表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アザランの花  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/38

*12 憤り




 ーーガン!!



「クソがっ!!」

 ガイド元隊長は、自室に戻るなり壁を力一杯拳を打ち付ていた。

 口にこそ出さなかったが、シュレミナがあんなに顔色が悪くほっそりしているのは、酷い目に遭わされていたに違いないと確信したからである。

 何故あんな幼い少女を、酷い目に遭わせていたのかと想像すると、ゾット侯爵に憎悪と殺意で身体が震えた。あの惨劇で沸き上がった憎悪が、これ以上溢れる出来事は起こらないと思っていた。

 だが、まだ奥底に溜まっていたのか、今すぐ八つ裂きにしたいと心が震えていたのだ。



「ガイドさん。その憎みはゾット達に向けてやりましょう」

 同じく生き残っていたバイエルも、ガイド元隊長の気持ちは痛い程に分かる。何かにあたりたい気持ちも。

 だが、その矛先は壁などではなく……ゾット侯爵である。

「あぁ……何十倍にして返してやる」

 ギリギリと歯を食いしばっていた。

 あのゾット侯爵に変わってからの悪行に、街の人達はもう限界に近付いていたのだ。だから、マリアを拐って一矢報いてやろうと企んでいたのだが……部下が間違えた。

 そのおかげで、シュレミナは助かったのだから、ある意味嬉しい誤算であった。




 ーーだが、別の手立てを考えてなければならない。




 シュレミナを楯に、身代金の要求をした所で無視されるのは目に見えている。だが、当初の目的であった、穏便に済ませる必要はなくなった。


 あの屋敷に、シュレミナがいるから実力行使に出られなかったのだから……。

 護るべき者は手に入れた。なら、強行手段をしても問題はなくなったのだ。

 ガイド元隊長達は、新たな作戦を立てる事にした。





 *・*・*・*・*





「隊長はいる?」

 作戦を立てていると、扉の向こうからノックの音と声がした。

「どうした? クリス。姫様の側にいてやれ」

 ゾット侯爵の所業に苛立ちながらも、クリスに優しく声を掛けた。クリスに苛立ちをぶつけても仕方がないと、自制する。

「皆に少し……話したい事があるんだ」

 クリスは周りを見渡した。ここにいるのは、あの屋敷に雇われていた警備隊の生き残り。

 後は、ゾット侯爵を敵対視している同志、有志なのだと判断する。



「今でなければ駄目か?」

「今だからこそ……だよ」

 クリスは、苦々しく笑った。

 今ここに、皆がいるからこそ伝えたい……知って欲しい事があると。



「わかった」

 何かを察したガイド元隊長は、皆に目配せし最低限の護衛をシュレミナに残し、ここより広い食堂に人を集める事にした。




 *・*・*・*・*





「……で?」

 人を集めたガイドは、クリスを促した。

 人を集めて何を伝えたいのだと。

「1つ確認だけど……ここにいる人達は信用できる人達?」

 顔を確認するかの様に、クリスは周りを見た。

 ここにいるのは50人前後だ。顔見知りは半分くらいだ。後は知らない人達だ。どこまで信用できるのかは、昨日今日では分からない。

「信用できる」

 とガイド元隊長は、右の手のひらをこちらに向けた。

 それを合図に皆も右手をクリスに向けた。右手の中指には、皆同じく指輪がはめてある。

 それは、6枚の花びらを持った花が彫ってある、銀色の指輪だった。6枚の花びらは色さえ付いてはいないが、シュレミナが大好きだった "あの花" を型どった物だった。




「アザラン侯爵を慕っていた者しかいない。皆、同志であり有志。この指輪に懸けて裏切らない」

 ガイド元隊長がそう言うと、皆も指輪を握りしめ大きく頷いた。

「……わかった」

 その指輪に、クリスは嘘はないと判断し信用する事にした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ