表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/124

光へ5


「マナが泣いてる」


泣き声に気付いて目覚めたミヤコは、シーツを身体に巻き付けてルシウスの腕から抜け出した。


「ミヤコ」


振り向く彼女に、目覚めて寝そべったまま告げる。


「俺は…どうもお前に支配されてる気がする」


くすり、と彼女が笑った。

月光に照らされる乱れた長い黒髪が艶めいて、美しい姿だった。

戻って来て、呼吸を吸いとるような口づけを交わして、ミヤコが部屋を出た。


ふぁーふぁーと、泣いているマナの声が間もなく静かになった。


ふと窓の外に、いつの間にか細く雨が降っているのに気付いた。

戻ってきたら、抱き合って眺めたらいい。


戸を開け放したマナの部屋から、ミヤコの子守唄が小さく聴こえる。

ルシウスは、知らず微笑んだ。

静かで温かい気持ちが胸を満たした。


俺は再び彼女と生きていける。

その想いが、自分を形成する全て。

長い時を越えて行く支え。


「ルー…」


マナを寝かせて、ミヤコが戻って来た。

安らいだ顔で眠る夫を見つめた。

ふふっと笑って、彼の腕の中に潜り込んだ。

半分意識があるのか、ルシウスがミヤコをそっと抱き締めた。


「愛してる、ルシウス、とても」


返事を期待せず、ミヤコは独り言のように彼の耳元で告げた。


思いがけず微かに唇を動かして、ルシウスは小さく応えた。


「…俺もだ」


ミヤコは目を閉じた。

ようやくこの場所に帰って来れた。

互いがいる場所に。


安らかな温もりに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ