*29 真偽
ガイド達は、誰とは言わず走り出していた。
ーークリスは埋められている。
ゾットは、確かにそう言った。
嘘に違いない。
だが、何故か心が無性にざわついて仕方がなかった。
ーーなら、ゾットが嘘だと証明すればいい。
「ガイドさん!!」
「何処だか分かっているんですか!? 裏庭は広大過ぎますよ!?」
後を追う仲間達が、そう叫んでいた。
それもそうだろう。一般市民の裏庭ではない。侯爵家の裏庭なのだ。比べれば楽に何倍何十倍はある。それも、目に見える位置にはなく、土に埋まったモノを捜すとなれば、行ってすぐ見つかるモノではない。
「分かってる!! だが、どうしろって言うんだ!!」
ガイドは叫んでいた。居ても立ってもいられなかった。
すべてが終わった後、家に戻って会えばいい。頭の隅には、冷静に考える自分もいる。だが、確かめずにはいられなかったのだ。
裏庭が見えた時、弱まる雨の中……小さな影を見つけた。
「クリス!!」
小さな影……それは、今会いたいと願っていたその相手だった。
思いや願いが叶ったのか、裏庭の片隅にクリスがフラりと立っていたのだ。
「ゾット達は?」
クリスはガイド達が、ここに来た事には驚いた様子はなかった。
来る事を知っていたかの様にも見えた。だが、やはりゾット達は嘘をついていた。クリスはちゃんとここにいる。
ーー"ココ" に……?
ガイドは安堵したのも束の間、オカシイ事に心臓がドクリと強く打っていた。
何故ココにいる?
シュレミナが不安がると、クリスには家に残る様に伝えてあったハズ。そして、それを承諾しクリスとは家で別れたハズ。
不可思議な事に、ガイドの心臓はさらに激しく打っていた。
「そのゾットが……お前は……お前は死んでいるとか抜かしやがるんだよ」
ガイドは疑念を払拭し、頭を振ると目の前にいるクリスに笑った。ゾットが馬鹿な事を言うのだと……。
クリスに、馬鹿じゃないの? と笑って欲しかった。
だが、気付きたくない "事" "モノ" に気付いてしまった。
先程まで雷雨が降っていたというのに、クリスの服が一切濡れていない事。そして……足元には、信じられないモノが見えていたのだ。
「あっ。コレ?」
クリスは肩を落とすと、イタズラっ子の様に無垢な笑顔を見せていた。
ガイド達がクリスに気付き、思わずの視線を足元に移したからである。
「「「……っ」」」
「大分前からコレ、少し土から出てはいたんだけど……こんな雨だったからね」
そう言ってクリスが視線を落とすと、その足元の土からは……何か白いモノが見えていたのだ。
その白いモノを見ても、クリスはガイド達の様に、目を見開く事もなく驚愕さえもしていなかった。身動ぎ1つしていないのだ。
「それが……」
ガイドは声が震えるのを感じていた。そしてフラフラと、クリスに歩み寄る。
訊きたくない。知りたくない。嘘であって欲しい。冗談であって欲しい。言わないでくれ。
「それが……何だか知ってるのか?」
頼むから、何も答えないでくれと……。
「 "僕" 」




