プロローグ
僕はある1つの嘘をついてしまった。この凍えるような季節、少しばかり足が凍えるような教室で。なんでそんな嘘をついたのだろうか、僕は今でも不思議でたまらない。
そんなにこの高校に入りたかったのかと言うと、その時は入りたかったと思ってた。夢ですらあった。
本音で言うと高校生と言うレッテルも貰える、すなわち高校に入れるって事だけが、その頃に思っていた僕の一番の願いだっただろう。
それとついでに都会でありながら、自然豊かな高校で有名だったし、何よりも進学率や就職率が高いってのが僕の心的に惹かれてたね。
だた僕は、動物も擬人化して人間と一緒に暮らしていくってのも僕の子供の頃の夢だったけ。
以前、幼少時代に僕が飼っていたメスのダックスだって、お腹を出しながら尻尾振っている姿を見ると、なぜ擬人化しないんだと思ったものだ。
だけど、現実は非常に厳しい。動物が人間みたいに突然変異を起こして擬人化するなんて夢物語聞いたこともないし、それを他言すればたちまち変態扱いだ。
そんなある日の朝、幼少時代の僕に、親からとある言葉を告げられた。その言葉は耳に耳栓して聞こえないように、いや、その事実を聞かなかった、なかったようにしたかった自分が居た。現実は残酷だった。
散歩中に逃げ出して、車にはねられたらしい。愛犬は既にここにはいなかった。それっきりか僕は動物すら見向きもしなくなっていた。
そんな現実と向き合いながら、中学生に上がった時にはその夢物語からは背を向けていた。
ただ、中学生3年にもなったある日、一人の同級生の言葉で僕の少年時代の忘れかけてた思いが頭によぎってしまった。濁流に流されていた先にある答えのように。
そいつは言いやがったのだ。
「なあ、ジョン、犬とか猫とか擬人化したら可愛いのかな」
僕は昔の自分を偽るように、鼻で笑っていた。
「そんなのいないだろ。お前変態だな」
しかしそいつは話を続ける。
「だってよ。噂で、私立南丘学園って高校が犬や猫ぽい人間がいるって今、中学の生徒の中で噂になってるんだぜ。学校側や教員は否定してるがよ」
「ふーん。そんな、夢物語あるわけないじゃん。動物が突然変異なんて起こすなんておかしいだろ」
そいつの言論にはいつも頭を抱えていた。
「じゃ、本当だったら、マックでもおごれよ」
僕に人差し指を向けてくる。
「ああ、何でもおごってやる。シェイク、ハンバーガー、何でもな」
僕はあざ笑るかのようにそいつに見た。
「それじゃ、お互いにこの高校を受けて見ようぜ。私立だし、受かったとしても本命のところ行けばいいしな」
そいつは僕にパンフレットを渡して僕に見せてきた。
受けるだけなら大したことにはならないだろう。そんな軽い気持ちで、この私立南丘学園を受けることになった。
それだけならば良かった、いやその時点で訳の分からないようなところに手を出すべきではなかったのだと、過去に戻れるのなら速攻で止めていた。ぶっ倒してもだ。
そんなこんなで受けることになってから、なぜか僕だけ本命の高校その他すべり止めの高校の受験に落ちてしまったのである。それも試験があった当日のうちに。
残すところ、南丘学園のみとなり、それすら落ちてしまったらまさかの高校浪人である。
そいつは本命に受かると、すぐにこう言っていた。
「本命に行くわ。受験頑張ってくれ」
貴様には友情というものはないのか。そういった気持ちになってしまった。
鬼気迫る僕の運命は、この高校にゆだねられたのである。その時についてしまった嘘が今後の僕の人生を大きく左右させてしまったの今は知らずに。
「僕は……動物好きで、世話好きで、これから動物たちと関わっていきたい」
その一言を言ってから、面接官の1人がニヤリと笑ったのが見えた。僕にとってその笑みには僕の背筋が凍えたのを覚えている。脳裏に奥深くに、大量の雹が落ちてくる感じで。
ただ、今日は非常に冷えていたのもあって、そんなに意味深には考えることはなかった。
面接が終わり、一日たった朝のことだった。すぐに合格通知が来たのである。私立南丘学園、Fクラスにて合格と。