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茜色の世界5
「都お姉ちゃん。お腹重くない?」
姪の律が都に甘えてくれるようになり、最近は二人で一緒に夜眠ることが増えた。
都は嬉しかった。夜は殊更一人になると考えてしまうから。
もう帰れないのか?
迎えがなぜ来ないのか?
向こうで何かあったのか?
先の見えない不安ばかり。
だから律と言葉を交わし、小さな温もりを感じるとほっとする。
世界に取り残されたような孤独を紛らわすことができる。
「重いよ。でも、それが嬉しい。赤ちゃんが大きくなった証拠だからね」
おやすみ、と律に布団をかけて都は目をつむった。
もういつ生まれてもいい頃なのだ。
ユキの時は、夫が立ち会ってくれた。それどころか助産までしてくれた。
でも、今度は…
今は、お腹の子のことに集中しなければ。
ルーと別れてまで、この世界に来たのだから。
翌朝陣痛が始まり、夕方には満の診療所に都はいた。
ルシウス…!
心の中で何度も夫の名を唱えた。彼がそばにいると信じて気力を振り絞った。
そうして…明け方に生まれた子は、女の子だった。
愛という意味を込めて、マナと名付けた。




