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笑ってサヨナラ


数分、もしくは数時間か。よくわからないが茜音は英単語帳を開いてぼうっとしていた。

帰れるかわからない場所でのテストに向けて勉強をして何の意味があるのか。だが、茜音にはするべきことがこれくらいしかない。本当に暇だ。

「どうにもならない事が多すぎる

どうでもいい事なら良いのに」

先程からフジファブリックの「笑ってサヨナラ」が脳内でリピートしている。そんな時、私は絶対に口ずさんでしまう。

なるべく早く帰りたい。「帰れるまでいていい」と鴎外は言ってくれた。せめてその時がくるまで迷惑はなるべくかけたくない。

働ける場所があればいいのだが。とはいえ、中学生の茜音はもちろんバイトすらしたことがない。持っている資格といえば英検準二級だけ。中二にしてはすごいと言われるが、それも平成でのもので、当然、明治時代では何の価値もない。

「ただ今帰ったよ。」

鴎外の声。このテノールを聞くだけでなぜか不安がおさまった。本当に、魔法かと思ってしまう程に。

「おかえりなさい。」

玄関には軍服姿の鴎外さんが。

「あ、着物着させてもらいました。ありがとうございます。」

付け足しのようになってしまったが、言わないよりは幾らかましではあると思う。

「着物も着てもらわないと意味がないからね。」

多少臭いセリフだが、彼が言うとむしろ格好よく聞こえるのはなぜだろうか。

それにしても、と再び鴎外は口を開いた。

「昨日の洋装も良かったけれども、和服もまた素敵だね。」

小学校以来、まともに男子と話していない。もちろん男性とも。

「いや、そんなことないと思います。」

いつものテンションを貫けない。動揺しているのは私だけで。目の前の彼は余裕綽々。なんだか恥ずかしくなってうつむいた。


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