観覧車
日曜日の9時だ。空を見上げると澄んだ青空が広がっていた。
隣にいる加藤さんは白いワンピースがよく似合っている。こんな綺麗な人と一緒に遊園地に行けるなんてまるで夢のようだ。もしかしたら夢なのかもしれない。
そんなことを思いながら彼女と様々なアトラクションに乗って遊んだ。遊園地といっても某夢の国などの有名なテーマパークのように人が混んでいるわけではないので待ち時間も少なく、ストレスが溜まることもなかった。
俺たちは雨のことなんて忘れて遊んだ。夢中になってアトラクションに乗っているうちに夕方になっていることに気づく。
「もう夕方ですね」
「ある程度遊んだしそろそろ帰ろうか?」
「あ、最後に1つだけ乗ってもいいですか?」
「いいけど、何に乗るの?」
「観覧車......です」
加藤さんは少し恥ずかしそうに指を指した。指した先には夕焼けに染まる観覧車があった。
観覧車に乗るのは初めてだった。記憶が消える前に乗っていたのかもしれないけど、今の記憶では乗った覚えはない。
実際に乗ってみると思ったよりも揺れるし、外を見ると自分が高いところに来ていると実感して少しだけ怖くなってしまった。
加藤さんは夕陽を眺めている。その横顔が何故か儚く見えた。
「綺麗ですね。観覧車なんて最後に乗ったのは小学生のときかなぁ」
俺は小さく頷いて夕陽を見た。
いつも見ている夕陽が今日はいつもより鮮明に見える。
俺たちは観覧車から降りて遊園地を後にした。
「今日はありがとうございました。凄く楽しかったです」
「俺も楽しかったよ。ありがとう」
遊園地から出て駅まで歩いていく。
「雨も降らなくてよかったです」
「そうだね。やっぱり気分がいいと晴れるのかな」
俺がそういうと加藤さんは少し下を向いた。
「観覧車から見える夕陽が綺麗だったなぁ。多分初めて乗ったけど良かった」
「多分?」
ああそうだ。加藤さんに記憶喪失のことを言っていなかった。隠すつもりもないし言ってしまおうか。
「俺さ、記憶喪失なんだ。小学生の頃に事故に巻き込まれそうな女の子を助けたら自分が事故に巻き込まれて記憶がなくなっちゃったんだ。確か2年生くらいかな」
「記憶喪失......?事故......?」
加藤さんの声が少し震えた。
「俺もその時の記憶はないけどね。聞いた話によると駅前の大きい交差点でトラックが突っ込んできたんだっけ」
「......その時に助けた女の子は今どこにいるんですか?」
「そういえば今どこにいるんだろ、わからないな」
「そうなんですか。その時の女の子のこと恨んだりしているんですか?」
「いや、そんなことないよ。女の子は助かったみたいだから良かったと思ってる。ちょっと会ってみたいなとは思ったことがあるけどね」
「そろそろ駅に着くね」
会話をしているうちに駅が見えてきた。もう少しで解散だ。
「あの、すみません」
「どうしたの?」
「黙ってたことがあります。さっき、記憶喪失の話していましたよね?その時の女の子って多分私のことです」
「え?」




