光へ
ルシウスが、懐から小さなブレスレットのような物を取り出した。
それをマナの小さな手首にかける。
ブレスレットにはビーズのような珠が幾つか通っていて、青色に光った。
「すぐに召喚される。今のうちに、別れを言っておけ。今後長い間魔法使いは誰も召喚魔法を使えなくなる」
マナを抱いて、ルシウスが都に促す。
「うん」
聞きたいことは沢山あったが今は置いて、満に歩み寄る。
「よかったね。姉さん、こっちは心配いらないよ。母さんのことは任せて」
「満…ありがとう。あなたのお蔭でマナを産めた。本当にありがとう。元気でね」
満は、都の肩を軽くさすった。
「だんな、イケメンじゃないか。いつまでもお幸せに」
茶化すように小声で満が言う。
「もう!満も幸せにね。祥子さんとお母さんによろしくね。お礼を伝えて」
そうして、律と華をギュッと抱き締めた。
「都お姉ちゃん、マナちゃんと帰っちゃうの?」
「うん」
「淋しい」
「私もよ、皆……ありがとうね」
微笑んで子供達を見つめる。
壮は向こうの世界の魔法使いを見て、驚きと興奮が冷めないようだった。まじまじとルシウスを見て、彼が目を向けると慌てて目を逸らす。
「壮君、元気でね」
「…う、ん。都さんも」
現実感が無くて、ぼんやりしたように壮は言った。
マナを抱く都の肩を、ルシウスが支える。
空を見上げると光が降り注いでいた。
それに合わせて、ルシウスはマナのブレスレットに指を置いて、マナ自身の力を引き出した。
「何をするの?」
都の問いに、集中を崩さず答える。
「………一人分の召喚魔法が足りない。だから、マナ自身の力を借りる」
言ってるそばから、カッとブレスレットが光り出した。
眩しくて目を開けられないほどだ。
「こいつは…」
ルシウスが言いかけた時、召喚魔法が三人を同時に向こうの世界に誘った。
空が回転する。
ふっ、とルシウスが笑った。
膨大なマナの力の放出を都もルシウスも感じた。
「ああ、この娘、次の最高の魔法使いだ」
愉快そうに言った。




