茜色の世界3
「こちら側から道を消したのだから、道を作るために、召喚魔法で一人向こうの世界に送らねばならないのです」
「それなら俺が行く」
ルシウスが即答した。
「いや…それだと、帰りが…」
レオが困惑して遮った。
「そこです」
リュカが、黒板に図のようなものを描いていく。
「ルシウス、あなたをレオが召喚魔法で送ったとして、帰りのことですが…」
「ああ、そうだな…別にいい」
え?と問いかける皆の視線を受けながらルシウスは続けた。
「俺はミヤコといられるなら、どこの世界だっていい」
穏やかに言うルシウスを見て、ユキは何も言えない。
一人の召喚魔法で喚べるのは一人だけだ。
リュカが帰りの召喚魔法を使っても、帰れるのは一人。
「しんみりしなくて良いんです。帰れますよ、おそらく」
リュカが冷めた目で言った。
「へ?」
皆がきょとんとした。
「こちらとあちらの世界、魔法使いは何人いますか?その内、召喚魔法をまだ使っていない者は?」
忘れていますね?
リュカはやれやれ、と首を振った。
リュカが解答を出してやり、具体的にやるべき事が見えてきて、レオは開発に着手し、ヒカルとユキは説得の手段を考え、ルシウスは手っ取り早く洗脳を思い立った。
「…いや、ダメか。おそらく洗脳は効かない」
闘って分かった。力関係は拮抗している。
考えるルーに、ヒカルがにこっと笑いかけた。
「ルシウス様、いい方法を思い付いたので、それ貸してください」
映写機を指差すのを見て、あからさまにルシウスは不機嫌になった。
「まさかと思うが、ミヤコをダシにするつもりか」
「要は、あの人の感情を利用すればいい」
「絶対に許さない。他の方法を考えろ」
映像を人目に晒すだけでもムカつくのに、よりにもよって。
「ここは、堪えて下さいよ。映像よりも、ミヤコ様自身を取り戻さなきゃ」
「………………………くそっ」
ルシウスが苦い顔をして、渋々というようにヒカルにそれを渡した。
ヒカルがユキを見て言った。
「よしっ!拷問しますか」
道を消した事を後悔させてやる。
「ヒカル、怖い!」




