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一章 三

ロビーに行くと、大野さん達は既に集まっていた。

「お待たせしました」

紲那さんは駆け足気味で大野さん達の元へ行く。

「大丈夫です。それより、自分たちの部屋でもう済ませたかもしれないけれど、改めて自己紹介をしませんか?」

大野さんはそう言うと少し身なりを整えてから自分の自己紹介を始めた。

「僕の名前は大野英介です。よろしくお願いします」

大野さんが言い終わると、隣にいたスーツを着た賢そうな男の人が続けて言った。

「明智結斗。よろしく」

そこからみんなで自己紹介を繰り返していき、ヤンキーっぽい人は浅海玲央、眠そうにしてる男の子は高原遼という名前だと言うことがわかった。全員の自己紹介が終わるとすっかり司会役となった大野さんが話を切り出した。

「全員集まったと言うことで聞きたいことがあるんですけど。皆さん…あの堕天使?が言ってたことって心当たりありますか?。僕はないんですけど…」

「〈罪〉とか言うやつか?。俺は無いな」

高原君はそう言う。

「さっきも言った通り私は、自分で言うのもなんですが信仰深く生きてきたので罪など犯していませんよ」

「そうですね…私もこれと言って思いつくことはありません」

「僕もですね」

当然私もお姉ちゃんも思い当たることはない。すると、浅海さんが恐る恐る口を開いた。

「実は俺、一ヶ月前まで刑務所入ってたんですけど…」

「へ?」

紲那さんが素っ頓狂な声を上げた。あまりにも声が大きいので後ろのソファに座ってスマホを触っていた男の人が顔をしかめて顔を上げたのが見えた。

「何の罪で?」

「轢き逃げです。夜中に公道を走ってたら道から人が飛び出してきて…怖くなってその場から逃げちゃって…」

「なるほど、あんたはそれが罪ってことで間違いなさそうね」

アリアさんはそう言って浅海さんを睨みつける。犯罪者ということで警戒心を抱いているのだろう。

「とにかく、堕天使の言葉が正しいのなら僕らは一ヶ月以内にどうにかして自分の罪を償わなきゃいけないわけで、その手段が生きてる人に一言だけ言葉を伝えるってことなんでしょ。だったら今はそれに専念するしか無いんじゃ無いですか?」

「一言、ねぇ。一言だけで償える罪って何だよ。ごめんなさいって言えば解決するなら生きてるうちにしてるしな」

「もしかしたら、罪と償い方は関係ないのかもしれない」

今まで黙っていた明智さんが言った。

「生前に犯した罪に対して、それと同等かそれ以上の善行をしろということかもしれない」

「だとしても、一言でそんなことができるか?」

「さぁ、それはわからない」

明智さんがそう言うとみんな黙ってしまった。私の手を握っているお姉ちゃんも何か考える様な仕草を見せて黙っている。私は正直そこまで難しいことを考えることは出来ない。私は漠然とした不安を抱えながらお姉ちゃんの手を強く握った。

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