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茜色の世界7
「後悔してるんだろう?」
ヒカルは、再び牢にいる男に問いかけた。
牢は結界の応用。
ガラスの部屋のようで、隙間なく結界に覆われている。手足には魔法の枷。力を加えようとすると感知され、雷撃が流れ身体の動きを奪う。
魔法の吸収は、牢の外からできる道具を使っている。
「殺せ」
何もかも投げ出したかのようにへリアスは呟く。
「あんたは利用価値があるからダメ」
ヒカルは冷静に言った。
牢の前に映写機。歌の所だけを再生し続けている。一度止めたのを、再び再生する。
「っ!やめろ、見たくない!」
「彼女に会いたくなるからだろ?本当は会いたくてたまらないだろ?」
「………手に入らないのに、余計苦しいだけだ」
可哀想に、とヒカルは思う。
顔を背けて苦しむヘリアスは、最初に見た彼とは、まるで人が違うようだ。
彼女が変えた。
こんな心理的拷問したくないけれど、仕方ない。
悲しむユキを見たくないから。
あの日とてもきれいな光景を見たから。
歌を歌う女性とそれを楽しそうに聴いて、彼女の髪に口づけしていた彼を見たから。
「あんたの力がいるんだ。協力する気になるまで、聴いてもらうよ」
大丈夫だ。きっとこの人は、最後には…
だって自分が彼なら、叶わなくても一目逢いたいと思うから。本気なら。




