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第一章


安っぽい表現なのは勘弁して下さい。



 あ、どーもクロフォード改めクロですが、只今絶賛落下中であります。

 えっ、どうしてそんなに落ち着いてるの?、とおっしゃる方もいらっしゃるのでお答えすると、俺落ちたぐらいじゃあ死なないんですよ。

 でもそろそろ落ちるのも飽きてきたんで、ちょっと頑張りますか。



「よっと」



 今何をしたかっていうと、背中から羽出してみました。もちろん純白の羽で、ミカエルの羽と同じものを創造してみたんですけど似合う? とりあえずこれを使って、出口まで行くとしますか。



 おっ、あれが出口かな。翼は一応しまっておこっと。

 あー、羽が大量に落ちていったけど、まぁなんとかなるだろ。



 さて、何が俺を待ち受けてるかな。

 どうせならむさいおっさんじゃなくて美人なお姉さんがいいんだけど……



 そんなアホなことを考えているうちに、俺はまたしても光に包まれていった。









 はぁ、今日はいよいよ使い魔召喚の日かぁ……

 期待半分に不安半分ってとこかな。

 私みたいな落ちこぼれが凄い使い魔なんて召喚出来るわけないし、もしかしたら召喚すら出来ないかも……



「……月楓」


 せめて犬とか猫でもいいから出さないと、またみんなから虐められるだろうな。

 それにお父様やお母様にもまた一族の恥だと罵られるだろうし。



「おいっ、葉月楓はいないのかっ!」



「は、はいっ」



 考え事に夢中で先生に呼ばれてることに気づかなかったみたい……

 みんな冷ややかな目で私のことみてるし、こそこそとこっちを指差しながら何か言ってる。どうせ落ちこぼれは耳まで悪くなったのか、とか言われてるんだよね。

 私だって好きで落ちこぼれてるわけじゃないのに……


 また思考の海にのめり込んでいると、いつの間にか教室には私一人になっていた。

 そういえば私のクラスは今から使い魔召喚の授業でしたね。急いで行かなくちゃ。





 この私の通っている学園にはいくつものグラウンドがあって、目的別に色々使い分けているんです。今日はその内の一つの、主に戦闘や模擬戦などで使う所で行うみたい。

 なんでも高位の使い魔などは契約の際に戦闘になる事も珍しくないって先生が言ってたので、そこを使うんでしょうね。



 私がグラウンドに着いた時にはすでに召喚の儀式が始まっていました。

 どうやら実践魔法の成績順に行なってるみたいなので、私は最後みたい。どうしてこういう時に限って、私が最後なんだろ……

 成績のいい人達は次々と高位の使い魔と契約していってるなぁ。ああ、霜月家の子なんてドラゴンを召喚してる……さすが貴族の跡継ぎよね。



 次が私の番ね、緊張する……

 手に汗が滲んでるし、心臓もバクバク鳴っているからきっと顔も強張ってるよね。


「次、葉月楓!」



 やっぱりみんな私を見てるなぁ。あちらこちらから落ちこぼれがどうとか聞こえてくるし、早く終わらせよっ。

 先生に言われたことを思い出して



「我望むは守護の者



 私は誓う、運命が私達を別つ



 その時まで私とあなたは共にあり



 そして友であることを……



 来たれ 我が呼び声に答えし騎士よ



                 」


 私が祝詞を唱えた途端、私の頭上二メートルくらいの所に魔法陣が現れ、そこから光が漏れだした。



 そして漏れだす光が強くなり始めた時、光が純白の羽が舞い降り、風に煽られ私の目の前で純白の渦となっていく。



 そう、それはまるで天使が降臨したかのような錯覚を私は受けた。

 全ての時が止まり、今まさに私の前で天使が産声をあげようとしている。



 ああ、なんて神々しい。

 この使い魔は私には勿体無さすぎる。

 でも間違いなく私を変えてくれるに違いない。



 そして純白の渦の中から現れたのは、一人の男の人だった。









 よっと、ようやく地に足が着いた。

 んー、ここはどこだ?

 目の前には神様に願いが通じたのか、学校の制服っぽいものをきた美少女がいる。周りも同じような服を着ているから多分ここは学園だな。



 んで、俺の予想が正しければ……



「なぁ、もしかして俺は使い魔として召喚されたのか?」



「ひゃ、ひゃい。そうでしゅ」



 おいおい、噛みすぎだろ。

 やはりそうか……学生の時やって以来だな。

 それで多分この美少女がこの俺を召喚したってことはよほどの実力者か。



「あ、あの……もしかして貴方は人間ですか?」



 おどおどした様子で前にいる美少女が尋ねてきた。



「ああ、そうだが?」



 俺がそう答えた瞬間、周りの学生や先生までがゲラゲラ笑いだした。

 さすが落ちこぼれだ、とか人間を召喚するなんてやることが違う、とか散々罵声を俺と目の前の子に浴びせてくる。


 なるほど、こいつ落ちこぼれなのか。なんて俺に都合のいいやつだ。



「なぁ名前なんて言うんだ?」



「わ、私は葉月楓と申します」



 ペコッとお辞儀をして、丁寧に自己紹介してくれる楓。

 動作に優雅さが見える。多分貴族なんだろう。



「じゃあ楓、よかったら俺と契約しないか?」



 それに周りから一人だけ疎まれるのも可哀想だし、落ちこぼれを一流に育てるほど面白いものはないからな。



「私なんかでいいのでしたら」



 使い魔に思いっきり低姿勢の楓を見てると、なんか笑えてくるな。

 せっかく何かの縁で知り合えたのだから、どうせならお前を世界一の魔法使いに変えてやる。



「よし、じゃあ始めますか」



『汝我に何を望む?』



 これは俺流の契約方法で、かなり特殊な儀式だ。



「私は貴方と共に歩みたい。そして貴方を守れるだけの力が欲しい」



 へえ、また珍しいことを言うやつだな。



『ならば我は汝と共にあり、汝の剣となり盾となろう。我が名はクロフォード=ソラリス、落ちこぼれの騎士なり。そして今ここに契約を結ばん』



 俺達の右の手の甲に契約の紋章が現れた。

 さてと、これで一応契約完了なわけだ。



「これからよろしくな、楓」



「こちらこそ」



 まずはやっぱり握手からだろ。

 それにしても満面の笑みで握手してくるってことは、よほど契約したのが嬉しかったのだろうか?

 なんにしても、喜んでくれて良かった。



「先に言っとくが、この契約によって俺の魔力が使えるようになるから、バンバン魔法打てるぞ?それに俺にはここに留まるための魔力なんていらないし」



 俺の魔力なんてほぼ無尽蔵。仮に無くなりそうになっても、他から吸収すればいい話だからな。



 俺の言ったことが信じられないのか、驚いた表情のまま固まってしまっていた。

 こんなことで驚いてたら、これから持たないぞ?



 他の学生や先生は俺達に興味を無くしたのか、ゾロゾロと校舎の方へと帰っていった。



「おい、置いていかれるぞ」



 固まったままの楓に呼びかけると、ハッとようやく覚醒し、周りに誰もいないことを確認して、だんだんと涙目になっていく。

 世話の焼けるやつだな……とか思いつつも楓の手を掴み、走って他の生徒に合流することにした。









 この世界の空もやはり青く広大だ。

 今俺がいるこの学園の屋上に吹き付ける風が、どこからともなく桜の香りを運んでくることから今の季節は春であると実感できる。



 どうやらこの世界も俺の元いた世界も季節や花に間しては大体変わらないみたいだ。

 あとはこの世界の住人やら地理やら文化のことやらを頭に叩き込んでおかないとダメだ。

 それに言葉は通じてるみたいだが文字まではそうはいかないだろうからそれもさっさと覚えないとな。



 ん?なんで屋上にいるかだって?

 使い魔が一緒に授業を受けるわけにはいかないだろ?それで暇つぶしにはやっぱり屋上が定番だろと思ってここにいるわけ。



 あらかじめ言っておくが、服はこの学園の制服を着用している。

 年齢はもう二十を過ぎてるが童顔にこの低身長のおかげでなんとか学生に見えるはずだ。



「ん?そこにいるのは誰!?」



 声のする方に振り向くと、茶色の髪をポニーテールに結い上げ、茶色の瞳をした猫目の女の子が俺を見上げていた。

 なんだよ、考え事してたのに。



「ちょっと何とか言いなさい!」



「何とか」



「くぅー、ムカつく!ここに早く降りて来なさい」



 自分の足元を指差し、早く来いと催促してくる。

 この子からかいがいがあるから、もう少しおちょくってやるか。

 ちょっとあの子に幻術をかけてっと。



「ようやく来たわね、大体あんたは私を……」



 目の前は壁なのに俺がいると思って散々怒鳴り散らしている。

 事情を知らない人が見たら何やってんだこいつ、と白い目で見られること間違いなしな光景だ。



 さて、俺は寝るとするか。あれは放置でいいだろ。

 ゴロンと屋上に寝転がり、睡眠を貪ることにした。









 どのくらい時間がたったかは知らんが、空は若干赤く色づき始めていた。

 あの謎の女の子もいなくなっているし、俺も帰るとするか。



 屋上から出ようとすると、狙ってたかのように楓が現れた。



「よう楓、そろそろ帰ろうぜ」



「はぁ……はぁ……クロフォードを捜してたんだけど?」



 額に玉のような汗を浮かべながら息を切らす楓だったが、俺をようやく見つけた嬉しさからか、若干笑顔を浮かべる楓。


「なぁ契約の印があるんだから別に捜す必要は無かったんじゃないか?」



 それを聞き、はうっ!?と奇声を上げ座り込む楓を見て思わず苦笑い。

 まったくアホな主人なことだ



「ほら、帰るぞ。帰ったらお前に聞きたいことが山ほどあるんだから」



 軽くショックを受けている楓を立たせて、さっさと帰ることにした。



「ここが私達の住んでいる寮だよ」



 俺達の目の前にはやたら豪華で巨大な寮がある。何でもここは学園都市のような所で、学園の敷地内に街があるそうだ。

 当然学園の規模も大きく、何千人といった学生がここで暮らしているんだとか。

 楓の住んでいるこの寮は女子寮の中でもなかなか豪華な所らしい。

 俺もここに住めるのか不安だったが、使い魔は男でも大丈夫ということで早速楓の部屋にお邪魔することにした。



 楓の部屋はいかにも女の子の部屋って感じで、ピンクを基調としたソファーやらベッドがあり、寮としてはなかなかの広さだった。



「ところで俺はどこで寝ればいいんだ?」



 一人暮らしの女の子の部屋に予備の布団なんてあるはずないと思い聞いてみると、



「一緒にベッドに寝ればいいんじゃないの?」



 と、さも当たり前のように言われてしまった。

 こいつには羞恥心は無いのか……



「俺がお前を襲うかもしれないぞ?」



 普通の女の子はそう考えるものじゃないのか?俺は女の子じゃないから知らんが、リーシェが確かそうだったはず。



「使い魔が主人に襲いかかるなんて聞いたことないよ?」



 首を傾げ、きょとんとした様子で逆に俺に尋ねてきた。

 こいつ、もしかして襲うってことがどういうことか分かってないのか?

 確か今年で十八歳になるって言ってたが、まだそういう知識は身についていないっぽい。



 んー、楓は美少女に入る分類なのにそういうことは無かったのか?

 楓の見た目は、薄緑の髪を腰の上あたりまで伸ばしており、髪と同じ色をした瞳のパッチリ二重で、透き通るような白い肌、スカートから覗く白い美脚からはなんともいえない色気が出ている。

 まったく何処の箱入り娘だよ、とこっちが呆れてしまった。



 ということで楓にそういうことがあるんだと丁寧に教えてやると、顔が湯気を出しそうなくらい真っ赤になり気絶してしまった。

 その様子を見てやはり初だったかと確信した。



 楓の話をまとめると、この国はレイブン王国といい、国王を中心として睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走という十二貴族がそれを支えているらしい。楓も一応貴族の娘だが自分より遥かに優秀な姉がいるらしく、その人のことを誇らしげな様子で自慢してきた。どうやらその人は楓のことを落ちこぼれ扱いしない数少ない人の内の一人らしい。

 基本的なことは俺のいた世界とあまり変わらないみたいで、一年は365日だとか一年は12ヶ月だとか一日は二十四時間だとかな。

 しかし文字の方はやはり俺の所とは違い、まったく読めなかった。なのでこれは仕方なく覚えることに決めた。



「次は他国のことなんだけど……」



 長ったらしい楓の話を要約すると、この世界の中心には世界樹という名の付く巨大な木があるらしく、その木から溢れる魔力のおかげで私達は魔法が使えるとのことだった。

 その世界樹には決して近づくことは出来ないらしい。何でも魔物の巣窟となっており、いくら軍団を送ったとしても一日も経たずして蹴散らされるぐらい強力な魔物がうようよいるとの話だ。

 それでその世界樹から見て東に位置するのがこの国で、北に位置するのが世界一の軍事大国であるアルバス帝国、西に位置あるのが宗教国家であるスクリム皇国、南はセルギス連合国と言っていくつもの小国が集まって出来ているらしい。

 ちなみにこの国は商業が盛んらしい。



「それでね、今私達の国は休戦状態にあるんです」



 この所々敬語が混じった独特な喋り方は地の喋り方なのか聞いてみると、何でも色々な人に敬語で喋っているうちにだんだんと普通に喋っている時にでも敬語が混じっていったとのこと。



「まあ大体のことは分かったよ。ところでこの世界にもギルドってものがあったりするのか?」



「もちろんありますよ、傭兵の人達はそこでお金を稼いで生活しているからね」



 やっぱりあったか。

 まさかこんな奴らもいたりして……



「なぁもしかしてギルドにはランクがあって、ランク上位の人には二つ名が付けられていたりするわけないよな?」



「ふぇ、よく知ってますね」



 俺の質問にいささか驚きながらも、頷く楓。

 そうですよね、やっぱりいたか……

 俺のいた世界にもそういうやつらがいたんだけど、正直あんま強くないんだよね。

 世界最強とか世間では言われてたみたいだけど、瞬殺してやったのはいい思い出。所詮井の中の蛙ってとこだな。



「じゃあ明日は街を散策しつつ、ギルドに行ってくるわ。登録しといてもいいよな?」



「うん、いいですよ。ギルドから発行されるカードは身分証明書の変わりにもなりますし。ほらこれがそのカードよ」



 楓から差し出された緑のカードを見ると、楓の名前と生年月日が書いてある面と何も書いてない面があるだけだった。



「こんなのが身分証明書の変わりになるのか?」



 俺の世界のはもう少し色々記載されていたはずだが。



「えっとね、カードの色がギルドのランクを表していて、依頼のことは魔法でカードに情報が埋め込まれてるから表面には現れていないだけだよ。ちなみに緑はEランクなんだけど、そのことはギルドで詳しく教えてくれるはずだから説明は省きますね」



 なるほど、それは便利だな。

 俺の世界でもそうすればいいのに……



「とりあえず日も暮れたことだし、ご飯作らないか?」



「そうですね……ところでクロフォードは料理出来るの?」



「フフフッ、今日は俺と楓の記念すべき日なんだから特別に俺が腕によりをかけて作ってやろう」



 自信満々に楓に言ってやると、目をキラキラ輝かせて、楽しみにしてますと返事をしてくれた。

 楓にも見せてやるとするか、俺の“無駄な特技百選”を……









「これすっごく美味しいです!クロフォードのいた世界の料理なの?」



「そうだぞ、まぁ料理はいっぱいあるんだからゆっくり食べたらどうだ?」



 とりあえず楓に美味いと言わせてやった。いやー、さすが俺。



「もごもご」



「……とりあえず口の中を空にしてから喋ろうか」



「……ぷはあ、確かまだ聞きたいことがあるんでしたよね?」



「ああ、この世界の魔法についてだ」



 そう、おそらくこの世界でも魔法は重視されているはずだ。

 ここで生きていくためには、間違いなく魔法は欠かせない。



「魔法ですか……詳しく説明は出来ないけどいい?」



「学生に詳しい説明なんて求めてないさ」



 楓は俺に説明しながらも机に並べられた料理を片っ端から口に運んでいき、そのおかげで所々聞こえなかったが大体は理解した。

 ここでも俺のいた世界とさほど変わらず、火、水、土、風、雷、光、闇の基本属性があり、下級、中級、上級、最上級というランクもある。あとおとぎ話ではもっと色々な魔法もあったらしい。それで人によって得意な属性が変わり、大抵の人はその得意な属性魔法しか使わないらしい。



 ここからが俺達のいた世界と違う所なんだが、この世界では魔法を使うためには媒介となるものが必要で、その媒介は杖だったり指輪だったりするから、それを明日街に見に行った方がいいと言われた。

 俺はそんなものに頼らなくとも魔法使えるんだけどなぁ、と口には出さなかった。



「この世界には現在魔法が使える人は約千人に一人と言われていて、あらゆる面で魔法使いの人は待遇されます。当然戦争においても魔法というのが重要になり、この学園を卒業した人の半数以上は軍の魔法師団に所属することになると思う。また、亜人と呼ばれる人というか魔物と人の間の子が少なからず存在しています。その亜人達は大抵奴隷や使用人として扱われているのが現状なの。しかも人以下の扱いにほとんどただ同然の賃金しかもらえない。見た目が少し違うからってひどすぎると思いませんか?でも国が亜人をそういう風に扱うことを黙認してるから街の裏側なんかでは普通に亜人の売り買いが行われている、と聞いたことがあります」



 魔法の価値はこの世界でもやっぱり高い、きっと楓も卒業後は軍に入るんだろう。

 ……それにしてもあいかわらず人は自分達とは違う奴等を支配下に置きたがる生き物だな。あの作戦を決行するか……いや、まだ金が足りなさ過ぎるから今はその時じゃない。金が溜まり始めたら少しずつやっていくのがよさそうだ。



「そういえば、この国のお金はどんな感じだ?」



「えっと、まずこの銅貨が最小単位である1マルムです。次にこの銅貨100枚でこの銀貨1枚と同じ価値になるよ。それでこの銀貨1000枚でこの金貨1枚と同じになるの。後今は持ってないんですが、皇貨って言う金貨1000枚の価値があるものがあります。それはあまりにも価値が高すぎるので主に国と国のやりとりの時ぐらいしか使われませんので覚えなくてもいいと思うけど、一応教えとくね」



 なるほど、結構わかりやすい仕組みになってるな。これだけ分かればなんとかなるだろう。



「よし、だいたい分かったぞ。助かったよ」



「いえ、そんな大したことはしてないよ。それに他人から頼られるのは私にとって嬉しいことだから」



 うつむき気味にそう答える楓。

 ああ、周りから落ちこぼれと言われていたらそりゃあ自分を頼ってくれる人なんていないだろうな……



「じゃあこれからも頼りにしてるぜ、楓」



 楓の頭をポンポンと叩き、俺は風呂場へと向かった。食い終わった食器とかは楓が洗っておいてくれるそうだからお言葉に甘えて楓に任す。









 俺は今、昨日言ったようにこの学園都市の中心街に来ている。あの後俺達は風呂に入った後すぐ寝てしまった、もちろん別々の布団でだが。

 この時間帯は授業中なせいあってか人影もまばらだ。見たところ俺達の世界と町並みもそう変わっていないし、建物も特に変わりはないように見える。



 田舎者のようにキョロキョロと石造りの町並みを眺めていると、目の前に他の建物より少しばかり大きい建物が現れた。

 ふーん、これがギルドか……外観は白で統一してあり、壁には剣と剣が交差しているマークが掲げられていかにもという雰囲気が溢れている。中から笑い声なんかも聞こえてくるからおそらく一階では酒場をやっているみたいだ。



 中では何かの職人らしき人が数人で酒盛りをやっていたのでそれを無視しつつ受付に向かって歩いていった。



「ようこそ戦闘ギルド レイブン支部へ」



「今日は登録しに来たんだが」



 機械的なあいさつをしてくる受付嬢にそう伝える。



「かしこまりました。ではこの用紙に必要事項をご記入ください」



 差し出された紙に必要事項を書き終えると、登録が終わるまで少し時間がかかるからその間にギルドについていろいろ説明を受けた。なんでもギルドランクはF、E、D、C、B、A、S、SSの八段階に分かれており、それぞれランクアップするための条件を満たせばランクが上がり、受けることのできる依頼も増える。当然難しい依頼になればなるほどもらえる賞金も増えるという仕組みだ。



「こちらがギルドカードになります。早速依頼を受けますか?」



「もちろん」



「それでは、こちらがFランク依頼の一覧になります」



 俺の前にドサッと置かれた大量の書類もとい依頼書。

 こんなに溜まってるのか……見たとこ荷物運びみたいな簡単な依頼が多いみたいだからすぐ終わりそうだな。



「じゃあこの十枚にするわ」



「じゅ、十枚ですか、わかりました」



 少し驚いた顔したがそこは受付嬢の意地からかすぐに無表情に戻り、十枚の依頼書を俺に差し出した。

 さっさと終わらせますか、金も貯めなきゃいかんし。



「じゃあ、いってきます」



「お気をつけて」



 後ろで受付嬢が軽く一礼している気配を感じながら、春の暖かい日差しが差し込む街中へと戻っていった。



 さてさて、とりあえずの目標はギルドランクをBぐらいまで上げることと、金貨十枚ぐらいを貯めることかな。

 そういえば魔法の媒介も作らなきゃ怪しまれるな……

 適当に指輪を作ってそれを媒介にしていると見せかけて、指輪無しで魔法を使うとするか。そうと決まれば早速指輪を作ってと。

 俺の能力を使ったため簡単に指輪が完成した。これを中指にはめれば出来上がり。

 ちなみに結婚指輪は三つも付けれないから、今は首から下げてネックレスの代わりにしている。



 じゃあ記念すべきまず一つ目の依頼はこれだ!

 十枚の中から引き当てたのは引っ越しの手伝いだった。報酬は銀貨一枚となっている。



 歩いているといつの間に目的地に到着していた。さて頑張りますか。



「すいませーん、ギルドの依頼で来たものですが」



 何処にでもありそうな一軒家に呼びかけてみると、扉が空いて中からひ弱そうな男と赤ちゃんを抱いた女が出てきた。おそらく夫婦なんだろう。

 確かにあの夫だけで荷物を運び出すのは難しいな。



「ご苦労様です、早速お願い出来ますか?」



「分かりました、どちらまでお運びすればよろしいでしょうか?」



 俺だって敬語くらい使うからな?

 どうやらここから数キロ先にある村に引っ越すらしい。なんでも、そこには妻側の実家があるからそこで暮らすんだと。



「じゃあ早速運びますね」



 指を軽く振り、まとめてあった家具や荷物を浮き上がらせると、とりあえず家の外に出した。

 外に出した家具や荷物をもう一度浮かび上がらせ、最初は俺の後ろを着いてくるように指示を出したが、家具などが後ろから着いてくるなんて奇妙過ぎるから俺の影の中に全部しまいこんだ。

 この魔法は嫁のサテナから教わったんだが、正直言ってかなり重宝している魔法だったりする。



 影に物をしまい込む様子を見ていた夫婦はかなり驚きながらも、これが魔法かと嬉しそうにしていた。

 ということで引っ越しもすぐに終わり、次々と新しい雑用っぽい依頼を片付けていったおかげで銀貨十枚を午前中に手に入れることに成功した。

 その報告をさっきの受付のお姉さんに報告した所、どうやらランクがアップして楓と同じEランクになったみたい。



 このランクから魔物討伐の依頼が受けれると言っていたので、今度は十個の魔物討伐依頼を頼んだらやや呆れた顔で十枚の紙を渡してくれた。



 依頼内容はどれもこの学園都市から他の都市へと続く道で出没するらしい魔物で、猪が凶暴になったやつだとかキノコお化けみたいな、そんなに強くない魔物ばかりだ。

 とりあえず視界に入った瞬間に切り刻み、回収部位を集めながら歩いていると、辺り一面血の海とかしていた。



「あちゃー、やり過ぎたか」



 指をパチンと鳴らしその惨劇を跡形もなく消して、この場を去った。



 本日最後の討伐依頼は狼のような魔物、ウルフファング十匹を討伐せよ、とのこと。

 道から少し外れた森の中に潜んでいるらしいのでその森へと足を運んだ。



 ウルフファングは獲物の血に反応すると聞いていたので指を軽く食い千切り地面に血を垂らす。すると周辺から十匹ほどの獣の気配を感じた。



 とりあえず何もせずじっとしていると、俺の後ろの草むらから一匹のウルフファングが俺に襲いかかってきたが、それをさらりと左にかわしウルフファングの背中に向けて右足で蹴りをお見舞いしてやると、地面に叩きつけられたウルフファングは口から血を流し絶命した。



「グルル」



 その様子を見ていた残り九匹のウルフファングは草むらから出てきて俺を取り囲み始めた。

 ちょっとは知恵があるみたいだが所詮魔物だな、一気に仕留めるか。

 そう思い立った俺は右手を天に向かって掲げた後、勢いよく振り下ろした。すると俺を中心とした半径五メートル以内の地面が強烈な何かに押さえつけられたかのように、陥没した。当然ウルフファングもそれに巻き込まれ、キャンと一声鳴いたかと思うと身体中な骨や内蔵がぐちゃぐちゃに潰れ、口やら鼻の穴やら肛門から血や内蔵が溢れでていた。

 まぁこの世は弱肉強食なんだからしょうがないと思いながら、回収部位の尻尾を切り落としていく。当然帰り血など一滴も浴びてはいない。



 そして回収が終わり、またさっきと同じ要領で地面を元に戻した後、夕日が沈み始めているのに気づき急いでギルドに向かうことにした。

 きっと楓が俺の帰りを待っているに違いない、そう思うと自然と走るスピードも加速していく。



 街には授業を終えた学生達で昼間よりかなり賑わっていた。

 そんな街中を歩いていると、俺に視線を向けてくる奴がちらほらいる。まぁこんな血で濡れた袋を持ってたらしょうがないか。

 俺は今、右肩に回収部位を入れた布で出来た袋を背負っている。

 影に入れないのかだって?

 血で濡れたものなんて誰だって入れたくないだろ?



 やっとギルド到着。

 さてお姉さんはまだいるかな……

 おっ、いるじゃん。こっちを見て苦笑いしてるし。



「やっほーお姉さん、元気?」



「え、ええ。もしかしてもう依頼終わったの?」



 つい数時間前までは見事なまでの無表情だったが今はその面影すらなく、驚いた表情を浮かべている。



「もっちろん。はい、これが証拠ね」



 お姉さんの前にさっきの袋をドサッと置く。



「じゃあ確認するからちょっと待ってね……はい、確かに間違いありません。じゃあこれが報酬の合計の銀貨百枚ね」


 こんだけで金貨が手に入るならかなり楽だな。

 これならあの計画の実行も早まりそうだ。



「お姉さん、よかったら名前教えてくれない?」



「いいわよ、私は早川結衣。ギルドランクはA。歳は今年で24になるわ。貴方なかなか見込みがありそうだからきっとすぐに追いつかれちゃうかもね」



 大人の余裕を感じさせる笑みを浮かべる結衣は、やっぱり無表情の時より綺麗だった。

 普段からそうして笑ってれば可愛いのに勿体無い。



「知ってるかもしれないけど、俺はクロフォード=ソラリス。今日もう暗くなるから帰るけど、また今度話そうぜ。そうは見えないだろうけど、俺はあんたと同い年だ。じゃあまた」



 今度は驚きの表情を浮かべたまま固まってしまった。

 この姿じゃあ無理はないか……

 まぁあっちの姿を見れば納得するだろうが。



 結衣のおかげで、ギルドに行く理由が一つ増えたな。明日からまた楽しくなりそうだ、そんなことを考えながら俺は寮に向かって歩いていった。









 私は今あり得ないものを見てしまった。さっきまで話していたクロフォードと言う人が何と私と同い年だというのだ。誰がどう見ても学生にしか見えないのに。



 それにしても、あのクロフォードって人かなりやるわね。依頼をこなすスピードもそうだけど、回収部位にあまり傷がついていないし、切れている断面も魔法で斬ったのか驚くほど綺麗だ。一回着替えてからここに来たのかもしれないけど、帰り血すらも浴びてなかった。

 よほど凄い魔法使いなのかしら?



 でも本当にすぐ追いつかれるかもね、私も頑張らなくちゃ!



 そう自分に気合いを入れ、Aランクの依頼をこなしに行くことにした。









「えっ、明日ギルドに行かないかだって?」



「どうせ暇なんだろ?」



「う゛っ、それはそうだけど……」



 寮に帰って来た俺は楓の作った料理を食べながらそんなことを提案してみた。

 しかし何やら渋っている様子。



「もしかして実力がないってことを気にしてんのか?」



「うん……」



 だんだんと楓の周りがダークな雰囲気になっていく……

 これはまずい。



「じゃあ修行も兼ねて討伐系の依頼を受けようぜ!楓は忘れてるかもしれないけど、俺と契約したんだから今までより遥かに強くなってるはずだぞ?」



「あっ、やっぱりクロフォードのおかげだったのね!今日の実践魔法の授業の時全然魔力切れを起こさなかったから不思議に思ってたんです」



 嬉しそうに今日起こったことを報告してくる様子を見てるとこっちまで嬉しくなるな。

 この様子なら近い内に必ず、落ちこぼれの汚名返上が出来るだろう。



「よし、じゃあ明日は朝からギルドに行こう」



「うん、頑張りましょう!」



 ……後ついでにその口癖も直んないかな。









 ということで二日続けてギルドに来ました。やはり休日ということで多くの学生が出入りしている。



 今日はさすがに楓も制服ではなく動きやすい格好をして、なかなか似合ってる。

 まぁそんなどうでもいいことは置いといて、結衣どこだろ……

 どうやら今日は出勤してないらしい。



「楓、何ランクの依頼受ける?」



「うーん、クロフォードに任せるよ」



「分かった……すいませーん、Dランクの依頼十個下さい」



「かしこまりました。それではこの中からお選び下さい」



 あれ?この人は結衣と違って驚かないんだ。それとも結衣が驚きすぎなだけか?



「じゃあこの十枚を」



「受理いたしました。行ってらっしゃいませ」



 受付嬢に軽く手を振り、楓の所へ向かっていく。

 楓は外でギルドの壁に寄りかかりながら俺のことを待っていたので早速十個の依頼を受けたことを話した。



「ふぇ、じゅ、十個ですか!?」



 あたふたと落ち着かない様子だったのでとりあえず落ち着かせ、大丈夫だからと納得させた。



「じゃあまずはこのゴブリン三十匹討伐からだ」



「はうぅ、緊張します」



 何でも今まであまり討伐系の依頼は受けなかったそうだ。授業では何回か魔物との戦闘はやったと言っていた。



「目的地に到着」



 やって来たのは昨日ウルフファング討伐の依頼をやった場所だった。

 この森って意外と何でも出るな。



「おっ、さっそくお出ましだぜ」



 まず現れたゴブリンの数は十匹ほど。それぞれ木で出来た棍棒を手に持ち、ゲヒゲヒと笑っている。見た目は全身青く、下半身には布のような物が巻き付けられていた。



「じゃあ私が呪文を唱え終わるまで時間稼ぎをお願いします」



 そして何やら呪文を唱え出した。とりあえず楓の実力を見たいからこいつらは動けなくしとくか。

 指をクイッと動かしてゴブリンの足に木をの根っこを巻き付けたので、急に身動きが取れなくなったゴブリンは何とか木の根っこの呪縛から脱出しようとしていたが、いっこうに根っこが取れる気配はない。



「クロフォード、そこどいて下さい」



 準備が出来たみたいなので、素直にどいてやる。



「行っけえ!ウィンドカッター」



 楓の前に突き出している左手からいくつもの風の刃が飛んでいった。

 ちなみに風は透明だが、魔法で造り出した風は若干白くなるので目をこらせば見ることは出来る。



 風の刃は見事にゴブリン達に当たったがまだ数匹残っていたので、俺がこっそりと残りのゴブリンを切り裂いてやった。



「やりましたね、クロフォード」



 初めてDランクの依頼をこなしたからか満面の笑みを浮かべている。まぁ、この調子で楓には頑張って貰いますか。



「じゃあ次行こうか」



「はいっ!」



 つい一時間ほど前までの楓はどこにいったのか、俺の隣を歩いている楓は自信で満ち溢れていた。









「えっと最後の依頼はシャレーグリズリーとかいう魔物か」



「それは頭に角が生えてる熊みたいなものですね、結構凶暴です」



 すっかり日が暮れてしまい薄暗くなってきた森の中を只今捜索中。

 多少時間がかかったものの、なんとか今日中に終わらせることが出来そうだ。



「楓、俺が合図したら右に飛べ」



「う、うん」



 俺に指示されたことの真意を分かっていないみたいだが、まぁいいか。



「3、2、1、今だ!」



「グラァッ」



 バッと横に飛ぶと、さっきまで俺達のいた場所に討伐対象の熊がいた。

 楓はその熊のいきなりの登場に腰を抜かしていて、使えそうにない。



「とりあえず死んでくれっ」



 一瞬で熊の懐に入り込み、右の正拳突きと左足の後ろ回し蹴りを連続で胴体にぶちこむと、熊は血を吐き木を薙ぎ倒しながら飛んでいった。 五メートルほど吹き飛んで、でようやく止まったがすでに絶命しているだろう。

 まったく、弱すぎて話にならん。



 楓は何が起こったかまったく理解出来てないようで、ポカーンとだらしなく口を開けていた。



「おいっ、暗くなっているんだから早く討伐部位を回収して帰ろうぜ」



 呼びかけてみるもまだ放心状態ため、仕方なく一人で討伐部位である角と目玉を回収する。



 回収し終わった頃にようやく意識を取り戻したみたいだ。



「す、凄いです。あんなに強いなんて思ってませんでした!」



 俺の手を取りブンブン上下に降る楓。

 これでも向こうでは世界最強だったんだから当然だろ?とは言えなかった。



「まぁ、さっさと帰ろうぜ」



 ずっと俺を褒めっぱなしの楓を引きずるようにその場を後にした。

 今回の死体は楓と一緒に地面に埋めといたからグロい光景はとりあえず無いと言っておく。









「あら、クロフォード君また来たの?」



 ふわっとした笑顔で結衣が受付から話しかけてきた。どうやら俺達と入れ違いだったみたいだな。



「依頼完了の手続きに来たんだ」



「ああ、その袋に入ってるのね。じゃあ確認させて貰うわ」



 結衣が袋の中から回収部位の確認をしている所を見ていると楓が後ろからチョンチョンと服の袖を引っ張ってきた。



「ねぇ、あの綺麗なお姉さん、クロフォードの知り合い?」



「いや、昨日ギルドに来た時逢ったばっかだ」



 そっかぁ、と納得した様子。

 楓と色々話しているうちに確認が終わったみたいだ。



「確認は終了したわ、報酬はランクアップ祝いも兼ねて金貨一枚にしとくね。後これが二人の新しいランクのギルドカードよ」



 渡されたのは黄色のギルドカード。ランクがDに上がり、受けれる依頼も当然また増えた。



「二日でDランクは異例よ、私も一週間はかかったのに」



 戸惑いの色を隠せていないがこれはしょうがない。向こうでもしょっちゅうこんな顔されたしな。



「まぁ気にするなよ、結衣」



「そうね、貴方のランクが上がったら一緒に依頼でもやろうかしら」



「その時は私もご一緒していいですか?」



 身を乗り出して自分も一緒にと言い出した楓にちょっとびっくりしたが、もちろん肯定の返事を出した。

 結衣もそんな楓の様子をクスクス笑って見ていた。

 その後もしばらく三人で色々と喋っていたがふと外を見ると、もう真っ暗だった。

 ギルド内は雷属性の魔鉱石を加工したもので照らされていたから気づかなかったな。



「そろそろ帰ろうぜ、楓」



「そうだね、じゃあ結衣さん失礼します」



「またね、クロフォードに楓ちゃん」



 話してる間にすっかり打ち解け、お互い下の名前で呼びあう仲になっていた。



「今日はギルドに来て良かっただろ?」



「そうだね、お金も貯まったし、結衣さんにも逢えたし。また行きたいなー」



 朝は渋ってたのにな、今じゃ逆に行きたいとまで言い出したか。

 本当コロコロとよく変わりやがる。



「ねぇクロフォード、明日は王都に行ってみない?」



「それはいいな、そろそろ行ってみたいと思ってたし」



 商業の国と言われるくらいなんだから面白いものがいっぱいありそうだしな。

 それにこの国の政治も気になるし。



「じゃあ明日は王都に行くってことで決定!」



 おいおい、スキップなんてやりだしたぞ。そんなに楽しみなのか?



「ほら、さっさと帰るぞ」



「待ってよ、クロフォード!」



 慌てて追いかけてくる楓を背に感じながらも、俺の心はすでに王都に思いをはせていた。




上手く投稿出来てますかね?

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