表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の友達  作者: パン太
プロローグ
1/10

第一話 勇者

よろしくお願いします。


 ――僕は『英雄』が嫌いだ。


 彼らはいつも自分を犠牲にしてまで、誰かを守ろうとする。

 彼ら自身を大切に想う人の気持ちになど、自分自身になど、価値がないと言わんばかりに。

 だからこそ、僕は――







 

 


 汗が頬をゆっくりと伝う。拭おうとするが両手は剣の柄を握って離れず、けれども指の先は氷のように冷たい。指先の感覚は先程から柄を何度も強く握り直しているせいで、もうほとんどなかった。

 

 周りの大人たちも同様のようだった。しかし、それも仕方がないことだろう。僕たちがこれから戦うのは、どんな害獣よりも恐ろしい存在なのだから。

 松明の火がゆらめき、侵入者の姿をゆっくりと照らし始めた。

 

 ゴブリン。

 緑色の皮膚に黄色く、細い眼。子供のような小さな体躯に細長い手足がやや滑稽な印象を与える。けれども、その首には犠牲者たちの手指を繋げて作った首飾りが下げられており、相手が残酷な魔物であることを嫌でもこちらに理解させた。

 

 ひっ、と誰かが悲鳴を漏らす。ゴブリンの一体が恐怖に駆られた僕たちを見て、ニタリと笑う。ゴブリンは一般的に下位に分類される魔物だ。膂力は大人に劣り、知能は幼い子供並みで複雑な作戦を立てることはできない。

 けれども、それゆえに子供特有の万能感に溢れており、死への恐怖が薄く、相手を殺すことに躊躇もない。それが集団として襲いかかってくるのだ。恐怖に駆られるのも無理はなかった。


「うっ、おぉぉぉぉぉぉ!!!」

「ゲイルさん!」


 ゲイルさんが絶叫と共に突進していく。剣を構えることなく、子供のようにあちこちに振り回しながら突撃していく彼は明らかに正気を失っていた。


 ――そして、トン、というどこか間の抜けた音と共に、腹に矢が突き刺さる。先ほどまでの勢いはどこへやら、ゲイルさんはそのまま糸が切れた人形のようにその場に倒れ伏した。矢を当てたゴブリンが狂喜し、周りのゴブリンがそれに続く。何体かのゴブリンは先を越されたことが悔しかったのか、それをぶつけるように倒れたゲイルさんの頭や背中に次々と矢を生やしていく。


 矢が突き刺さるたび、ゲイルさんは小さく痙攣し、それを見たゴブリンがゲゲゲ、と嗤った。大きく、不規則な笑い声が絶え間なく、まるで大きな生物のように一つとなって夜の静寂を壊していく。大きな音は、それだけで全身を圧迫し、肉を震えさせ、心を蝕んだ。


 やがて、ピクリとも動かなくなったゲイルさんに興味を失ったのかゴブリンたちが一斉にこちらを見つめた。次はお前だと言わんばかりに。黄色い瞳が暗闇に浮かび、まるで無数の光虫が飛んでいるようだった。

 誰も動かない。動けない。カラン、と誰かの剣が地面に落ちる音がした。虐殺が、始まった。


『皆、陣形を崩すな。落ち着いて一人で戦わなければ勝機はある』


 そう皆を鼓舞したのは、ニールさんだっただろうか。彼は既に事切れており、ゴブリンから腹部を滅多刺しにされていた。ゴブリンが腸を取りだし、まるでどこまで伸ばせるか試すように弄んでいた。


『ウィル。無理はするな』


 僕の身を案じてくれたコットンさんは村一番の力持ちで、よく重たい荷物を運ぶのを手伝ってくれていた。奥さんにしょっちゅう怒られていたが、その度に幸せそうに顔を綻ばせていたのを覚えている。


 彼は槌を振るい、多くのゴブリンを倒したが、倒したゴブリンの背中越しに胸に槍を突き立てられ、絶命してしまった。彼の首級は、まるで将軍首のように切り落とされ、穂先に掲げられていた。彼の顔が笑顔を浮かべることは二度とないだろう。


「ゲゲゲ、ゲゲ」


 対峙したゴブリンが僕を指さして笑う。殺し合いにおいて油断とも取れるその動作は、そのまま僕との能力(レベル)の差を表していた。不規則な鳴き声は、まるで言葉を発しているようで不気味だった。言葉の意味は理解できなくても、その内容が僕を嘲る内容だったのは、はっきりと理解できた。


「ゲゲ!!」

「っ……」


 ゴブリンが剣を振るう。咄嗟にこちらも剣で受け止めるが、相手の剣はこちらよりも大きく、重く、わずかな抵抗もできずに、大きく剣を弾かれる。剣はクルクルと円を描いて地面に突き刺さった。その瞬間を逃さず、ゴブリンが僕の腹を蹴り飛ばす。

 

 咄嗟に両手で防御するが、衝撃を吸収し切るには至らず、後方の大木に背中を強打した。肺の中の空気が一気に吐き出され、空気を求めて激しく咳き込む。ゴブリンは興奮したように雄叫びをあげた。

 

 霞む視界の中を、ゴブリンがゆっくりと近づいてくる。立ちあがろうとするが、背中を強打したためか、手足が震えて動かない。

 

 死ぬのか、ここで。

 

 ゴブリンは僕に近づくと、首を切り落とそうと剣を構えたが、その瞳が僕が身につけている首飾りへと向く。銀色に輝くそれを、珍しそうに掴み、紐を引きちぎろうとした。


「ギッ!?」

「やめろ……!」


 それは母の形見だった。中に緊急用の回復薬(ポーション)が入っているだけの、何の変哲もない首飾り。だが、僕にとっては唯一の母の形見だ。どんなものよりも、価値のあるものだった。

 

 ゴブリンと互いの腕を掴み合う。一瞬の均衡は、けれど徐々に相手へと傾いていく。当然だろう。膂力は大人に劣ると言っても、それはあくまで成人を基準にしてのことだ。十四の僕と比べれば、それは比べるまでもないことだった。


「ギィアアア!!!」

「がはっ」


 倒れた僕をゴブリンが拳で殴打する。何度も、何度も、怒りと鬱憤を発散させるように。急所だけは守ろうと両手で頭を隠し、背中を丸めるが絶命するのは時間の問題だった。殴られるたびに意識が薄らぎ、耳鳴りで周囲の音が遠くなっていく。

 

 それから何発も攻撃したゴブリンは疲れたのか、攻撃に飽きたのか、拳を止め、持っていた剣を掲げた。

 振り下ろされる剣はひどくゆったりとしていて

 死ぬ。眼を閉じた、その時だった。


「雷鳴剣!」


 視界を、青白い光が支配する。遅れて地を鳴らすような音と振動が身体を震わせる。

 肉が焦げたような匂いに目を開くと、そこにいたのは。


「大丈夫かい?」


 夢かと思った。

 

 雷を纏った純白の剣。顔の上半分を覆う、額に紅い宝石をあしらい顔の上半分を覆う鉄の仮面。その仮面から見える雪のように白い肌。月を溶かしたような黄金の髪は後ろで一束に括られ、着地とともにふわりと揺れる。


 全てがまるで御伽話のようで、思わず見惚れた。

 

 それが勇者、ルナリアスとの出会いだった。







 




 

「う――ん、美味しい!」


 その夜。死傷者の処理が終わった村では、勇者を歓迎するため宴会が開かれていた。宴会と言ってもなけなしの食料を出し合ってつくる質素なものだった。しかし、ルナリアスにはそれが気に入ったらしい。

 少しずつ料理を食べながら大げさに肩を動かしている。醜い傷跡を見られたくないということで、仮面をつけたまま食べている。表情は分からないが笑顔なのは間違いないだろう。


 勇者。

 聖剣に選ばれ魔物や魔族たちの王、『魔王』を倒す使命を背負った特別な人間。

 それが自分達のような辺境の村に現れた。村人たちの多くは宴会に参加しながらも、本当に現実なのかまだ呑み込めていないようだった。


「何で、もっと早く来てくれなかったの?」


 それはとても小さな声だった。けれども誰もが押し黙ったせいで、不思議なほどよく通った。皆の視線が声の主に集まる。声の主はロック。今回の戦いで無惨な死を遂げたゲイルさんの一人息子だった。瞳は悲しみで潤み、押し込めたそれは今にも溢れそうなほど震えていた。


「こら、止めなさい!」

「どうしてお父さんが死ぬ前に来てくれなかったの?」


 母親が慌てて制止するが、まだ幼く純粋な子供は止まらない。母親に抱き抱えられながらも、その瞳はしっかりと勇者を見つめている。そしてそれを、誰も止めない。それは誰もが胸に抱いていたことだったからだ。

 

 どうしてもっと早く。

 どうして今になって。

 

 皆の疑念や、失望といった負の感情が場を支配し、夜の闇を一層色濃くしていた。そんな中、勇者は立ち上がると、ゆっくりとロックの前まで歩く。

 母親が守るように目の前に立ち塞がるが、勇者は安心させるように剣を置き、母親とロックに前にゆっくりと片膝をついた。幼い子供と視線を合わせながら、勇者が口を開く。


「君の名前は?」

「ロック」

「そうか。ロック、すまなかった」


 それは誰もが目を疑う光景だった。伝説の勇者がただの村人、それも自分よりはるかに年下の子供に頭を下げたのだ。ありえない光景に村人全員が固まる。そんな村人をよそにルナリアスは顔をあげ一人一人の顔を見渡していく。一人一人に語りかけるように、間に合わなかったことを悔いるように。仮面で覆い隠された感情が見えるようだった。


「ロック以外にも大切な人を失われた方が大勢いらっしゃるのは知っています。私がもっと早く来ていれば防げたかもしれない。本当にすみませんでした」


 深々と頭を下げる勇者に誰も何も言わない。言えない。この勇者が、ルナリアスが心から責任を感じ謝罪していることに気付いたからだ。よく見ればルナリアスの装備はボロボロだった。

 

 純白の外套やブーツには所々に泥がこびりつき、たくさんの血や細かな傷が本来の輝きを損なわせている。だが、それは決して古いものだけではない。この村のために全力で駆けてきたのだろう。人々のために戦ってきたのだろう。そう思わせるには十分だった。

 

 すすり泣きが聞こえる。ロックだけではない。ロックの母親や、大切な家族・友人を失った者たちがようやく悲しみを受け止めたように涙を流し続けている。それは小さなものだったが、やがて大きな波となって広がっていった。そして全員が涙を流しきった時、勇者に不満を抱く者はいなくなった。









 


「いやあ、ありがとう。今日も野宿するのかと思っちゃって焦ったよ」

「いえ。大丈夫です」


 平静を装い、できるだけ余裕をもって答える。

 が、内心は全く大丈夫ではなかった。

 

 ルナリアスの謝罪後、不満の解けた村人たちは我先にとルナリアスを自分たちの家で歓迎しようとした。年を取った大人の喧嘩ほど醜いものはなく、当のルナリアスが困惑しているのに全くおさまらない。

 村長のハリソンさんが仕方なしにとった妥協案に皆渋々と従う結果となった。それがすなわち、誰も家族のいない僕の住む家だった。


「でもよかったよ。できれば君のいる家に泊まりたいと思ってたからさ」

「どうして、ですか?」


 意外な言葉に思わず質問が飛び出た。布越しで良かったと思う。家には寝室が一つしかない。そのため一部を布で仕切り簡易部屋としていた。粗末と言えば粗末だが、どこの家も同じような状況なので仕方がなかった。


「見たところ、私と同年代の子供って君だけだからさ。それに……」

「それに。なんですか?」

「いや、あんまり同年代の子と話した経験ってないんだよね。ちなみに私は十四。君は?」

「僕も十四です」


 驚いた。仮面で顔が分からないが同い年らしい。背の高さからして、もっと年上と思っていたが。


「お!なら同い年だね。よろしく。えーと」

「ウィルです」

「よろしく、ウィル君!」


 布越しに両手を掴んでくる。突然の行動に固まってしまうがルナリアスはお構いなしだ。揶揄おうとか、そういう邪念が全く感じられない。それがより一層緊張させた。


「ウィル君ってこの家に一人で住んでるのかい?」

「……はい」

「そうか」


 答えになっていないが、他人に話して気分が良い話ではない。

 ルナリアスもそれを察してかそれ以上は踏み込んでこなかった。


「さあ、今日は夜更かしするぞ!」

「どうしてそうなるんですか!?」


 いきなり布から現れたルナリアスに驚きつつ聞いた。


「なぜって、年頃の少年たちが一夜を共にするといえば、夜を徹しての語らいだと相場が決まっているだろう?」

「初めて聞きましたよ!?」

「まあ細かいことは気にしない。それよりも何か面白い話はないかい?私としては恋バナという奴に興味があるんだけど……」


 こうしてその夜は、ルナリアスに振り回されるように一瞬で更けていった。


 









 


「んんっ」


 目を開ける。

 まだ外は暗く、家の隙間から吹く風も冷たい。

 だが目を覚ましたのは、奇妙な音が聞こえたからだ。


「この音は、水?井戸の方からか……?」


 家の近くの井戸から何かを洗う音が聞こえた。

 外に出て井戸の方角を見つめると、どうやら誰かがいるらしい。


「わっ」


 そうして近づいていくと夜の暗闇で誤ってバランスを崩してしまった。

 転倒して顔を打つなんていつ以来だろう。

 そう思いながら顔を上げると、入ってきた光景に頭の中が真っ白になった。


「えっ、えっ」


 困惑の声が上がる。知らない声だ。

 雲の隙間から光が差し込み、声の主を顕にした。そこには、女神がいた。

 

 月を溶かしたような黄金の髪は濡れて肌に張り付き、艶らかな光を放っている。瞳は暗闇を照らす星のように青く輝いて。純白の肌はほんのりと赤みが差し、胸は柔らかく膨らんでいて、生まれて初めて艶かしいという感情を芽生えさせた。

 

 そんな美しい少女が一糸纏わぬ姿で座り込んでいる。


「どうしてウィルがここにいるの?」


 他にも人がいないかと、周囲を見渡す少女。混乱しているのか、肌を隠すこともしない。しかし、混乱しているのはこちらも同じであり、目を逸らすこともせず目の前の人物に問いかける。


「どうして僕の名前を知っているの?君は誰?」

「えっ、いやそれは」


 慌てたように言葉を詰まらせる。この少女の話し方に雰囲気。見覚えがある。村人ではないはずだ。とすると、それ以外で知り合いといえばまさか……


「ルナリアス、様……?」





 


 


 青白い月の光が夜の闇を明るく照らしている。静謐なその光は、まるで今夜の死者を癒しているようで。その光の中をルナリアス――ルナが進んでいく。歩くたびに長髪が左右に揺れ、月光に照らされたその髪が光を反射するように輝いていた。


 ここは村外れにある古い木々と枯れかけた花しか咲いていない寂れた場所なのに、ルナが通るだけで、木々が色めき、花が瑞々しく輝きを放つような錯覚さえ覚えた。そんな神々しささえも覚えるルナの後ろ姿は正しく伝説の英雄を感じさせ――「あっ、見て見てウィル!」

 

「……何ですか、勇者様?」

「丸い石!」


 いや、そういうことを聞いているんじゃないんだけど……

 しかしルナは、キレイでしょ、と言わんばかりに石を掲げ、得意げに胸を逸らし、誇らしげな笑みを浮かべている。確かにその石はスベスベとして美しい正円を描いているが、だからどうしたというのだろうか?

 

 先ほどからこんな調子で珍しい虫や草花を見つけては、その度に小さな子供のように嬉しそうに報告してくる。最初は冗談を言っているのかと思ったが、どうにも違うらしい。これが勇者の素の性格なのかと思うと、何だがひどく疲れてしまった。

 

 ルナはその石を大事そうに黒塗りの革鞄(ポーチ)にしまい、手に入れた場所の証なのか、剣で地面に何か落書きをしていた。あの革鞄(ポーチ)は魔道具の一種らしく、入れる容量に制限はなく、重さも変化しないという逸品だ。

 そんな逸品に収納されるのが、ただの草花や石ころだとは、製作者は思いもしなかっただろうが。


「ここは?」

「あ、すみません。ここは」


 そんなこんなで村を歩いていると、たどり着いたのは墓だった。といっても大きな石を墓石がわりに重ねただけの粗末な共同墓地だ。貧しい村では、貴族のように故人専用の墓を建てる余裕がある者などいない。だから、ここでまとめて弔う。

 ルナは、祈るように少しだけ目を閉じると、一冊の本を取り出した。


「今回の戦いで、犠牲になった人たちの名前、覚えてる?」

「何をされるおつもりですか?」

「いつもしてるんだ。犠牲になった人達を記録するの」


 分厚い本をちらりと見ると、すでに多くのページが細かい文字でびっしり埋まっている。犠牲者の名を書くその手は少しだけ震えていた。その厳かな姿には、先ほどまでの能天気な雰囲気は感じられず、正しく英雄の立ち居振る舞いにふさわしいものだった。

 

 これまでもそうしてきたのだろうか。

 

 悲しみを堪えるように。自分の不甲斐なさを呪うように。そして、その人たちを忘れないように、力を込めて。

 僕はその姿を、黙って見つめていた。








「あはははっ、ルナリアス様こっちだよ!」

「負けるか!ウィル、向こうは頼んだよ」

「……分かりました」


 青い空に子供たちの楽しげな声が響く。

 

 仮面をつけた人間が、子供の後ろを追いかける様子はとても奇妙なものであったが、子供たちが楽しめているならば問題はないだろう。

 あの仮面も魔道具の一種らしく、装着した者の顔や体格、声までも変える能力があるとのこと。何故仮面で正体を隠すのか尋ねると、『勇者の正体が不明の方が何かと行動しやすいから』らしい。

 

 ルナがこの村に来てすでに三日が経過していた。名目上は疲れた身体を癒すためということだったが、そうでないことは誰の目にも明らかだった。ルナは朝早く起き、魔物の被害を受けた家の修繕や畑作業を手伝っていた。また、仕事で忙しい親の代わりに、ロックをはじめとした村の小さな子供たちの遊び相手になっていた……何故か僕も毎回付き合わされた。


 子供っぽいこの勇者はかけっこやごっこ遊びも全力で楽しみ、最後には子供たちに勝ちを譲るように上手く立ち回っていた。

 ルナは村にすっかりと馴染んでいた。


「勇者様は、こんな場所にいつまでもいていいんですか?」


 ルナの手が止まる。薪割りをするルナの背後から話しかける形となってしまったため表情は見えない。沈黙が二人の間に流れるが、それに負けないように口を開く。


「今、各地で魔王軍の被害が出ていると風の噂で聞いています。もちろん勇者様がいて下さるのはありがたいことですが、すぐにでも旅を再開すべきではないでしょうか?」


 村の皆だって、ルナにはいつまでもいて欲しいと思っているだろう。

 だがルナは勇者なのだ。またロックのような子供を生み出さないためにも、別れづらくなる前に村から旅立った方が良いのではないか。


「ルナだよ」

「え?」

「私の名前。勇者様じゃなくてルナ。村じゃもう皆名前で呼んでくれるのに君はいつまでたっても呼んでくれないよね。同い年なのに敬語だし。せっかく同年代の子と友達になれると思ったのにさ」


 仮面を少しだけ外し、プクっと可愛らしく頬を膨らませるルナ。

 反則的な可愛さだった。


「あとウィルってさ。『勇者様』って言う割に私のことあんまり英雄視してないよね?」

「っ……そんなことは」

「ううん、隠さなくていいよ。変にかしこまられるのも窮屈だと思ったから君の家に泊まったんだし」


 ちなみに、ルナが女の子と分かってからはルナを寝室のベッドに、僕は食卓のある部屋の床で寝ていた。

 ルナは残念がったが、仕方がない。

 何より僕は、英雄という存在がどうしても苦手だった。嫌い、といっても良い。隠していたつもりだったが、ルナには見抜かれていたらしい。


「安心して。明日までには用事が済むからさ。そしたら出ていくよ」


 くるりと回り、ルナが歩き出す。

 その背中はどこか寂びしそうに見えた。









『ウィルってさ。『勇者様』って言う割に私のことあんまり英雄視してないよね?』


 眠れない。先程のルナとの会話が頭から離れず妙に目が冴えてしまった。原因は分かっている。僕の両親だ。こうして一人で眠れない夜を過ごしていると、どうしても両親を失った日を思い出してしまう。

 

 僕の両親は『英雄』と呼ばれた人達だった。


 十年前、魔族が僕達の住む村を襲った。狩人だった父は魔物の討伐隊として参加し、村で唯一医療の心得があった母は怪我人を毎晩遅くまで治療し、家に帰らない日々が続いた。そんなある日、父が死んだ。怪我で他の村人が戦えない中、一人で魔族に立ち向かって勝利した後――その怪我が元になって死んだ。

 

 母もそのすぐ後を追うようにして死んだ。夜遅くまで治療し続けたことで体調を崩し、風邪を拗らせるとそのまま帰らぬ人となったのだ。

 残ったのは家と、母が万が一の時にと思って作ってくれた回復薬(ポーション)の入った首飾りだけ。

 村では二人を英雄として讃えた。けれど、僕にとっては違う。英雄になんかならなくても良かった。

 二人さえ無事でいてくれたら、それで良かったのに。





 


「ん?」


 ごそごそと音が聞こえた。ルナの部屋からだ。薄目を開けると、ルナが音を立てないようにこっそりと出て行くのが見えた。仮面を被り、腰には剣を携えている。そこにいつもの能天気な雰囲気は微塵も感じられない。気になって、見つからないように気配を殺しながら跡をつけた。


「どこに行くつもりなんだ?」


 ルナの歩く速度は凄まじく、ついていくのでやっとだ。その足は村を出て、森の奥深くへと移動した。


「出てきなよ。最初から見ていたのは知ってるからさ」


 ビクリと体が震える。一瞬バレたのかと思ったが、ルナの目線からして違う誰かに話しかけているのは明らかだった。


「ヒッヒッヒ。気づいておったか。今代の勇者は大したことがないという噂だったが、存外勘が鋭いらしい」


 ずるずると、地を這うような音が森の奥から響く。一箇所だけではない。右から聞こえたかと思えば左から、かと思えば後ろから。闇に紛れて聞こえる音は少しずつ、だが確実に大きくなっており、その主が近づいてきたことを告げていた。

 

 やがて、音が止まる。

 

 ルナの正面。そこに現れたのは巨大な蛇。紫の鱗が月光に反射し、毒々しく輝いている。数メトルはあろうかという蛇の尻尾を辿ると、小柄な人間のような半身が生えている。その瞳孔は蛇のような切れ目をしており、獲物を見定めるように、唇の端からチロチロと舌が見え隠れしていた。


「ゴブリンの話を聞いた時から、おかしいと思ってたんだよ。ゴブリンは確かに人間を襲うけど、この村は生息地の洞窟からは離れている。はぐれにしては数が多いし、どうにも不自然だ。けれど、私はそれが出来る奴を一体、知っている」

「ヒッヒッヒ。知っていてのこのこ来るとは馬鹿なやつだ。七魔第四柱、『召魔』バイゼルをたった一人で相手にしようとは」


 七魔。

 聞いたことがある。魔王軍の精鋭の中でも選りすぐれた力を持った七体の魔族。その一体一体が一騎当千の実力を持つという凶悪な者たちだ。その内の一体がこんな村に。

 

 バイゼルが腕を振ると、何もない空間から杖が現れる。紫の美しい宝玉が先端に付けられた杖だ。柄はゴツゴツとしていて、小柄なバイゼルにはひどく不釣り合いにも見えた。そんな杖を、まるで重さがないかのように軽く振るうと宝玉が輝きを放つ。

 

 すると不思議な陣が展開し、十体もの三メトルはあろうかという白い巨体が突然出現した。

 

 オーク。

 白い表皮は剣を弾き、その巨体から繰り出される棍棒の一撃は地を揺らすと噂される魔物。その能力(レベル)は当然、ゴブリンなどとは比べ物にならない。

 そんな魔物たちが、杖の一振りで一斉に襲いかかった。


「雷鳴剣!」


 雷光が夜の闇を切り裂き、ついで地を鳴らすほどの衝撃と音が遅れて鳴り響く。三日前に見た雷の剣技が一瞬でオークたちを丸焼きにした。倒れ伏すオークの体は塵となって崩れていった。技を撃ったルナは油断せずに剣をバイゼルへと向ける。


「ヒッヒ。流石は勇者といったところか。だが、これはどうかな?」


 再び陣が展開し見たことも聞いたこともないような魔物たちが次々と現れ始めた。明らかにオークと同じか、それ以上の強さを秘めている魔物たちが十数体。そのどれもが、ルナに対し敵意をむき出しにしていた。


 ルナが魔物たちへ肉迫する。剣を振るうたび、その軌跡が夜の闇に瞬き、切り裂かれた血肉が宙に舞う。バイゼルは魔物を次々と召喚していく。それに負けじと剣を一閃するたびに魔物はものすごい速度でその数を減らし、やがて全滅した。

 だが……



 


「はあっ、はあっ、はあっ……!」


 肩で息をするルナに限界が近づいているのは明らかだった。

 既に仮面は吹き飛ばされ、その顔が晒されていた。


「ヒッヒ。何とも情けない。今代の勇者は歴代でも最弱の部類と聞いていたがこれほどまでに弱いとはな。だが、正体がこんな小娘であれば納得だ」


 対して、バイゼルは余裕の表情。

 杖を振るうと何もない筈の空間から再び何体もの魔物が姿を現した。


「全く。いつまでもこんな村に居座り子供と遊び呆ける小娘に魔王様もなぜ手加減するのか。ほれ、早くせんとお前の大好きな村に魔物が攻め込むぞ」


 まずい。

 呼び出された魔物が、ルナを通り越して村へと向かう。

 このままでは、皆が。


『ギャアアアア!!!』

「何……⁉︎」


 だが聞こえてきたのは村人ではなく魔物の断末魔。

 黄色い火花が上がった。


「結界か!」

「私がなんの策もなくここに来るわけないでしょ。ま、きちんとした結界を貼るのに三日もかかっちゃったけどさ」

「小癪な!」

「結界も見抜けない、こんな弱い娘も殺せない、本人は安全な場所で指示ばかり。君ってさ、本当に七魔?弱すぎって言いたいのはこっちなんだけど」


 ブチリ、と何かが切れたような音がした。


「黙れ黙れ黙れ!!!どいつもこいつも己の強さこそ至高だという脳筋が!!!貴様なぞ魔物の大群に踏み潰されて死ね!」


 バイゼルの杖の一振りで新たに数十体の魔物が召喚される。

 そしてその全てが一斉にルナに襲い掛かった。





 ※


 


 斬る。

 裂く。

 雷で焼き払う。

 また斬る。


 魔物を殺せど殺せどキリがない。

 相手は大した疲労もなく、杖の一振りで無尽蔵に魔物が天から降り注ぐ。

 正に『召魔』。

 一騎当千の実力を持つという七魔の一柱にふさわしい。


 だけど……


「貴様、本当に人間か……?」


 バイゼルが気圧されたように言う。目の前に広がるのは無数の魔物たちの死骸。その返り血で濡れた私の視界は赤く染まっている。

 身体は重く、剣を握る指先の感覚はほとんどない。力はほとんど底を尽き、回復薬(ポーション)もない。もう技を放つことはできないだろう。

 だけど、そんなことは関係ない。

 なぜなら。


「私は勇者。勇者ルナだ。行くよ、バイゼル!」


 駆ける。

 迫る魔物。

 剣を抜く私の腕。

 それらすべての時の流れが不思議なほどゆっくりに感じた。


――なぜ、あんな子が生まれたのかしら。


 義母の声が聞こえる。

 その声には激しい怒りと憎しみ。そして、嫉妬が滲んでいた。


――私の前に姿を見せるな。お前の顔など見たくもない。


 父の声が聞こえる。

 ぞっとするほど冷たい声だった。


――なぜ人々を守ろうと日々努力していた我々ではなく、あのような卑しい生まれの娘が聖剣に選ばれるのですか?


――聖剣の力をこれだけしか引き出せないとは。聖剣は判断を誤った。この娘は勇者に相応しくない。


 ああ、これ走馬灯だ。

 魔物の爪が肩を裂き、腹を抉る。

 鮮血が迸り、視界が霞む。




――どうして、もっと早く来てくれなかったの? 



「ハアッ」


 剣を振るう。

 そうだ。私は勇者なんだ。

 役立たずだった私より勇者に相応しい人はいくらでもいた。勇者に選ばれたのは聖剣の気まぐれなのかもしれない。ただの偶然なのかもしれない。

 それでも、選ばれたのなら……!


「最期まで、戦って死んでやる!」


 私の啖呵に魔物たちは気圧されたように怯むがそれも一瞬だ。もう力のなくなった獲物に恐れを感じることはなくゆっくりと近づき取り囲む。逃げ場はない。

 剣を動かそうにも、身体が動かない。

 死んじゃったかな、これ。


「……結局、私は勇者として相応しくなかった」


 バイゼルが杖を振り紫の閃光が視界を満たす。

 最期に脳裏に浮かんだのは、何故か最愛の母ではなく村で出会った少年。

 最期まで、名前を呼んでくれなかったなぁ……


「危ない!」

「えっ」


 ドンッと衝撃が走り、地面を転がる。

 目を開けると、亜麻色の髪の少年が見下ろしていた。






 



「ウィル?」

「大丈夫、()()?」


 ルナはボロボロだった。

 身体中傷だらけ。特に右の腹部からは血液がドクドクと溢れ出ていて、そこだけ花が咲いたように血まみれになっている。骨も折れているかもしれない。

 少し動くだけでも叫び出したいほどの激痛が流れるだろう。

 それなのに、それなのに――どうして何でもないことのように立ち向かえるんだ。


「あ、ありが――」

「君は馬鹿か!?」

「えっ、えぇ?」


 感謝の言葉を遮り、感情のままに怒りを吐き出す。

 敬語なんていらない。こんな馬鹿にはタメ口で十分だ。

 普段の態度とのあまりの変わりようにルナが戸惑いの声をあげた。


「何で一人で戦うんだ!村の人達にも協力してもらえば良いだろう」

「それは誰も犠牲にならないように「それが間違ってるっていうんだ!」」

「なっ!?」

「アンタ達はいっつもそうだ。他人に頼らず、自分を犠牲にすれば良いと思ってる。遺される人の気持ちなんて何にも考えてない」

「間違ってるわけないでしょ!誰かに頼って、それでロックのお父さんみたいに犠牲者が出たらどうなるの?遺される人すら、いなくなるかもしれないんだよ!私が死んでも、聖剣は次の勇者に引き継がれる。私なんかいなくなっても誰も……困らない」


 俯き、震えながら絞り出すようにルナが言う。あれほどの魔物の大群に対し、勇敢に立ち向かった彼女が漏らした本音。普段とあまりに異なる弱々しい姿に戸惑いを覚えた。

 

 いや、違う。これが勇者の仮面に隠された彼女の本当の姿なのかもしれない。

 

 僕は思い違いをしていた。

 英雄と呼ばれる彼らは、本当は怖かっただけなのかもしれない。

 自分が死ぬことが、孤独(ひとり)になることが。

 

 けれど、それでも守りたい人たちがいたから、彼らは――父さんと母さんは闘ったんだ。

 僕は二人が嫌いだった訳じゃない。



 本当に嫌いだったのは――何もできなかった僕自身だ!


 


「そんなことはないよ」

「え――?」


 気づけば、言葉が口をついて出ていた。


「僕が困る。だって君は僕にとっての初めての友達だから」

「何をごちゃごちゃ言っている?」


 痺れを切らしたようにバイゼルがやってくる。

 ルナを庇うようにして前に立つ。同時に、あらかじめ外していた首飾りをこっそりとルナに手渡した。


「これを。中に母さんの遺した回復薬(ポーション)が入ってる」

「!?……それって形見なんじゃ」

「いいんだ。友達を助けるために使うなら後悔はない」

「……ありがとう」

「勇者よ、お主にできることは何もない」


 バイゼルは自分でトドメを刺したいのか、ゆっくりと近づいてきている。

 油断している証拠だ。

 けれど、こちらには余裕がない。

 

 確実に仕留め切れる距離になるまで、動くわけには行かない。

 ルナの体が緊張で微かに震えていた。


「大丈夫」


 震える手に、そっと手を重ねる。


「――ふふっ」


 僕の手は情けないことに恐怖で震えていた。そのことにルナがどこか可笑しそうに笑い、手を握り返してくれた。少女にしては硬く、けれどどこかしなやかさを感じる手。

 震えが、止まった。


「これで終わりだ――なっ!?」


 バイゼルの声は雷の音に掻き消される。

 魔王軍幹部である『召魔』のバイゼルはこうしてあっけなく塵になって消えたのだった。



 


『ウィル、すまないウィル。お前のお父さんとお母さんは……』


 夢を見た。

 遠い遠い昔の夢。


 両親が死んだ自分を村では誰も引き取らなかった。

 当時は魔族の被害が甚大であり、誰も子供を引き取る余裕のある者はいなかった。

 

 だが負い目があったのだろう。

 見捨てることもできずそれぞれが食料を出し合い僕を育ててくれた。


 両親のことを聞かされても村の皆に対して、特に恨みを感じなかったことを覚えている。

 ただ育ててくれた村に恩返しがしたい。その義務感だけで、これまで生きてきた。


 だけど、今は……


 「あ、目が覚めた?」

 「ルナ……?」


 ルナが赤い目を擦って微笑みかける。


 「私を庇ってくれた時にゴブリンにやられた傷が開いたみたいでさ。慌てて村に運んで治療してもらったんだ」

 「そっか」

 「……ええと、村の皆は大慌てでさ。私の結界って音も光も遮断するから全然気づかなかったんだって!」

 「凄いね。さすがは勇者の結界だ」

 「…………」



 会話が続かない。

 何故かぎこちない雰囲気が流れた。


 『僕が困る。だって君は僕にとっての初めての友達だから』


 あの時のセリフが脳裏をよぎる。

 思い出すだけで顔が真っ赤になった。


 「あの、さ」

 「うん」

 「ありがとう」

 「えっ」

 「私さ。初めてだったんだ。友達って言われたの。だからさ……改めて私と、その」

 「?」

 「と、友達になって下さい……!」


 顔を真っ赤にして目を閉じ、震えている。

 友達になる。

 そんな当たり前のことに魔物の大群を相手に立ち向かった彼女が勇気を振り絞っている。

 そんな姿が可笑しくて。


 「ははっ」

 「あ、ひどい!笑うことないじゃん!」

 「ごめんごめん。だって、あの時友達って言ったのにまた言うんだって思って」

 「だ、だって私も伝えたかったんだもん!」

 「ありがとう」

 「あ、そういえばあの後こんなことがあって――」


 ルナは楽しそうに僕が気絶していた間の思い出を語る。

 生まれて初めてできた友人はとても綺麗で。楽しい時間は瞬く間に過ぎていった。





 ※


 「よし、行くか」


 まだ誰も起きていない早朝。荷作りを済ませた私は村の入口を振り返る。

 別れは寂しくなるので村長の家に手紙を置いてきたが、今回はいつにも増して辛い。

 

 「じゃあね、ウィル。元気で」


 一人でいることには慣れていたはずなのに、喪失感のようなものが心を支配した。


 「どこへ行くの、ルナ?」

 「えっ⁉︎」


 振り向くと彼がいた。

 その背には荷物が背負われている。まるでこれから長い旅をするように。


 「どうして...」

 「友達を一人で危険な旅には行かせられないよ」

 「駄目!」


 距離をとる。

 彼は分かっていないのだ。勇者の旅がどれほど過酷か。来れば間違いなく無事では済まない。死ぬ可能性の方が高いのだ。


 「僕は今まで育ててくれた村の人たちのためなら死んでも良いって思ってた。それが唯一の恩返しだと思ってたし。けれど君に出会って変わったんだ。なんの役にも立てないかもしれないけど、僕は君のために命を懸けたい。僕の初めての友達だから」


 その言葉でわかる。

 ウィルと私は似たもの同士なのかもしれない。


 「……旅は過酷だよ」

 「うん」

 「危険なのは魔物だけじゃない。着いてくるのを後悔するかもしれない」

 「それでも今後悔するよりずっと良い。それに、連れてってくれないなら、もう一生敬語を使わせてもらいます」


 笑顔で言った。

 前言撤回。最初は見た時は女の子みたいな可愛らしい顔をしているな、と思っていたがウィルは案外腹黒いのかもしれない。


 「……はあ、分かったよ」


 手を出す。

 なんだかんだ言って嬉しいと感じる自分がいる。

 ウィルが手を握る。


 「さあ、行こう。ウィル」

 「ああ、ルナ」


 君は自分を役に立たないって言ってたけどそれは違うよ。

 だってあの時、君は諦めかけてくれた私に勇気をくれたんだよ。

 君のおかげで今、私は生きていられるんだ。

 だから……


 よろしくね、ウィル。

 旅はまだ、始まったばかりだ。


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

今後しばらくは、毎週土曜日に投稿予定です。

よろしくお願いします。


※勇者


 聖剣に選ばれし人類の英雄。遥か昔に魔王の群勢を相手にした戦った少年、エニルが女神より選ばれた最初の勇者であり、彼の死後、魔王が現れる度に聖剣が新たに勇者を選び魔族との戦争が繰り広げられるようになった。聖剣の力により、勇者は人を超える力を持ち、幾度も人類を守護してきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ