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19:楽しげな馬車の旅

どもです。



「ガタゴトガタゴト、この揺れ魔法でどうにかせんの?」

「人族はそこまで気にしてないみたいだし、魔族は馬車あんまり乗らないからその辺はもう少し時間かかるんじゃないかな」

ロリ魔王ことシルの疑問に答える。


「というか、魔大陸への山付近の馬車とか何の需要があるんじゃ?」

「うーん、なんか薬草とか?あとは、獣の皮?」

「あー、ありそうっちゃありそうじゃな」

「そもそも数が少ないので基本的には勇者が来たら出すっていうものみたいですけどね」


キューロックさんが会話に入ってきた。


「勇者専用馬車か、特に用事なさそう」

「ないじゃろうな、そんなに勇者が必要な状況とか地獄じゃろ」

「流石に無いよね……」


「あれ、帰りってどうするんじゃ?」

「歩くか、定期的に来るらしい馬車を待つか、転移じゃない?」

「転移が使えない奴とか大変じゃろうな」

「馬車いつ来るか分かんないし歩きだろうね……」



「暇じゃな……」

「暇だね……」


周りを見ると茶髪と三つ編みは二人で何か喋ってて、白髪少女は目を瞑っていて、紅茶さんは紅茶を飲んでいた。


「だから揺れない?紅茶飲むの辛くない?」

「そろそろ慣れてきました」

「すごいな」

「もうどうでもよくなってるじゃろ」

「暇を潰すにはこれしか無かったんだ……」

「そんなに暇ならゲームをしましょう」

キューロックさんが紅茶を飲むのをやめて、提案してくる。


「ゲーム?」

「勇者さんの心を読むゲームです」

「それ、キューロックさんの一人勝ちじゃん」

「いえいえ、私は採点者ですよ」

「ふーん?儂もやってみようかなー」

「アマリアさんもやりますよね?勇者さんの心読み」

「まぁ、やろうかな」

「え?何で?」

「会話を聞いてるだけというのもつまらないものだよ」

「では、ルール説明をしましょう。まず、私が勇者さんにお題を出します、それに対して勇者さんが思ったことをお二人には当てて頂きます。勝敗はポイント制にしましょうか、一問一点で五ポイント先取です。それではよろしいですか?」

「あぁいいとも」

「まぁ、テキトーでいいじゃろ」

「えぇ?俺がついてけないんだけど……」


「ででん、第一問、勇者さんの好きな色はなんですか?二つお考え下さい。一つ一ポイントとしましょう」

「好きな色かぁ」

「白と紫」

「銀と赤」

二人は既に答えているが俺はまだ考えてない。


色と聞かれて脳裏に浮かぶのは、


なんだろう。


綺麗な色とか?




綺麗な……………



ピンク色に薄い金色



「お二人とも不正解です」

「なんでじゃ!」

「やっぱり黒と緑だったかな……」


叫ぶロリに落ち込む白髪少女


「では第二問です」

「答えとか聞けんのか?」

「知りたいんですか?」

「一応聞いておこかの」

「え?ちょっと待ってもう一回考えさせて!」

「ピンクに金です」

「あー、なるほどの」

「それは一体誰なんだ……」

納得した様子のロリに考え込む白少女


「では改めまして第二問です。勇者さんの好きな戦闘スタイルは?」

「スタイルって何じゃ」

「刀で戦うとかじゃないかな」

「あー、そういう感じ、なるほどの。

やっぱり刀?いや、と見せかけての……そういや、彼奴どうやって戦うんじゃろ?うーん、審判!」

「なんですか?」

「どうせこのポンコツは人で選ぶじゃろうから人で答えるのはありかの?」

「はい、大丈夫ですよ」

「よし来た!えーと、彼奴の名前は……」


好きな戦闘スタイルと言うと……


短い黒髪がさらさらと流れている。

その奥には金色の瞳。

振るわれる武器は千万無量。

その全てを己の技量で扱い切る。

彼女の名前は……





「アビたんじゃ!」

「愛称ですが正解としましょう。正解は多種多様の武器を使ったオールラウンダーです」

「ほー、彼奴そんな感じなんじゃ」

「なるほど、彼女か」


「それでは第三問です。勇者さんが最も二人部屋をしたい相手とは?」

「メイリーかな」

「うーん、めいりーが誰か分からんけど多分そこの金髪じゃろ……と見せかけての儂!」


「メイリーで」

二人部屋と聞いて頭に浮かんだ人を脳内で排除して答えを出す。

「勇者さんの口からは出任せしか出ないですね。正解は私です!」

「うわー、答え変えるんじゃなかったー!」

「私がいない間に何があったと……?」

「次!次の問題!」


「はいはい、では次の問題です。朝起こしてもらいたい人ナンバーワンは?」

「次こそメイリーだろう」

「なんじゃ?幼馴染みか何かなのそいつ。まぁ、そうじゃな……幼少期から起こしてもらってたことを考えて、そのめいりーというやつで」


「二人とも正解です」

「そこは変わらないのか……」

「やっぱり幼馴染みか何かかの?」

「幼馴染みです。というかこの話してたよね?シルもそのとき居た気がするんだけど」

「寝てたんじゃない?」

「かもね……」


「では第五問です。優雅という言葉が似合う人と言ったら?」

「これはエレンスになるのかな?」


優雅と言えばやっぱり第一勇者エレンスだろう。


うん。


きらきらとピンク色の髪が眩しかったのを思い出した。






「いや、違うの。あの金髪もまぁまぁじゃったがこれは間違いない!あのピンクじゃ!」

「シルさんの正解です」

「だから誰なんだ……」

「よしよし、これで三ポイントじゃな」

「すまんエレンス。お姉様には敵わないよ」


「それでは第六問。勇者さんが今持っているもので人に渡す予定のある贈り物の数は?」

「あ、分かった。けど今持ってるものか……うーん、ピンクに何か渡したとして、後何個じゃ?」

「………なるほど?そういうことか」


え?今何個持ってたっけ?


お姉様に渡したでしょ。

キューロックさん、アマリア。


後輩、トーレラさん、アビたん。


「よし、三つ!」

「私も三つかな」

「二人とも正解です」

「やはりホリアスにも何か渡すのか」

なるほど、と呟く白い少女だが、俺があいつに渡すものとか結婚おめでとうございますって書いた紙くらいだ。


「シルさんがリーチですね。それでは第七問。勇者さんが最も感謝している相手とは?」

「え?誰じゃろ?儂?」

「えーと、メイリーだろうか?」

「不正解です。正解は……」


「あー、はい。もうやめやめ、やめよう。何か違うことしよう。そーだなぁ、椅子取りゲームとか!」

「椅子、無いじゃろ」

「ありませんね」

「さっきの答えを聞いてもいいかな?」

「え、ちょっと」

「ショートカットの似合う女の子です」

「ほー、なるほどの」

「えっと……それはつまり」

「微妙な空気にしてくれやがって、キューロックさん責任取ってよね」

「はい、もちろん。責任、取ってあげますね?」

「何か言い方違うよね?」

「傲慢ですね、勇者さんが言ったんじゃないですか」

「いや、そーだけどさ?」

「まぁまぁ、何はともあれ儂の勝ちじゃな」

「いやいや、勝敗が決まらない状態で中止になったのだしそうとも限らないよ」

「へー、そういうこと言う?ま、あのまま続けても儂がチョチョイっと正解しちゃったと思うけどね」

「いやいや、あそこから私の逆転が始まる予定だったのだよ」

「あー、はいはい、それ以上喋ると抱きつきますよー?」

「儂貞操の危機ぱーと2!?」

「私は受けて立とう。そこの魔王とは違うのだよ」

「な、何?言ったな?言いおったな?ほら、そこだ!やってしまえ、ポンコツ勇者!今こそお主の歪みに歪ませた性癖をぶつけるときが来たぞ!」

「歪んでないし、ぶつけないし。まだしばらく時間あるんだから大人しくしてろよなー」

「あー、逃げた!チキン!ポンコツ!意気地なし!童貞!」

「だから最後のは悪口関係ないだろーが!」

「ほらほら童貞さん、落ち着いて下さい」

「煽りに来るな!」

「よし、来いアルレイ!性癖が歪んでるのはマズい。メイリーに会う前に矯正しておこう!」

「え、ちょっと、アマリア?え?いや、待ってってば。帰ってきてー!冷静なアマリアカムバック!」

「あー、これ儂しばらく関われんの」

「紅茶でも飲みますか?」

「飲む」


相変わらず騒がしい、しかしどこまでも愉快な仲間たちであった。






「なぁ、俺ら蚊帳の外じゃね?」

「混ざりたいのですか、ホリアス?それなら行きましょう」

「いや、そういうことじゃねぇんだがな……」


茶髪の少年は困ったように頭を掻いた。

お読みいただきありがとうございました。

明日の更新は厳しいと思います、というのをこれ以上繰り返すとテンプレートになりそうなので、更新が無かったら忘れたかネタ無いんだな……と思って下さい。

少なくとも日曜日には何かしら書きます。


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