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ヘリアスの想い


「待て!君は、どっちだい?」


王宮に現れたルシウスに、ローレンが怪しんで問うた。


「…何だと?」


ぐったりしたミヤコを抱えたまま、面倒臭そうに辺りを見回す。

まだアールラニの兵たちとの戦いが終わっていない。

乱戦模様だった。


「あの野郎、俺の力を散々使ってくれたな」


洗脳された者だらけだ。

苦い顔で、紅く瞳を光らせた。


洗脳を解かれたアールラニ兵が、我にかえる。周りを見て、武器を捨て降伏の意を示した。


「と、父さん?」


二人を見て、ユキが駆けてくる。


「ユキ、俺が俺に戻ったことをこいつらに分からせろ」

「ええー!」


困って考えて


「…父さん質問。あなたがこの世で一番好きなものは、なんですか?」


ふっとルーは笑った。


「それは、ミヤコに決まっている。俺と命を分け合った、俺の最愛の妻だ。」

「あ、やっぱりルシウスだ。お帰り。」


ローレンが納得して言った。


「か、かっけー…」


抱えるミヤコの額に無意識に口づけするルーを、ヒカルが赤い顔で見て呟いた。


そうしてルーは、平原の方の洗脳も解いた。

レオに、「ドジな奴だ」とぼやきながら洗脳を解いてやった。 ついでに全ての拘束も解いてやった。


「やれやれだ。」


港の方の処理も終わり王宮に戻ると、さすがに魔法を酷使したものだから、疲れていた。


ずっとミヤコを胸に抱いたままだった。離す気になれなかった。

王宮では慌ただしく、片付けに追われている。


「少し休ませてもらう。」


駆け回る人びとを尻目に、長椅子に横になった。

眠るミヤコを胸に乗っけたまま、結界を張って目を閉じた。

彼女の髪を二、三度手で漉いてから眠りに落ちた。戦いの後とは思えないほど、安らかな気持ちだった。

彼女のぬくもりと香りと重みさえ心地いい。

いつも眠る時に感じる、慣れ親しんだ恋しいものだから。


ユキが、毛布を手にしてやって来た。


「ふふ、母さん元の顔に戻ってる。」


ルシウスに肩を抱かれ、ミヤコは安心したように眠っている。


「よかったね、母さん…」


そっと二人に毛布を掛けた。

ユキには、二人がいつも一緒にいることが、自然のように感じていた。 彼女が幼い時から、見知った光景だったから。


だから、ほっとした。

ああ、やっと元に戻ったと思った。


****************

「どこだ…ここ?」


薄暗い。

窓がなく、地下のようだ。

牢か…


それも普通の牢じゃない。

鉄格子に沿って、魔法の檻が設えてある。

翔ぶことができない。

この中では、魔法が使えないようだ。


時おり、鉄格子が光るのは雷が流れているからか。

それに冷気と風か。

手でそれに触れたりして、逃げようとすれば、傷つくことになるだろう。


ふう、と息を吐いた。

額に手をあて、身体を起こして座った。


とても…

とても幸せな夢を見た。


目覚めて、それが現実でないと知り、愕然とした。そして初めて、自分が孤独だったことを認めた。


俺は…誰かに…


「愛されたかったの、か…」


愛される夢は、あまりに心地よくて、満たされて。

俺は、どうしたらいい?なぜ、あの男の感情と同じものが、胸にある?もう俺は、本当の体でいるのに。


どうしてだ?

これは乗っ取りの余韻なのか?


いや、違う…

俺が、愛してるのか?

あの女を…?


「まさか、な…。」


認めない。認めてしまえば、苦しむのがわかっていた。

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