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22:ラスト、スタート

どうもです。


タイトルを変えていますが、これがいいかなと思いました。

以前のより落ち着いた感じになったと思います。


ずんずんと、道なき道を進んでいる。


「まぁ、確かにこれならバレにくいな」


鬱陶しそうに枝を避けながら、ホリアスが呟いた。


ロリ魔王ことシルは、こっちが周囲の目を欺ける最強のルート、と言って林の中に突っ込んで行ったので仕方なく全員後に続くことになった。

視界の面でも発見するのが難しいが、更にアマリアの補助によって魔力の反応が分かり難くなっているそうなので敵に見つかる可能性は殆ど無いだろう。


道を進むことはシルに任せているし、その足取りは確かなもので不安はない。

隠密性についても周りの木々やアマリアの補助によって特に問題はない。


だが、一つ気になることがある。


肩にいつの間にか乗っている存在ことカタマリ先生を最近とんと見ないのだ。


後はキューロックさんの表情が無表情なのも気になる。

どうしてかは分からないが彼女は笑みを浮かべていることが多いので、それをしていないというのはどこか違和感があるのだ。


うーむ、と考えていると歩けど歩けど周りにあった木々が無くなり、そこでシルの足が止まった。


そこは中央に大きな木が生えていて、その周囲は殆ど木がなく、あるのは落ち葉だけの静かで暗い場所だった。


見上げると大きな木が枝を伸ばして沢山の葉を付けているため、月明かりも届かないのだと分かった。


「到着じゃ。魔王城は目と鼻の先、と言うにはちと遠いが殴り込みに行くには十分な距離じゃろ」


振り返り、腰に手を当て胸を張り、目を瞑ってニッコリと笑い、尊大に話すロリ。


「おーけーありがとう。とりあえずサクッと野営の準備だけして休もう」


既に日も暮れている、明日の襲撃に備えて休んでおかなければいけない。


アマリアはまた、軽く周囲を歩くようで、ホリアスとトーレラは二人とも野営の準備をしている。


ポツリと佇む金髪の女性。


「キューロックさん、何かあるんですか?」

「少し、気になることがありまして」

「気になることですか?」

「はい、とりあえずは何とかなると思います」

彼女はそれだけ言ってピタリと口を閉じる。

その内容を話すつもりはなさそうだ。


「そういえばエレンス達やアビたんは来てるんですか?」

「はい、既に。第一勇者パーティーの方が近いですね」

「そっか。それなら心強いかな」


「彼らが居ると頼りにできます」

「そうだね」


それ以降彼女とは特に話さなかった。







「いや、だからと言って儂のとこに来られても困るんじゃが」

「だってやっぱみんなピリッとしてるしさ?

アマリアとは何か話し難いし、ホリアスは論外だし、トーレラさんは同上だし、キューロックさんは無表情だから」

「なら一人で寂しくやっとればいいじゃろうが」

「答えは既にそこにある」

「うるさいわ、懐かれても困るって言っとるんじゃよ」

「そういう割には割といつも話してきたじゃん」

「まあそうなんじゃけどね……なーんか、嫌な感じがするんじゃよな」

「そんなに気になること?」

「まあな、むしろお主は気にならんのか?」

「変な感じはするけどね。決戦前に気にすることかと言われると微妙」

「お主重要ごとで絶対やらかすタイプじゃ」

「まあ、そういうこともある。そうならないこともある」

「ダメじゃなコイツ……」


彼女は首を後ろに傾けて空を仰ぐ。


釣られて上を見ると風に揺られて木々がざわめいていた。



「…………」



    不吉



「ま、まあとりあえず寝よっか?」

「離れろー、鬱陶しいー」


ぎゅっと隣に寄って寝ようと思ったら足で退かされた。



「……面倒くさい奴じゃな」


とりあえずその足を掴んで寝ることにした。














「……先輩がおかしなことをしてる気がする」

「………」

「んー、何かそういう感じがあるんですよね」

「……………」

「まぁ、そういうところもあります」


さらさらと、細い黒髪が月の光に照らせれていた。








「では、私はここまでですね。それでは行ってらっしゃいませ、勇者さん」


朝起きて、金髪の女性に遭遇すると唐突にそんなことを言われた。


「そっか、キューロックさんは戦えない設定だったっけ」

「私はあくまで案内役ですので」

「………そう」


彼女の表情が少しだけ和らいだ気がした。












「んじゃ、行くとしますか」


準備をすぐに整え出発する。


後ろには右手を上げて軽く左右に振っているキューロックさん。


前方には生茂る木々。


「このまま真っ直ぐ行くと魔王城が見える。

正真正銘ラストスパートじゃな」

「着いたら終わりってわけじゃねーんだし、

むしろスタートだろ」

「そうですね、魔王を打倒し、世界に平和をもたらすことこそ我らの役目。気を抜かずに行きましょう」

「とはいえ固くなり過ぎるのも問題だ。ある程度は肩の力を抜いて何が起きてもいいように視野を広くもとう」


胸に手を当て祈るように語るトーレラに対し、アマリアがその肩を叩いた。


「魔王討伐作戦、開始」


小さく声に出す。


いよいよ、二度目の魔王討伐が始まる。




お読みいただきありがとうございました。


長編じゃなくて短編ですかね。

そろそろ終わります。


今作の書き直しをしようかなと話しましたが、書くとしたら恐らく世界観は一緒の違う話ですね。

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