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ゲーム
山道を行く兵たちは、奇妙な感覚に捕らわれていた。
真夏の暑さで、兵たちの歩みは遅いかと思われた。
しかし、その日は涼しい風が吹き、途中休みを入れると、しとしと僅かな雨が降り暑さを和らげた。
脱走者が半数を越え、兵たちの気力が萎えそうになった割には、天候のお陰でグラディアとの国境近くまで、たどり着くことができた。
山あいの平らに拓けた所で、野営にした。
昨夜のことがあるので、見張りを増やして警戒していた。
見張りの兵が、かがり火を見ていた。
ふとその視線を、野営を囲む山に向けた。
「…ひっ!」
「どうした?」
他の見張りが、驚く兵の視線を辿った。
「い、いつの間に!?」
周りの山々に松明の灯りが見てとれる。
前後左右の山の斜面を覆い尽くすような膨大な灯り。
驚く兵たちに魔法使いの声が降り注ぐ。
「警告はした。刃向かう者は殺す!」
その一声に、山々から大勢の声がこだまする。
ドドオッと地響きが鳴り、進路側の道の、側の山から土砂崩れが起きた。
たちまち道が土砂で塞がれる。
「か、囲まれた?!」
山々の灯りが、次第に声と共に下ってくる。
「早く逃げろ!!」
身を潜めたレオが、叫んでやった。
その声に弾かれたように、兵たちは一斉に走り出した。
唯一開けてあった、来た道めがけて。




