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目力令嬢ステラは巻き戻りに気付かない  作者: 青木薫


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3/8

3.アーネスト・ウェリントンの巻き戻り

第3話目になります。今日もよろしくお願いいたします。

少し短めです。

 魔眼をもち、その力を暴発させたステラに敗れただろうアーネスト。


 意識を失ったが、気付けば寝室で寝ていた。ベッドから跳ね起きたアーネストは自分の手の小ささに驚き、そっと息をしながら周りを見回す。


 自分の寝室。しかし置かれている家具は子どもの時に使っていたものだ。ベッドも小さい。


『どういうことだ』


 壁に目をやれば、鳩時計が掛かっている。それは、昔、父親が珍しく土産にと買ってきてくれた物だ。


 時刻に合わせて出てくるその鳩を、すぐに乳兄弟のメルヴィンとスリングショットの的にして壊したのが5歳だった。そのとけいが今、壁で元気にポッポーポッポーと時を告げた。


『…5歳ということか?』


 鳩が小さな家の中に帰り、寝室は静かになった。のんびりとした雰囲気が漂い、カーテン越しの光から、朝だろうと思ったアーネストは小さく呟いた。


「あれは大事にしよう…いや、別の場所に…」


 夜中に鳴いてうるさい、というのもあって的にした鳩だったが、壊した時の父親の怒り大爆発を思い出したのだ。


 だが、そんなことを考えている場合ではない、とベッドから降りる。


 椅子に掛かっていた服を身に着けながら、これは、時が巻き戻ったということだろうか、と彼は思う。いや、それよりは夢だったと考える方が自然だとも。


 しかし、それにしては5歳とは思えない自分の思考である。出来の良い自覚はあったが、5歳の時にこれほど冷静にものを考えていたとは思えない。


 ならば今、自分はどこかで子どもの頃の夢を見ているのかと思った。が、その時、急にドアを大きく鳴らして小さな乳兄弟アルヴィンが部屋に飛び込んできた。手には木の枝で作ったスリングショットが握られている。


「アーネスト、起きたか?よし、今日こそあの鳩を撃ち落とそう!」


耳と頭に響くメルヴィンの大声に、『やはり時が戻ったのだな』とアーネストは確信した。


同時に、


『これは…神の采配か。あの恐ろしい出来事を俺に止めよというのか』


と、この出来事まきもどりのもつ意味を、重大さを考え、身体が震えた。


 そんなアーネストの様子にメルヴィンが


「何だ、元気がないな。昨日全然当たらなかったから、自信がないのか?


 じゃあ、今日は少しだけ距離を近くして撃つか?ほら、ここから!」


と鳩時計に向かって武器スリングショットを構えるので慌てて止めた。


 アーネストは不満そうなメルヴィンを『鳩が出るのをここで待つよりも、庭の木の実に当てるほうが何度も出来ていい』と外に連れ出しながら、これから先のことを考えていた。

お読みくださりどうもありがとうございました。

明日も更新できるよう頑張ります。

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