表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/124

追跡5

「もったいぶるな、早く言え」


苛立つルシウスに、ローレンは顎をあげて尊大に言った。


「君さ、お願いの仕方を知らないのかい?私は忙しい中、今君のために時間を割いてるんだよ?その上、扉は破壊するし、偉そうだしさ。」


「……………」


玉座に座っているローレンは肘をついて、ルシウスを見据えた。


「本当にミヤコを助けたいなら、その気持ちを私に見せてみろ。」

「………………」


ルシウスは、天井を見上げて息を吐いた。

それから俯いて、ゆっくりと初めて膝を折った。


「グラディア王。俺に力を貸して欲しい」


真摯にルシウスは、ローレンを見上げて言った。


「俺は、ミヤコがいないと生きていけない。妻を取り戻すためなら膝ぐらい折る。何でもやる……だから力を貸して欲しい。頼む」


「………その言葉が聞きたかった」


ローレンが、打って変わって柔らかい表情で言った。


リュカは驚いて言葉もなくルシウスを見ている。

もういい、とローレンが立つよう促した。


「ルシウス、ミヤコはもうこの国になくてはならない女性だ。君には不本意かもしれないがね、もう君だけの彼女ではないんだよ。ミヤコはこの国の多くの者たちに愛されている。兵たちからも彼女を救ってくれと、陳情書が多く寄せられている。私たちが、ミヤコを放っておくわけがないだろう。リュカ、教えてあげておくれ」


ローレンはそう言って、しばし目をつむった。


「…アールラニが敗れた今、ヘリアスは国には帰れないはず。おそらく彼には行く当てもない。けれど、生きている以上腹も空くだろうから、お金が必要でしょう。 ミヤコは盗みなど許さないでしょうし、彼女に少しでも自由があるなら、特技を活かしてお金を稼ぐはず」


はっとしてルーが、リュカを見た。


「世界各地に散らばるグラディアの間者の一人が、連絡を寄越してきました。ここより北東のニグラ国の街の朝市に、最近、美しい歌姫が現れるとか」

「…何!」


笑みを浮かべ、リュカが話した。


「歌は、グラディアやルルカに伝わる歌だったりしますが、その中には言葉がわからない歌もあるそうですよ」

「…ミヤコ」


気持ちが早って、今にも翔んでいきそうなルシウスをローレンが引き留める。


「落ち着け。私は君の助けになりそうなことが二つあると言ったぞ。確実にミヤコを取り戻したいなら、話を最後まで聞け」


「何だ?!」


**********


レオの発明部屋。

ごちゃごちゃと物に溢れ、足の踏み場もないぐらいだ。

ルシウスは滅多にその部屋に行かない。

潔癖な彼は、こういう雑然とした所が嫌いだ。

たまにミヤコが、ユキとレオと三人で何かを開発していたようだが、そんな時は入口で見ていただけだった。

ざわざわ、がやがやと騒々しい。

今その部屋に大勢の人が集まっている。

王宮に仕える兵や侍女たちが、レオとユキを中心に発明の助手を買ってでているのだ。


「これがここに付くとダメだな。ユキ、これにも魔法入れて」

「うん、いくついるの?」


「そうだな…あ、そこの君、それを取って」

「レオ様、ユキ様、昼食をお持ちしました。あっ、ルシウス様!」


侍女の声に、皆が顔を上げた。


「…レオ」


反射的にびくっとしたレオが怯える。


「あ、アニキ」

「その呼び方やめろ…俺も手伝う」

「えっ」


ルシウスが、じろっとレオを睨む。


「お前が寝過ごしたおかげで、俺はミヤコから離れたんだ。きっちり責任をとってもらう。お前は抜けてるが、発明においては天才だからな」


袖をまくり、ルシウスはユキの隣で、設計図を見た。


「父さん、大丈夫?」


気遣うユキを見て、ルシウスは苦笑した。


「自分の顔見て言え。くまができてるぞ」

「ええっ」


ユキが、慌てて目元に手を当てる。

入口からひょこっとヒカルが顔を出した。


「あ、あの、僕にも手伝わせて」

「ひゃああ!ヒカル!」


顔を隠したユキが、ヒカルの横を逃げていく。

それを目の端で捉え、あいつミヤコに似てきたなと、ルシウスは思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ