光へ4
ユキからマナを取り返し、三人は島に帰った。
「ルー、私はあの人とは何もなかったから」
眠ったままのマナに乳を飲ませながら、ミヤコは俯いて言った。マナが寝ていても飲もうとする。
「ああ、わかっている」
しばらく帰っていなかった家を魔法で掃除して、ルシウスは言った。
聞かないでもいいと思っていた。こんな状況で問い詰めるなど、彼女自身が辛いと思ったから。
ヘリアスがミヤコの嫌がるようなことをするとは、不思議と思えなかったし、もし何かあったら彼女の表情を見たらわかる。
幾度も想像して、じっとしていられなかったのは別としてだが。
「触ろうとしたら、殴って蹴ってやったわ」
「………そうか……」
………強い。
「…マナ、ずっと寝てる」
彼女が心配そうにマナを見つめているのに、ルシウスは気付いた。
「さっき召喚魔法を使って、小さいのに力を出しすぎたせいだ」
「だ、大丈夫かな?」
ミヤコからマナを受け取り、様子を確かめる。
「………疲れて眠いだけだ。心配いらない」
マナを見つめるルシウスの顔が優しくて、ミヤコは微笑んだ。
ルシウスがマナを、昔ユキの部屋だった所へ連れて行く。後を付いてミヤコは覗いてみた。
思わず笑った。
ルシウスはミヤコがいない間に、ちゃんとベビーベッドを出してきて、部屋を用意してくれていた。
「ユキの取っておいて良かったな」
捨てられずにしまっていただけだが、また使うことがあるとは思わなかった。
軽く布団をかぶせると、マナがふわぁ、と欠伸をした。
微笑むミヤコに、ルシウスが聞いた。
「ミヤコ…身体はもう大丈夫なのか?」
「うん」
治癒力が高いから、マナを産んでも身体の回復が速く体型も変わらない。知らない者が見たら若い娘にしか見えないのだ、この先も。
ルシウスが微かに口の端を上げた。
「……………そうか」
おもむろにガバッとミヤコを肩に担いだ。
「きゃあ!」
寝室にサッサッと連れて行き、ベッドに下ろしぐいぐい迫る。
「…ミヤコ、俺はかなり我慢していたのだが…」
「お、お風呂に」
「もうこれ以上待つのは、こりごりだ」
うんざりした表情のルシウスに、ミヤコはつい笑ってしまい、そっと唇を寄せた。
「会いたかった、本当に長かった………」
抱き締めあって、共にいる喜びを噛み締めた。




