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2:最高の仲間と最強の仲間

改行使った方が見やすいのかな、と思って改行を使ってみました。

どうですかね?

それでは第二話。

よろしくお願いします。


「…ぱい……い………」


「あーとっ、五分お願いします!」


「起きてんでしょうが、それ絶対!」


目を開けた。緑色の瞳がこちらを覗いている


「おはよう、メイリー」


「はい、おはようはよう、はよ起きてくださいね先輩」

黒髪ポニーテールの少女の笑顔がそこにあった。





「式典ねぇ…」 


「あの、口では余裕ありそうですけど、そのソワソワしてんのやめた方がいいですよ、先輩。」


式が始まるのでそわそわしながら並んでいる。隣には第一勇者、第三勇者、後ろにメイリーだ。第一勇者の後ろには俺と同様もう一人、勇者育成機関の仲間がついている。


「いや、だって冒険の仲間だよ?しょうがないってこんなの」

「隣をご覧ください、右方に見えますのはピシッとした姿勢を崩さないエレンス先輩。

そして左方に見えますのは微動だにしないアビちゃん。」


「見える見える。二人ともかっこいいねー」


「ねー、じゃないんですよ先輩。ほらピシッと決めて下さい。そんなんじゃ国長さんが挨拶してるときに恥ずかしいですよ。」


ピッと指を突きつけてくる後輩ちゃん


国の長である国長さん。色々とバラバラな人類をまとめる顔役の人なので本当に大変そうだ。

後輩の言うことも一理あるので落ち着こう。

息を吸って、吐いて。心を落ち着かせる。


脳裏に浮かぶのは明るい茶髪に金色の三つ編み。


「うわー、めっちゃ楽しみなんだけど!早く来ないかなーアイツら。あーあー、会った時なんて言おうかな、よっ、俺アルレイこれからよろしくな!とか?」



「おっす、おらアルレイ、いっちょやってみっか?なんてどうですか勇者さん。」

「それを本気で言っているのだとしたら天使教会は派遣した人を間違えたんだと思って送り返すよ。」

隣には天使教会からやってきたというキューロックさんが居た。


なんというか、可もなく不可もなく普通の美人さんという感じだ。

普通の美人ってなんなんだって感じだが、それ以外に形容しようがない。

美人だ、と思うことはあれど、何がどう美人なのか言われると困る。

髪の色はこの世界では珍しくもない金髪。

瞳の色はこの世界では珍しくもない青。

身長はそこまで高くもなく低くもない。

俺よりも低いだろう。俺の身長はまあまあ高い方なので女の人として考えるなら普通くらいだ。


「落ち着きましたか?」

どうやら俺を落ち着かせるために会話に参加したらしい。

「お陰様でね」

「キューロックさんありがとうございます。先輩がご迷惑をお掛けしました。」

「いえいえ、このくらいならお安い御用ですよ。」

ふるふる、と首を横に振って元の位置に戻っていく。

式典で、あの人の居る位置はここじゃない。

しかし、割と近くにいるらしい。

俺がソワソワしてるのが見える位置に。

もしかしてそんなに目立ってたんだろうか?


「まぁ、しょうがないよな」

だって、最高の仲間達に会えるんだからな


「先輩、本当に嬉しそうですね。」

目敏い後輩である。ニコニコして、まるで先輩が嬉しいと自分も嬉しいとでも言うかのようだ。

「お前みたいな後輩を持って幸せだよ」

「あ、誤魔化した」

本当に目敏い後輩である。




「校長先生より長い挨拶も終わりましたし、さっそくご対面ですね、勇者さん。」

「校長先生が長い挨拶するってのは俺にはよく分からないけどまぁ国長の挨拶は長かったな。」


第二勇者パーティー様と書かれた部屋で他のメンバーを待つ。


俺は集合時間までまだ余裕があるが逸る気持ちを抑えられず既に来てしまっていた。

きっと今他のメンバーは長い挨拶を聞いて疲れた心を休ませるために休憩中だろう。


とはいえ、何事にも例外はつきもの。

何故か俺が入ったすぐ後にこの部屋に入ってきたキューロックさんはさも当然のように俺の座っている椅子の隣の椅子に座ったのだった。


ここには合計5個の椅子があって長方形の机の辺の長い方に2つずつ椅子が並べられていて、急遽置きましたって感じの椅子が一つ、辺の短い方に設置されていた。

それも他の椅子は机に対して真っ直ぐ置かれているのに一つ孤立している椅子はちょっとずれてる。


「キューロックさんが座る席はあっちじゃないの?」

「そんな悲しいこと言わないでください。あんなお誕生日席みたいなとこ誰が座りたいんですか?」

「自己顕示欲の強い人とか?」

「私、そんな風に見られてたんですか」

「先輩、流石にそれは酷いんじゃないですか?」

「当たり前のように静かに入ってきて、会話に混ざるな後輩。」

「癖になってるんですか?音を消して歩くの?」

「え?いえ、違いますよ?ただ、話し声が聞こえたので静かに入ろうと思いまして。」


「そして当たり前のように孤立してる椅子を避けたね後輩」

「先輩、その語尾に後輩ってつけるのカッコ悪いです。」

「多分連続で喋るから誰が喋ってるのか分かりやすくしようと思ったんじゃないですか?」

「え?それくらい分かりますよね?先輩」

「この人の言うことはあんまり気にしない方がいいよ、後輩ちゃん」

「先輩、ちゃん付けもちょっと違う気がします」


「じゃあ何がいいのさ!」

「別になんでもいいんじゃねーの?」

「だから当たり前のように会話に混ざるなよホリアス!」


「「え?」」


声が重なった。


「俺、お前に名乗ったっけ?」

明るい茶髪をした明るい男ホリアスがその青い瞳をこちらに向けてくる。

座る椅子はお誕生日席。

感動の再会である。


なんか涙出そう


「ぐすっ、お前ぐらい有名になると火の魔法使いホリアスって国中に名前が轟いてんだよ、ぐすっ、バカ」

「え?ちょ、先輩?何泣いてんすか?」

ポニーテールが慌てている。

違った。メイリーがとても困ったような顔をしている。


しょうがないよ、これは


「えぇ。何で俺泣かれてんのか分かんないし、何で俺の名前が既に国中に轟いてんのかもわかんねぇよ」

ホリアスこと明るい茶髪が困ったように頭を掻いている。


バンっと扉が強く開かれる。


「泣かれているのはどなたですか?!そして泣かせたのはあなたですねホリアス!」


「あーあー」

ホリアスが頭を抱える。

ポニーテールは揺れている。

キューロックさんは紅茶を飲んでいる。

俺も欲しい。


「ホリアス、後で話があります。」

「いや、今回のは俺のせいじゃないって」


「あなた、大丈夫ですか?あの軽薄な茶髪に何をされたのですか?もう大丈夫です。私が来ましたから、ご安心ください。」


甘い香りがふんわり広がる。

そして三つ編みにされた金髪もふんわり広がる。

多分香りの元はこの髪だろう。


薄い青の瞳がこちらを覗き込んでいる。

目尻は少し下がっていかにも優しそうだ。

口元には緩やかな微笑みが見られ、見るものを落ち着かせる。

多分右手だろうそれは左肩に優しく置かれている。

「ぐずっ、ひっぐ、ぐす、ぐすっ」

「えぇ、もう大丈夫です。はい、お好きなだけ泣いてよいのですよ。」

左手も右肩に置かれ優しく抱擁された。

ふんわりとした柔らかさが顔を襲う。

これはもはや優しさの暴力。

これに殴りつけられてしまっては反抗する気持ちも失せるというものだろう。

「ぐすっ、ぐず、とーれらぁ、ぐずっ、ひぐっ」

しかし俺は泣くことをやめない!

何故なら反抗する気持ちがあって泣いているわけではないからだ。

「はい、はい。トーレラです。もう大丈夫ですからね。」

俺はこの日この時ほど嬉しいと思ったことはないだろう。




この柔らかさに誓って。








「最後ので台無しですね。勇者さん」

キューロックさんが何か言ってるが無視することにしよう。

「おい、落ち着いたかよ、勇者さんよ」

口調とは裏腹に本当に心配そうにこちらを見てくる茶髪は本当に良いやつだ。また泣きそう。

「ぐすっ、あぁ、もうぐずっ、全然大じょぐずっ、ぶだよ。」

「先輩それ全然大丈夫じゃないです!」

ポニーテールは揺れてる。

以上

「えぇもう大丈夫ですからね」

トーレラさんは俺の左斜め前の席に座っている。となりには揺れたままのポニーテール。


優しい。天使か?


「勇者さん、それ最高級の褒め言葉ですからね?」

「声には出してないはずだ」

「えぇ、出てませんでしたよ?」


「お陰で綺麗さっぱり冷めた。心の底から感謝したいよ。得体の知れない化け物と会話する体験なんてほとんどないしね。」

「あら、勇者さん。これから沢山経験できますよ?」

「したくないよ!」

「おいおい、話を進めたいんだがよ?大丈夫そうならもういいよな?」

「ホリアス、元はと言えば貴方がいけないのですよ?少しは反省しなさい。」

「いや、本当に俺関係無かったから…」

「トーレラ、もう大丈夫だから。そこの茶髪は悪くないよ」

「お前さっき俺の名前呼んでたよなぁ!」


「ぷるぷる、ぼくわるいちゃぱつじゃないよ?なんちゃって、どうです?勇者さん」

「あー、はいはい、冷めた冷めた。具体的には氷の最大級の魔法くらい。」

「それだとこの国は滅んでますね、勇者さん。」

「あーもう、先輩達!話進んでませんから!」

ポニーテールがキレた。


いや、ポニーテールは繋がってるな。






「えー、まぁ、つまるところ。事前に俺達の名前をそいつに聞いてたってわけか?」

ホリアスがなんだそんなことか、とどうでもよさそうに呟いた。

「それで先輩はその名前が魔法研究会の中でも屈指の実力者であることを知り、会えて感動して泣いていた、と?」

「あーまあーそゆこと」


魔法研究会とは魔法を研究したい人達の集まりだ。全国で援助されている。

そして援助に応じて研究成果を発表するのだ。

例えば明かり、そして暑い時の扇風機、それが進化したエアコンなど、魔法としか呼べないようなものやこれ魔法なの?というようなものを研究している。

ちなみに戦うための魔法も勿論研究していて、明るい茶髪ことホリアスは火の魔法を、金色の三つ編みことトーレラさんは回復魔法を研究していたそう。


「えぇ、私から伝えさせていただきました。そしたら勇者さん凄く喜んでいて」

「へー、そんなことがあったんですか。」

ポニーテールがジッとこちらを見ながらほうほう、と嘘くさい台詞を吐いている。

勘が良すぎるんだよなぁ。

全く、可愛いやつめ。

ハンドサインで『あとで』と送っておく。

『りょ』と返ってきた。

適当にやったんだが、ちゃんとしたハンドサインが返ってくると困っちゃうよ俺。

ウチの後輩優秀過ぎて困る。


「ま、そんなわけでこれからよろしく。俺はアルレイ。こっちは教会から来たキューロックさん。んでこっちは」

俺が自己紹介のために席を立ち、

キューロックさんがぺこりと軽く頭を下げると

「はい、私はメイリーです。よろしくお願いしますね。」

ポニーテールが揺れながら挨拶をしていた。

間違った。

おじぎをすることで揺れてた。ポニーテール。


「おう、よろしくな。俺はホリアスだ。何か国中に名前が轟いてるとか言われたけどいずれそうなれるように目指してるつもりだぜ」


席を立ち、親指を上に他の指を握った右手をぐっとこちらに伸ばしてきた。


握手をするつもりで手を伸ばすとサッと手を開いて応じてくれた。

ほんとイイやつ。


「私はトーレラです。回復魔法が得意です。よろしくお願いします。ホリアスはこんなことを言ってはいますが、腕は確かなのでご安心ください。」


金色の三つ編みをふわりと広げてお辞儀をするトーレラ。

お辞儀の得点を競うならば彼女が一番だろう。


「さて、と。自己紹介終わったし。もうみんな待ってるだろうし。旅立ちを祝われに行きますか。」

「えぇ、そうですね勇者さん。もう皆さん待ちくたびれているのではないですか?」


実は理想としてはこの自己紹介をさらっと終えてこれからの作戦会議をして時間を置いてビシッとした姿で旅立ちを国民の皆様に祝われなければならなかったのだ。


現実は泣きながらの自己紹介でぐだぐだである。


「そんなことないと思いますよ?集合時間3分前です。まぁ、先輩のダッシュならギリ間に合いますね。」

この有能な後輩が居なかったら間違いなく遅刻だっただろう。

「いえ、まだ遅刻の危険性は残っていますよ。勇者さん。」

「ねぇ?ほんと気持ち悪いからやめない?それ。」

「そうですね。勇者さんが苦しい思いをされるのは私としても辛いです。それに本当は思っていることを覗くなんて私としてもいいことだとは思いませんしやめるべきだとも思っています。」

「ふーん?」

「えぇ、勇者さんの反応が冷たいのも当然と言えましょう。私はそれほどに許されないことをしました。それに二度も。これはもうこんなことをやめて勇者さんが今後心安らかに過ごせるように努めていくのがよいのではないかと思っていますよ。」

ニコニコとした人の良い笑みを浮かべて話しているキューロック。

「さん、を忘れています」

キューロックさん改め真っ黒さん。

あんたは怪し過ぎる。真っ黒!ダウト!有罪だよ!

「えぇ、そのようなことを言われても仕方のないことをしました。」

「何度もね」

「えぇ、何度も」

人の良い笑みを浮かべるキューロック改めドブ色っくさん。

「それで?やめてくれるの?」

「ドブ色ですか、どんな色なんですかね?あ、えーと、こういう時は。」

「……」

顎に手を当てて考えているドブ色ろくでなしさん。

「だが、断る。」

「もういいよ、ほんとに。帰って?お願いだから?」

キリッとした顔をわざわざ作っている辺り確信犯だろう。前振りも長かったし。


「先輩?あと1分です。」

「茶髪とトーレラさんは?」

「申し訳なさそうにしながら先に行くって言ってました。」

「ほんといい奴らだよなぁ、で最短経路は?」

「この窓を開けて壁を駆け下りて草木を掻き分けて塀を登って道に出たらすぐですね。」

「あーなるほど?それ無事で済むの?」

「ご安心下さい勇者さん。もし力尽きてしまったときは私が、おお勇者よ死んでしまうとは情けないって言いながら起こして差し上げますから。」

ニッコリスマイルでこちらを見てくるキューロック。…さん。


「本当はさん付けとか気にしてませんよ?」

ふふふ、と笑うキューロックさん。


別にあんたはそれ以外が怪し過ぎるだけなんだよ。


「先輩、早く行きましょう!」


窓を開けて待機している有能な後輩と共に俺は窓から飛び出した。





「ふむ、遅かったな。アルレイ。仲間の方は既に来ているようだぞ。」

「アルレイ遅い。…泣いてた?」


人混みをの中心に飛び込むと先にその場に居た二人の勇者から文句を言われた。いや、片方鋭過ぎるだろ。


「む?そうなのか、アルレイ。」


「そんなわけあるか、あるとしたら目に入ったゴミが原因だな。」


「すいません、先輩ったら話し込んじゃってて。」

「本当に、勇者さんはいけない人です。」

「2分削ってくれてありがとう」

「いえいえ、どういたしまして。勇者さん。」

バチバチと視線を飛ばすが全く取り合ってくれない。


「はぁ、全く、第二勇者殿は余裕だな」

エレンスの後ろからやれやれ、と言いながら出てきた男がいた。

なんだこの嫌味な男は

「先輩?この人パースさんですよ?」

「回復の勇者か。」

「あぁ、そうだ。貴様もエレンスを見習ってもう少し余裕を持って行動したらどうだ?」

エレンスの付き人さんはエレンスを見習って欲しいそうだ。

「パース、私としてはむしろ彼を見習いたいくらいなのだよ」

「エレンス?何をおかしなことを。」


「もうそろそろ時間。」

アビたんがそう言うと遠くの方から国長がまた挨拶をしているのが聞こえた。

多分勇者の門出を祝って、とか言ってるんだろう。


「長いなぁ」

流石にめんどくさい。

「そういうこと言わない。」

アビたんが口に人差し指を立ててくる。

「はーい。」

「まったく。」

ため息を吐くアビターン。

サラサラと風で黒髪が揺れている。


風、ね。


思い出すのはあの、自慢げな白い最強の魔法使い。彼女は補助の方が得意だなんて言ってたけど。俺からしたら彼女以上の魔法使いを知らない。


人混みの中に、白を見つけた。

とっさのことにつられてそちらを見るけどそこに居たのはよくわかんない猫みたいな奴だった。


手は短く体は丸く、顔も丸く。

目は黒目でまん丸で。

耳がピコンとついている。

てくてく、というより。

て、て、て、て、という感じで跳ねるように歩いている。

こちらを見た。

手を振ってみる。

右手を振り返してくれた。


仲間にならないか?金は弾むぜ?

というハンドサインを送ってみる。


任しときな、とでも言うかのようなキメ顔を作ったあと、こちらにトテトテ歩いてくる。


人混みを物ともせず、その歩き方は威風堂々としている。

なんか、先生!と呼びたくなるような感じだ。


「ねこ?」

アビたんがぽそっと口にする。

「いや、あの方は俺の先生だ。」

「え?先輩?」

「む?アルレイの先生だと?」

「先生?」

アビたんはきょとんとこちらを見てくる。


「あれが?」

ねこのような何かを眺めるアビたん。

「あの堂々たる歩き方を見るといい。人混みを物ともしないあの歩みはまさに栄光の架け橋と言えるだろう。」

「あの、先輩?」

「なるほど、確かにあの足取りにはなんとも言い難い堂々としたものがあるな。」

「エレンス?」

アビたんが可哀想なものを見るようにエレンスを見ている。

いや、分かるぞエレンス。あれはつい先生!と呼びたくなってしまうだろう。


「おや、どうかしたのですか?」

キューロックさんは猫に話しかけてる


「あの、皆さん?」

ポニーテールはこんらんしている!


先生はにゃあと鳴いてキューロックを一瞥するとスタスタとこちらにやって来た。

なんか足取り軽やかになった?

と思ったらちょっと浮いてる!

どういう原理なんだ。

「とらえもんの原理ですよ」

キューロックの言っていることは基本無視だ。

ほら先生も頷いてる。


「先生!共に行きましょう!」

先生に声をかける。

先生はグッと左前足を上に伸ばした。

「先生!俺!頑張ります!」

先生の前に片膝をつく。

うむ、と深く頷かれた先生を見ているとぴょんと先生が右肩に飛び乗ったのが見えた。

先生はととと、と向きを変えるとまるで長年の相棒であるかのようにそこに佇んだ。

「えぇ?」

ポニーテールはゆらゆらと揺れている。元気がないようだ。





国民の皆さんに見送られ、勇者のみんなとも挨拶を済ませて各々別の目的地へ向かった。


「なー、アルレイ?何でホルカットの街に行くことにしたんだ?」

ホリアスが不思議そうに聞いてくる


「そこに会いたい人が居るんだ、仲間候補だな」

「仲間候補?一体誰のことなんですか?先輩。」

「あー、なるほど。少し早いですが、仲間にできるなら心強いですね。勇者さん。」

「最強の補助魔法使いがいるはずなんだよ、そこに。」

「補助魔法使いっていうと俺らの知り合いだったりするのか?」

「いや、多分知らないんじゃないかな、あいつ研究会入ってなかったみたいだし。」

「魔法研究会に所属していない魔法使い、ですか。」

トーレラさんがふむ、と右手を顎に置いて考えている。


ちなみに、現在移動手段は馬車である。ガタゴト揺られながら街へ向かっている。

ホルカットの街は割と遠い。

何でそんなところに最初に行く必要があるのか、疑問に思われても仕方のないことである。


「しかも最強の、ときた。補助魔法使いってだけでも珍しいが最強の補助魔法使いか。是非会ってみたいもんだ。これが原因で仕事が遅れないならな。」

興味はありそうにしながらもこちらを見てくる目は鋭い。

茶髪は意外としっかり者なのだ。


「あぁ、彼女が仲間になってくれるなら百人力だよ。な?先生」

にゃう。と肩のネコのような何かが鳴いた。

「ほら先生もこう言ってる。」


みんなの見てくる目が心なしか冷たい。

特に後輩。


「まぁ、事実ですよ。彼女が居るならその街へ行く価値はあるでしょう。」

「あれ、何か知ってるんですか?キューロックさん?」

ポニーテールがとうとうキュロなんとかさんに話しかけてしまった。


「えぇ、彼女は間違いなく最強でしょう。

それと、キューロックですよ?勇者さん。キューさんでもロックさんでもいいですがせめてちゃんと覚えましょうね?」


「あー、キューさんや?その、最強ってのは補助魔法使いとして、なのか?」

「いいところに気がつきますね。ホリアスさん。」

「ホリアス?それはどういう意味ですか?」

「トーレラさん、そのままの意味ですよ、この勇者さんは補助魔法使い最強、などと言葉を濁しましたが、彼女は間違いなく今のこのパーティーの中では最も強いと言えるでしょう。……勇者さんを除いて。」


「あ、そこ先輩除くんだ…」

ポニーテールはなんだか落ち込んだように揺れている。


ここまでお読み頂きありがとうございました。

第三話のプロットは途中までしか組んでないのでもうちょっと後になります。

自分としては会話文が好きなのでひたすら書くことになるんじゃないかと思っています。

というか、結構な文字数ですよね。ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

もしよければ今後もお付き合い下さい。

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