追跡3
ミヤコは外に出て、湖を眺め、白樺の林を散策した。
とても美しい風景だけど、ヘリアスは独りでここで暮らしていたのだろうか。
周りには、民家らしいものは見えない。
寂しくなかったのだろうか。
色んなことを考えながら、日が暮れるまで外にいた。
暗くなり始めてヘリアスが呼びに来たので、不機嫌にそっぽを向いてやったが、腕を掴まれ無理矢理家に連れ戻されてしまった。
夜は寒くなる。
暖炉に火が入れられ、倒れていた家具が起こされていた。
簡単に片付けをしたようだ。
目を合わせないようにして無言でパンを食べる。
相手も黙っている。
ただミヤコと違い、ヘリアスは嬉しそうに彼女を見つめていた。
食べ終わると、寝台に横になったミヤコは、防御のために毛布で自分をぐるぐる巻きにした。
目をつむり、寝たふりをした。
ルー、心配してるだろうな。
捜してるだろうな。
ユキから、聞いただろうか。
さぞ驚いただろう。
自分から告げたかった。
彼の表情を見たかった。
喜んでくれたかな。
「…ルー」
寂しかった。また離れてしまったことが辛い。
涙がにじんだ。
どのくらい経っただろうか、ギシッと寝台がきしんだ。
ヘリアスが、ミヤコをそうっと後ろから抱き締めた。
「寒いか?」
「……………」
唇を噛んで堪えた。
抵抗して拘束を掛けられたりするのが怖かった。
眠っていると思ったのか、ヘリアスはそれ以上ミヤコに声は掛けなかった。
ただ、自分が望むままに彼女の頬に口づけた。
「…暖かいな、ミヤコ」
髪の香りを嗅ぎ、彼女の肩を指で撫でた。
「ミヤコ」
ヘリアスの小さな声を、ミヤコは耳元で聞いていた。
「俺のものだ。俺の、ミヤコ」
違う…!
唇に手を持っていき、目を閉じたまま泣いた。
早く帰りたい。
あの人の温もりが恋しい。




