5.親の心配
本日もありがとうございます。
書いていたら長くなり、どこで切るか悩んだ結果少し短いです。
よろしくお願いいたします。
アーネストとメルヴィンは2年ほど真剣に鍛錬に取り組んだ。
それだけの時間を経て、二人は辺境の軍隊の新入り勢と対等に戦えるくらいになった。7歳にしてのその実力は誰も文句のつけようがなかった。
「うわっ!重っ!!見た目詐欺でしょ」
「坊っちゃん、魔力乗せすぎですって!!剣折れます!」
「イ゛っ!!痺れた〜!!雷?今の、雷ですよね?ホントにやめてくださいよ!!死んだらどうするんですか?」
身体は小さいが、魔力の扱いならば大人よりも長けているアーネスト。剣技と混ぜれば大人もかなり押される。最後はどうしても力負けしてしまうのだが。
そしてメルヴィンは。
「うっ…痛ぇ…投石とかなんなんだよお前は!」
「目ぇ狙うな!!」
「チョロチョロしやがって!!あっ!!イテテテ!こいつ噛んだ!!」
魔力の少なさをどんな手を使ってでも勝つという戦法で補っていた。まあメルヴィンの場合は奇襲は何度もは通用しないため、何度も手合わせをすれば負けが多くなるのだったが。
それでも子ども二人は鍛錬をやめなかった。そう遠くない時期に新入り達を追い越すだろう。
それがわかっているだけに辺境の兵士達は子どもに負けぬよう努力をした。それはもう必死に。アーネストを中心に辺境の力は1度目よりも強くなっていた。アーネストにとってはそれはとても心強いことだったのだが…。
アーネストがあと半年で8歳になる頃、母親のルースは人払いをしたところで夫に聞いた。
「アーネストは頑張っているようですね。大変力をつけたようで」
「そうだな。あれは、随分と強くなった。この先、もっと強くなるだろう」
「…それで?これから先、どうなさるつもりですか」
「……」
「剣だけではありません。勉強も…あんなに難しい本を読んで。
いくら何でもおかしいのではないかと家の者たちでさえ思い始めています。
何かに取り憑かれたように努力するあの子を」
「……」
返事をしない夫に母親の声は大きくなる。
「わかっているのでしょう?このままだとあの子は強くなりすぎる。
もう既に、あの子を怖がっているのは領内の子どもたちばかりではありません。
大人も、兵士たちもが畏れ始めているのです。これ以上の鍛錬は、あの子を…」
「わかっている」
父親は言った。
「このままいけば、あれは、人々から畏れられ、孤立していく。
それは領主としても危うい」
「では…」
母親の言葉を待たずに続けられたのは、
「しかし、アーネストには何か理由があるのだろうと思う。どうしても強くならねばならない理由が。
…私達に教えてはくれないがな」
「……」
「もう少しだけ、待ってくれないか」
母親は頷くことしかできなかった。
そういった大人達の気持ちはどうあれ、アーネストの鍛錬は日々続いた。後から『もっとやっておけば』というのは通じない。次にまた巻き戻る保証はないのだから。
周りの者が彼を不気味に感じる大きな原因である読書も、それまで以上に熱心にするようになった。
前世の知識を生かして家の蔵書を系統立てて読み、現状の国内の貴族のつながりを理解した。彼らがどのように政治に関わっているか、力関係を学んだ。そこには既にフォード公爵家の影響力の大きさが見え始めていた。
1度目の記憶のおかげで文字を書くことも当然できたため、学んでわかったことや疑問、考察は帳面に書いてまとめた。
最初は手がうまく動かせなかったのは剣と一緒だったが、毎日書いているうちに1度目の人生よりもずっと字が上手くなった。
とある機会に、帳面にびっしりと書き込まれた彼の考えを読んだ家庭教師は、その職を辞した。
「私が御子息に教えられることは、もうありません」
子どものための初歩の学びの家庭教師とは言え、7歳のアーネストの能力に恐れをなしたのだ。彼の顔は青褪めていた。
「そうか…今までご苦労だった」
そう家庭教師を見送った辺境伯は、それ以降、しばらくは自分がアーネストの勉強をみることにしたのだった。
お読みくださりどうもありがとうございました。
書いていて長くなったので悩んだのもありますが、昨日は家が散らかりすぎて掃除をしていたので更新のタイミングを逸しました。すみません。掃除機がかけられるくらいには片付きました。
これからは2〜3日に一度の更新を目指そうと思います。ブクマしていただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
*元は短編だったので父親に名前がありませんでした。次回つけます。




