句・読・点
彼氏に、メールを、送った。
彼氏から、メールが、返ってきた。
『読みにくい!暗号か?』
うーん、なんでだろ?
「さーちゃん、しゅくだい、みて!」
姪っ子が、ノートを広げて、呼んでいる。
「みっちゃん、この″は″の下には、点がいるよ。」
小学一年生の、みっちゃんの、教科書は、平仮名ばかりだ。
″、″も多い。
″これ″を、真似したから、読みにくい?
うーん、分からない。
小説を、読んでみる。
″~は″や″~が″の後ろに″、″が無いときもある。無いときのほうが多い?
みっちゃんの教科書では、どうだっただろ?
お姉ちゃんに聞いてみた。
「平仮名ばかりだと読みにくいから。句読点は多いかもしれないね。」
お姉ちゃんにそう言われた。
彼氏にまたメールを送った。
今度は″、″無しで、文の終わりに″。″だけつけて。
『読みにくい。怪文書だ。』
また同じ。
だから、平仮名で″、″をいっぱいつけて書いてみた。
『読みにくい。漢字、使えよ。』
うーん、どうしたらいいだろ。
お姉ちゃんに相談した。
「確かに、″は・を・が・に″などの後ろに″、″と言われたわね。読書感想文は、それで文字数増やしたし。
みっちゃんの教科書は平仮名ばかりだから、句読点が無いと読みづらいから。」
確かに一人で読める童話とかの絵本も長文でも文の切れ目で空白があったりしていた。
それでも平仮名ばかりでは読みにくい。
「ある程度の年齢になると言葉に慣れるから、本当の切れ目に付けるようになるのかな?」
言葉に慣れる?
本当の切れ目?
「そう、″、″が入っていなくても分かるようになるし。″、″が入っていると区切りという意味もあるし、意味を持たせることも出来るから。」
意味を持たせる?
「例えば、
『みっちゃんはそう読んだ』
『みっちゃんは、そう、読んだ』
音で聞いても文字で読んでも同じことなのにイメージ違うでしょ。」
うん、後からのほうがなんか大変そうな感じが気がする。
「すごく″そう″が強調されているような感じにならない?」
確かに″そう″が気になる。何をそう読んでしまったのかが気になる。勘違い?読み間違い?色々考えてしまう。
「ふり仮名、傍点、強調など今は文字を色々加工できるけど、同じ文字だけで意味をもたせようとしたなら、″、″の使い方次第じゃないかしら?」
うん、たかが″、″、されど″、″。奥が深い。
「小説は、漢字のイメージも利用してるし。さっきの″よんだ″も本を″読む″と人を″呼ぶ″と一緒の音だけど、本を読むの漢字が書いてあれば文字を読んだと思うでしょ。」
平仮名だとどっちか分からない。漢字だと一発だ。
やっぱりお姉ちゃんは、凄い。
それを言ったら、自論だけどとお姉ちゃんは笑っていた。
『何が言いたい?はっきり書けよ。』
彼氏からメールがきていた。
はっきり書けないから色々書いていたのに。
もういいや!
また″、″だらけの平仮名で送った。
『外。』
そと?
カーテンの隙間から、そっと覗く。
目が合った!
急いで外に行く。
今日は、会えないと言っていたのに!
明日も仕事だから、こっちに帰ってこれないと言っていたのに。
「た、ん、じょ、う、び、お、め、で、と、う。」
真っ赤な顔をしてソッポ向きながら言われた言葉。
慌てて来てくれたみたいで、仕事着のままだ。
私は、彼に飛び付いた!
うん、本当は会いたかったの。
けど、遠距離だから言えなかったの。
「プレゼントはまた今度な。持ってこれなかったから。」
私の頭を撫でながら、ホッとしたように彼が囁いた。
そんなに心配するような文、送ったかな?
「古文書か?お前のは。解読しても意味わかんねぇ。」
愛が足りないと殴っておいた。
次の休みに会う約束をして、最終の夜行バスに乗る彼を見送った。
家に帰ったら、彼からメールがきていた。
『快文書、楽しみにしてるから。』
彼にメールを送った。
『あ、り、が、と、う!だ、い、す、き!』
お読みいただき、ありがとうございますm(__)m