表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/124

決戦3


王宮内は、意外なほど手薄だった。城壁を器用に登る闇の手達に、ヒカルは四苦八苦しながら付いていった。


回廊を歩いて来た兵を、暗がりに潜んでいたオルドが手を伸ばし、捕らえた。


「なっ…!」


喉元に、闇の手の一人の男が剣をぴたりと突きつけた。


「ヘリアスの身体は、どこだ?どこにある?」


黙ったままの兵に、剣を更にあてがう。


「し、知らない…本当だ。」

「嘘をつくな。」


ヒカルたちは、警戒して辺りに目を配っている。


「ほ、本当だ。ヘリアス様は、誰も信用されてはいない。あの方の身体は、あの方しか居場所を知らない。」


そこまで聞くと、オルドが兵のみぞおちを殴り、気絶させた。


「本当に知らないようだ。やはりユキ様に頼らざる得ない。」


部下が手際よく、気絶した兵を引きずり、死角になる物陰に隠す。


**************


ユキは、目を閉じ、一人集中していた。


「…感じない、どうしよう。」


ヘリアスの身体はあるはず。だが、隠された場所がわからない。

気配がない。

消すの力のせいか。


王宮にいるヒカルたちの気配は感知できる。

アールラニの兵たちの気配もわかる。


こめかみに手をあて、力を振り絞る。


「わからない…」


あせる気持ちがつのる。


「みんな、ごめん。気配を消していて、感知できない!」


オルドたちは、ユキの泣きそうな声を手のひらサイズの道具を通して聞いた。


「どうする?」


闇の手の女がオルドを見る。


「じき夜が明ける。急いでそれらしい所を手分けして探すか?」


もう一人の男が言う。

オルドはヒカルをちらっと見やった。


「殿下がおられる、無理はできない。見つからなければ、明るくなる前に撤収する。」


一点を見つめ、ヒカルは考える。


「…ユキ、教えて欲しいんだけど…」


ふと顔を上げたヒカルは、道具に顔を寄せた。


「…何?早く言って」

「ああ、落ち着いて。君は気配を感知できないって言ったよね。」

「だから?」


苛立つユキの声に構わず、ヒカルが聞く。


「…じゃあさ、王宮内で気配を一番感じない所を教えてよ。」

「あ!」


ユキが声を上げた。

闇の手たちが、ヒカルを一斉に見る。


「気配を消してるなら、そこでしょ?」

「なるほどね」


ユキは探ってみた。

王宮内の間取りも大体わかる。


「…地下、そう、地下だわ!」

「行こう!」


ヒカルが、皆を促し駆け出した。

ユキの声が誘導する。


幾つかの部屋の前を通り、奥へ奥へ進む。途中、出くわした兵たちを、オルドたちは慣れた様子で剣の柄や拳で気絶させた。


「殺さないんだ…」


ヒカルがほっとして言った。


「ミヤコ様に、命の危機を感じる時以外は、殺すなと命じられていますから。」


淡々とオルドが言った。


「つまり、まだ余裕ってことだ、ね!」


出くわした兵の急所を蹴り、ヒカルが言った。


最奥の王の間にたどり着いた。

扉の鍵を闇の手の一人が針金のようなものでこじ開けた。


ぎいっ、と扉が開く。


想像していたより殺風景な部屋だった。飾り気のない部屋。

壁際に玉座がぽつんとあるだけだ。


「このどこか下に、地下室があるのかい、ユキ?」


ヒカルが聞いたが、返事がない。


「ユキ?」


「何者だ?」


ユキは剣を突きつけられていた。

兵が三人彼女を取り囲んでいる。


「ここで何をしている。」

「……………」


暗がりの中で、ユキの髪に目を凝らした兵が気づいた。


「お前、まほぅ…!」


ユキが、ばっと兵たちを拘束する。

どさりと三人が倒れる。


「ぐう…」


あまりに拘束が強く、身体の内部にまで力が沁みる。

肺が…心臓が…止まり…


「あー!ごめん。」


ユキが慌てて、慎重に力を緩めた。

兵たちが汗を流して、荒く呼吸する。


「ごめん、苦しかったよね!私拘束苦手で…」


頻繁に使う力じゃないので、まだ加減がわからない。


「つい、殺しかけちゃうの、ごめんね。」


ユキは本当に困ったように、謝った。


母はかなり拘束が上手い。

ユキは知っている。

父が頻繁に、母に拘束を掛けられていることを。

いつでもどこでも愛情表現し過ぎて…堪えられないと判断した母は、その度に父を止めていた。


ヒカルたちは、床を調べた。

地下の扉のようなものは見当たらない。皆で剣の柄などで、床を叩いて音を確かめる。

冷たい石床を、コツコツと叩く音が響く。

勿論、玉座の真下も調べた。

でも、違うようだ。


まずいな。

時間が経っていく。


「ごめん、聞こえる?みんな。」


ユキの声が再びした。


「ユキ様?ご無事ですか?」

「はい。」


倒れた兵を見ながら、オルドに答える。


「ユキ、場所はここでいいのかい?」


焦りを隠してヒカルは聞いた。


「ええ、確かよ。」

「確かめたけど、わからないんだ。入り口の位置。」

「どこを確めたの?」

「どこって?床全部さ。」


壁に背を付け、ヒカルが答える。


「違う!壁よ、壁を探すの!」

「へ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ