23:再会に次ぐ再会
急ぎ過ぎず、遅過ぎず、疲れないように走る。
自分を先頭として後続の様子を確認しつつ、魔王城へと向かう。
既に魔王城は見えている。
正面には数多の角族達、その奥に灰色の城が聳え立っている。
先程から魔法も飛んでくるようになったがホリアスとアマリアが弾いている。
そのまま進み、そろそろ角族の集団とぶつかるかというところでエレンス達を発見した。
どうやら姿を隠す魔法で潜んでいたらしい。
そのまま彼らは先頭集団の角族達と戦闘を始めた。
第一勇者パーティーのバランスは見ている限り良いようで、魔法使いが補助と遠距離攻撃を担当し、エレンスともう一人の剣士が二人で前線を上げている。更に魔法使いの隣に棒使いが居て双方の援助をするといった形で危なげなく敵を倒している。
「じゃあ、相棒、トーレラさん、よろしく」
「任された」
「そちらは任せました」
予定通りホリアスとトーレラはここで角族達を散らしてもらう。
俺達、魔王討伐組が角族の集団に突っ込んでいこうとすると、ホリアスが火の魔法で角族達を薙ぎ払った。
「うむ、いい仕事するのぅ」
ふむふむ、とシルが頷いている。
角族達が倒れて道ができたのでそこを進む。
側面から角族達が襲ってくるが、俺が斬る、
シルが殴る、アマリアがなんらかの方法で退かす、ことで対処した。
俺とシルは基本的に同じことしかしないがアマリアは空中に透明な板を貼ったり、気絶させたり、地面に叩きつけたり、色々と試しているようだった。
「白いの、お前一人で突っ込んでこれるじゃろ、ちょっと行ってこい」
「このやりとりは前もやったと思うのだけれど、私が一人で行ったところで意味はないよ」
「そんなことないじゃろ、かき乱してきて儂らの襲撃が楽になるようにせい」
「先先代が怖いのは分かるけどね。もう少し落ち着いたらどうだい?」
「こ、こ、怖くないわ!ちょっとな、あれじゃー、あれ」
シルが右側から来た角族を殴り飛ばしながら言葉に詰まっていると前方から五体の角族がやってきた。
その内の四体は姿に黒い霧がかかっていてどんな相手なのか判別しにくい。
残りの一体は槍を持った女だった。
まずその槍女がこちらに槍を叩きつけてくる。
俺は左側にシルは右に、アマリアは後ろに下がって空へ飛んだ。
上空のアマリアから補助の魔法がかかったのか、体が軽くなる。
後ろの四体の内一体が何本かの氷柱を打ち出してきて、それに混じって短剣を持った奴が切り掛かってきた。
一歩下がって回避し、刀を横に振り抜いて応戦する。
相手はそれで下がっていった。
アマリアは斧を持った相手と戦っていて、
シルは槍を持った相手と戦っている。
「槍持ち二体居るじゃん」
後方から槍女が槍を横に振ってきているので跳ねて空中へ逃げる。
そこに大量の氷柱が押し寄せてくる。
アマリアが障壁を張ってくれたようで回避する必要はなかった。
着地と同時に短剣使いがやってくる。
右手に持った短剣を突き入れてきたので右側に避けるが、更に左手に持った短剣で下から切り上げてくるので刀で受ける。
後方から槍女がこちらの頭部へ槍を振り下ろして来た。
が、槍女は急に槍を振るうのを止め、横に転がって何かからの回避行動を取った。
短剣使いは右手に持った短剣を引き戻し更にこちらに突きを繰り出そうとしていたので蹴りを入れて少し距離を開けて更に後ろに跳んで相手の間合いから出る。
周りを見ると、アマリアは斧使いを倒し、シルは槍使いを殴って弾けさせているところだった。
「アルレイ、ここは任せて」
声がする方向を見ると黒髪を短く切った槍を持った少女が居た。
「アビたん、助かる!ここ任せるよ」
「たん……違う」
聞きたい言葉も聞けて気分良く地を駆ける。
槍女が追ってくるがアビたんが槍を投擲し邪魔をする。
氷柱を飛ばしてきていた奴がこちらに氷柱を飛ばしてこようとするも槍が投擲されその餌食に。
短剣使いはシルが殴り飛ばしていた。
「儂絶好調じゃな!マジパーフェクトじゃ!これなら勝つる!」
「調子が良いようで何よりだよ。それより手の震えは止まったのかい?」
「震えとらんわ!いつ儂の手がぷるぷるしてたって言うの?儂の手がぷるってたのは魔大陸に入った直後じゃ!」
「おやおや、気が付いてないようなら困りものだね」
「え?マジで?いやいや、まさかー。あったとしても儂のことじゃしリベンジに燃えての武者震いじゃな!」
「ははは、そうであるといいと思うよ」
「いや、震えとらんかったよな、な?…………おい?どうだったの。どうなんじゃー!」
魔王城へ走り続ける中、仲良さそうに話し続ける二人を軽く眺めながら腰にぶら下げた刀の重さを確かめていた。
できる限りここから毎日投稿でいこうと思います。
まぁ、話数も残り少ないのでなんとかなるかと思われます。