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アザランの花  作者: 神山 りお


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29/38

*29 真偽



 ガイド達は、誰とは言わず走り出していた。




 ーークリスは埋められている。




 ゾットは、確かにそう言った。

 嘘に違いない。

 だが、何故か心が無性にざわついて仕方がなかった。




 ーーなら、ゾットが嘘だと証明すればいい。




「ガイドさん!!」

「何処だか分かっているんですか!? 裏庭は広大過ぎますよ!?」

 後を追う仲間達が、そう叫んでいた。

 それもそうだろう。一般市民の裏庭ではない。侯爵家の裏庭なのだ。比べれば楽に何倍何十倍はある。それも、目に見える位置にはなく、土に埋まったモノを捜すとなれば、行ってすぐ見つかるモノではない。

「分かってる!! だが、どうしろって言うんだ!!」

 ガイドは叫んでいた。居ても立ってもいられなかった。

 すべてが終わった後、家に戻って会えばいい。頭の隅には、冷静に考える自分もいる。だが、確かめずにはいられなかったのだ。




 裏庭が見えた時、弱まる雨の中……小さな影を見つけた。

「クリス!!」

 小さな影……それは、今会いたいと願っていたその相手だった。

 思いや願いが叶ったのか、裏庭の片隅にクリスがフラりと立っていたのだ。

「ゾット達は?」

 クリスはガイド達が、ここに来た事には驚いた様子はなかった。

 来る事を知っていたかの様にも見えた。だが、やはりゾット達は嘘をついていた。クリスはちゃんとここにいる。




 ーー"ココ" に……?




 ガイドは安堵したのも束の間、オカシイ事に心臓がドクリと強く打っていた。




 何故ココにいる?




 シュレミナが不安がると、クリスには家に残る様に伝えてあったハズ。そして、それを承諾しクリスとは家で別れたハズ。

 不可思議な事に、ガイドの心臓はさらに激しく打っていた。



「そのゾットが……お前は……お前は死んでいるとか抜かしやがるんだよ」

 ガイドは疑念を払拭し、頭を振ると目の前にいるクリスに笑った。ゾットが馬鹿な事を言うのだと……。

 クリスに、馬鹿じゃないの? と笑って欲しかった。




 だが、気付きたくない "事" "モノ" に気付いてしまった。




 先程まで雷雨が降っていたというのに、クリスの服が一切濡れていない事。そして……足元には、信じられないモノが見えていたのだ。

「あっ。コレ?」

 クリスは肩を落とすと、イタズラっ子の様に無垢な笑顔を見せていた。

 ガイド達がクリスに気付き、思わずの視線を足元に移したからである。

「「「……っ」」」

「大分前からコレ、少し土から出てはいたんだけど……こんな雨だったからね」

 そう言ってクリスが視線を落とすと、その足元の土からは……何か白いモノが見えていたのだ。

 その白いモノを見ても、クリスはガイド達の様に、目を見開く事もなく驚愕さえもしていなかった。身動ぎ1つしていないのだ。



「それが……」

 ガイドは声が震えるのを感じていた。そしてフラフラと、クリスに歩み寄る。

 訊きたくない。知りたくない。嘘であって欲しい。冗談であって欲しい。言わないでくれ。

「それが……何だか知ってるのか?」

 頼むから、何も答えないでくれと……。




「 "僕" 」




 

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