんだけど……」

「あら、私と話したかったの?」


そう言って彼女は小さく笑う。


輝くような彼女を見ていると景色が一瞬で切り替わり少しの浮遊感の後地面に足が付いた。


「んで、ここはどこかな」

周りを見渡す。


すぐに目に入ったのは大きな街だった。


「ズイシャの街です」

「どもー」


キューロックさんと軽く話してから周りに全員居るか確認する。


「後輩よし、ホリトレよし、アマリアよし、銀ロリよし、………エレパよし、アビたんよし、お姉様よし。ん、全員居るっぽいね」

「ちゃんと名前で呼ばれたのがアマリアさんだけなんですが」

「いや、セットみたいにすんな」

「ホリトレ……悪くはないと思います」

「エレパ、エレンスパーティーということなのか」

「たん……」


みんなが色々と申してくるが気にしない。


「そういや、お姉様ってどゆことなんじゃ?」

「……まぁ、そういうこともあるわよ?いつの間にか違う呼ばれ方をされることもあるわ」

「あるの?……いやないじゃろ」


銀ロリはお姉様の器の大きさを見習ってほしい。


「はい、勇者さん。遊んでないで行きましょう」

「遊んではないです」

「いえ、先輩は遊んでましたね」

「後輩ちゃん突然の裏切り?!」

「日頃の行いじゃな」

「恐らくそうだろうね」


裏切り者、黒銀白連盟が発見されたが処すのは後にしておこう。


先を行くキューロックさんの後を追った。









「うーん、疲れた!お休み!」


ベットに飛び込みそのまま転がる。


「何で二人部屋なんですかね……」


メイリーが部屋に入ってきて呟いた。


「最早伝統なのだよ、諦めたまえ後輩」

「何故そんなことに……」


目を瞑って考え込む後輩を尻目にコロンコロンと転がった。



街に入ってからすぐに天使教会まで行って勇者育成機関へ連絡をし、その場で派遣先を決めてすぐに宿を取った。


派遣先は四つあり、割り振りは、

俺、メイリーで一つ、

ホリアス、トーレラさん、エレンス達で一つ、

シル、アマリアで一つ、

アビたん、ミーフィスさんで一つ、


ということになった。


当然のようにミーフィスさんが入っているが、ミーフィスさんは貴重な戦力だから入っているというわけではなく、アビたんが可愛いので付いていく、というだけのようだ。


「姉様もアビたんの可愛さに気付いてしまったか……」



明日は夜明けと共に馬車で移動して、現在奮戦中の人達の援護をする。

俺達が派遣される場所は他よりも襲撃の数が多かったり敵が強かったりする場所だそうだ。

現在奮戦中の人達もそれに対応しているだけ充分強力だと思うのだが人族全体の危機には魔王討伐用の勇者も駆り出されるらしい。



「あ、そうだメイリー」

「はい、何でしょうか?」

「あらため改めおかえり」

「………はい、ただいまです」


黒髪の少女はくすっと笑いながら答えた。


ゆらり、ふわり。


その日はとってもゆったりとした気持ちで眠れた。

次作、何かこんなジャンル、内容が良い、というような希望があったら教えて下さい。


次作、今のところ舞台は異世界じゃないです。

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