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新たな時代2


今日はいろいろあったなあ。


ミヤコは寝台に寝転がり、手紙を読んでいた。


「あの娘は、一生結婚できないだろうな」


ルシウスがミヤコの隣に横になり、肘を付いて彼女の髪を漉いた。


「そんなことは…ふふっ、ルー、ヒカルのこと気に入ってるんでしょ」


ずっと彼を守っていたんだ。

情が移っても不思議じゃない。


「まあ、お前と同じくらいには…ところで、それは何だ?」

「うーん…」


読み終わった手紙を一通彼に渡した。


「…………」


読んだルシウスの顔がひきつる。


「…はあ?」

「好評だったみたいで、私の男装」


他の手紙も読み微妙な表情をするルシウスを横目に、ミヤコは贈り物の一つを開けてみた。


こ、これは!チョコ…


じっと見てから、ミヤコはぐっとこらえた。

手紙と贈り物をルシウスに押し付けた。


「いいわ、燃やして」

「…………」


手紙の束を手に取ると、ルシウスは寝室の開いてる窓から、それを放った。

放った瞬間、ぼっと火が点いてあっという間に、灰になって風に吹かれていった。


「いい、それは持ってろ」


贈り物を指差し、ルシウスが言った。


「え!いいの?」


チョコを許され、喜びを隠しきれなかった。


「………………」


ぱくっとチョコを一粒食べるミヤコを、ルシウスがじっと見ている。


「…お前…」

「はい、あーん」


彼女の指からチョコをかじって、ルシウスが続けた。


「…何か、他に隠していないだろうな?」


「え?ん!美味しい!」


ぱっとチョコを取り上げて、ルシウスが彼女をじいっと覗き込む。


「誤魔化すなよ。お前は隠し事があると、俺に少しよそよそしくなる」

「え?そうかなあ」


がっ、と肩を掴まれたミヤコは目を泳がす。


「吐け」


上目がちにルシウスを見て、


「言っても怒らない?」


と、そうっと聞いた。


「く…そ、そんな顔をしてもダメだ」

「ううっ、ごめんなさい。ルーに会うなって言われてたのに、私…」


ルシウスが、ミヤコの手を掴んだ。

彼女の心を読み取ったルーは、


「…ミヤコ」


ぎろりと彼女を見やった。


「ごめんなさい…」


うるうるするミヤコを、じっと見てから、はあっとルシウスは溜め息をついた。

それから、妻の頬を指でつまんだ。


「お前が、もう少し不細工だったら良かったのにな」


と言った。

ミヤコは頬をむにむにされながら、恐る恐る聞いた。


「お、怒ってる?」

「怒ってんじゃない。俺は…妬いてるんだ!」


苛立ってミヤコの顎をつかんだ。


「ルー…」

「ああ、くそっ!我慢しようと思ったが耐えられない。なぜ俺ばかり…」


ミヤコに覆い被さり、ルシウスが凍えるような恐い表情をする。


「やはりここに一生閉じ込めてやろうか。そうすれば、俺以外の男がお前を見ることはない。いや、男でも女でもどちらでも許さない。お前は俺だけが知っていればいい」


目を見開いて顔を強張らせていたミヤコだったが、直ぐに笑った。


「もう…」


ルシウスに手を伸ばして、自分の胸に引き寄せて抱き締めた。


「私が、必死であなたを取り戻したの忘れたの?私は、あなただけよ」

「……………」


ミヤコの柔らかさに、ルシウスは気持ちが良くてじっとしている。こんなふうにされると、なをんだか全てどうでもよくなる。

気が鎮まってきて目を閉じる。


「…考えたくもなかったが、ヘリアスは俺を乗っ取ったことで、俺の心を自分の心と錯覚している。なんせあいつは、俺の記憶や思ったことなんかも、全て知っているから…ちっ、はらわたが煮えくり返るようだ」


ゆっくりと顔を上げて、ミヤコの頬を手でなぞって呟く。


「あの野郎…。俺だけしか知らないミヤコの…あんなことやあられもないあんな…」

「きゃあ、やめて、黙って…」


一気に赤くなる彼女が顔を覆う。


あいつには、分相応な記憶と心。

だが、それぐらいくれてやる。

だってあいつには、決して手に入らないものを俺は既に手に入れているから。


羞恥で悶えるミヤコに唇を寄せると、それでも素直に彼女はそれを許した。


俺が生涯共に生きる女。

俺だけのミヤコ。


「…甘い」


唇を離し、ルシウスは満足気に笑った。


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