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新たな幕開け2

Γね、頼むよ。」

Γ………何で私が。」


さっきからお願いという名目の命令をされている。冷たい目を向けると、


Γその目、ルシウスに睨まれた時とそっくり…」

Γもう知りません。」


父親に似てると言われて喜ぶと思ってるの?

つん、として背を向けると王様は下手に出た。


Γ君の感知の魔法は抜きん出ている。だから息子を捜して来て欲しいんだ。家は引っ越していてね、国外には出てないはずなんだけど…」

Γ父も母も知ってたんですね?」

Γそうだよ。」


何か仕組まれてる。自分に頼まなくても両親や他の者でも良い依頼だ。


Γ……陛下。」

Γ…む、息子に会いたいんだ。」

Γ……わかりましたよ。」


自分でもきつく断れない甘さは自覚している。

承諾した途端、王様はうっすらと笑っていた。


************


Γはあ…」


今、ユキは旧ルルカ国王都にいる。グラディアとルルカが一緒の国になり久しい。土地の名称は残っているが、政治的機能はグラディア王宮に移されていた。

ユキは捜し人を今まで知らなかった。だが、感知の魔法が得意な彼女は、王が持っていた息子のへその緒を頼りに気配を覚え、この地に翔んで来た。

全く陛下も陛下だ。まさかの隠し子とは呆れた。


街中を歩きながら、ユキは溜め息をついた。なまじ両親が永遠の恋人状態なのを見て育ったもので、こういう話題は嫌悪しか湧かない。


賑わう店を横目に歩いていたユキは、ふと歩みを止めた。目標の気配が近い。既に家は見当は付けていたので、そこで待とうかと思っていたのだが。

近付く気配は後ろから。早足でこちらに向かって来ている。


Γ……どうしよ。」


何て声かけようか。人通りの多いここで事情は話せない。ユキがそう考えていたら向こうから声を掛けてきた。


Γ君、一人?よかったら僕とお茶でもどう?」


ナンパ。父親が父親なら子も子か。


肩を叩かれて、目標の青年を目に捉えた。

薄い金の髪がさらっと額にかかり、目は新緑の色。愛想のある笑顔で青年はユキを見ている。だが彼が結構緊張しているのが伝わってきて、ユキは興味を覚えた。


Γわあ、嬉しいです。実は私、この街初めて来たので…色々案内を頼みたいんです。」

Γいいよ!ぜひ!」


王様によく似てる。

ユキは彼を観察するように眺めた。



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