表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/124

最高の魔法使いルシウス


王宮の塔の上で、ユキは膝をかかえた。


今日は曇っていて、あまり景色がよく見えない。

島を出てここで暮らし始めた時、レオが教えてくれたこの場所。晴れた日は遠い景色も一望でき、

あまり人も来ないので、一人になりたい時はここによく来る。


朝、王宮の食堂で一度ヒカルを見た。

王子が家来たちと混じって朝食を食べるなんて珍しい光景だが、彼は普通に紛れていて気付かなかった人もいたようだ。


視線に気づいて、ユキを見たが先に目を逸らしたのは、ヒカルの方だった。


ショックだった。

人懐こくてユキの後ろばかり付いてきていた彼が、急によそよそしくなったことが。


母に言われた通り、自分は子どもだった。

最初は、両親に店で出くわさなければ、こんな事には、なんて思った。

でも、あとになって恥じた。

ヒカルを傷つけたのは、誰のせいでもなく自分なのだ。幼稚な自分のせい。

とても大切な話をヒカルはしていたのに、私は聞こうともしなかった。


なんであんな事を言ってしまったのか。

好きかと聞かれたら、嫌いじゃない。 にこにこして明るい性格の彼は、周りも明るくさせるようだった。


戦争中、彼だけは自分を人と同じように心配してくれていたのに。

魔法使いではなく、一人の女の子として見てくれたのは、彼ぐらいなのに。


「…謝ろう」


好きかはよく分からないが、これきりなのは嫌だ。


「ユキ」


背後から呼ばれて振り向くと、リュカが立っていた。


「リュカ」

「どうしました?何か悩み事ですか?」


ユキが落ち込んだりした時、ここに来ることをリュカは知っている。


「…何でもないです」

「王子と喧嘩でもしましたか?」

「ぐっ…」


なんて正直で不器用な子だろうとリュカは思っている。

ユキの隣に立ったまま、景色を見る。


「まあいいです。それより、そろそろレオと交代しておあげなさい」

「ええー…」

「私は政府の立ち上げのために、これからアールラニへ行かねばなりません。その間の国にも顔を出しに行くので、しばらく帰れません。ヘリアスの監視はあなたたちに任せます」


嫌だな。

でも、両親には頼めないしなあ。母さんをあいつに会わせたりなんかしたらダメだ!父さんは……うん、血を見るね。


「わかりました。あ、でも私、お風呂と眠る時は、兄さんに代わりますから」

「まあ、当然ですね、女性ですからね」


それから少しだけ黙って、リュカがユキをじっと見た。


「リュカ?」

「いえ……」

「何ですか?予知ですか?」


訝しむユキに微かにリュカは笑った。さりげなく話題を変える。


「私はどうもあなたの父上を少し誤解していたのかもしれませんね。へリアスが言ってました。ルシウスは甘い男だと…」


ユキには、ほんの少しリュカが優しい顔を見せた気がした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  ユキの子供っぽさが……( >Д<;)  確か26歳だったはずですが、本当に!?っていう(苦笑)  魔法使いだからというのを除いても両親や周りの過保護のせいですよね( o´ェ`o)  ……こ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ