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ペトリコール・メモリー  作者: 藤和
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木島結衣という人間

 木島結衣という人間に初めて出会った時のことはあまり覚えていない。思い出せることは高校生活1年目の冬が終わろうとしていた時に会ったということ、校舎の3階の隅にある理科室で空を眺めていたということくらいだ。


 気がついたら昼休みに屋上で昼飯を食べるような関係になっていた。彼女とはそれ以上の関係でもそれ以下の関係でもなかった。


 この関係になってから半年が経とうとしているが俺は未だに木島結衣が何者なのかわからなかった。(もっとも、彼女との関係性が変わらない以上俺が彼女の正体を知ることなど不可能なのだろう)


 そして彼女はかなり知識が豊富で、話せば話すほど木島が同じ歳だとは思えなくなっている自分がいた。


 そんな正体不明な彼女だが俺はなぜか信頼を寄せていた。(名前くらいしかわからないし昼飯を一緒に食べるだけの関係なのに)彼女に相談すれば大抵の問題は解決してくれるだろうという浅はかな考えもある。


 現に今、俺は木島結衣に加藤優菜の雨降らしについて相談をしている。


「多分だけどさ、その能力って女の子の精神面が原因で発動してるよね」


「なるほどね。確かに彼女の感情の起伏で雨の強さが変化したからな」


「それが本当だとしたら一番手っ取り早いのは女の子の感情を大きく変化される要因を取り除くことじゃない?」


「それはそうだけど、俺と加藤さんは学校が違うしそういう手段は難しくないか?それに一時的に無力化するというよりは完全に能力を消し去りたいんだ」


「注文が多いね。じゃあもう女の子に聞くのが一番でしょ」


「聞くって何を?」


 木島は少し呆れた顔をしてコーヒーを飲んだ。


「雨に関するトラウマだよ。多分後天的な者だと思うんだよね、雨の能力」


 なるほどと納得した。確か雨の能力に気づいたのは小学生の頃と加藤さんは言っていた気がする。


「ありがとうな、木島」


「ただの予想だからあてにはしないでね。あと、君の秘密は言ったのかい?」


 その言葉で一瞬だけ、心臓が止まったように感じた。













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