ぷろろーぐ
よう、俺の名前はクロフォード=ソラリスって言うんだ。今の見た目は黒髪黒目で身長は165ぐらいの細身な男だが本当の姿は違うからな?
本当の姿はまぁ時期に分かるさ。
「クロー、ご飯食べるから降りて来て」
「今行くからっ」
これからご飯らしいから行くとするか。
俺は今自宅の二階にある自分の部屋と言うか夫婦の部屋で、くつろいでいるので、早速みんなのいるリビングに移動することにした。
この家は俺の親友の影響もあって部屋の中では靴を脱いで、スリッパを履いている。
歩く度にパタパタとスリッパが音をたてるのを耳にしながらリビングのある一階へと階段を降りていくと、何やらいい香りが漂ってきた。
今日はあいつの故郷の料理か、なんてあれこれ想像しながらリビングの扉を開けた。
中ではすでに五人の男女が椅子に座っており、どうやら俺待ちだったようだ。
「悪いな、待たせちゃって」
軽く謝り空いている席についた。
「じゃあ、いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
俺の合図でみんなが一斉に食べ始める。
この合図は俺の目の前に座っている親友の国では当たり前にやっていることらしく、この行動の意味を聞いてからは、我が家でもその風習に従おうということになった。
「部屋で何してしたんだい?」
「特に何もしてねーよ」
今話しかけてきたのが俺の親友の零也だ。もう十年以上の付き合いで、結婚した今でもこの家で一緒に住んでいる。
見た目は、空色の髪に俺と同じ黒目をしており、身長は今の俺より10センチぐらい高い。細身なのにかなり筋肉質な、いわゆるイケメン。
だが悲しいことに恐ろしいほど鈍感。そのおかげで何人の女の子を泣かせたことか。
まぁ可愛い奥さんがいる今ではそんなこと関係ないがな。
「ねえクロ、どう今日のご飯?」
「ん?いつも通り美味しいぞ」
俺の左隣で少し不安そうに聞いてきたのは、俺の妻のマオだ。いつも緋色の髪のポニーテールをしている。見た目は目も鮮やかな夕日に近い赤色のパッチリとした二重に、豊満な胸の持ち主。かといって太っているわけではなく、スラリと高い身長にキュッと引き締まったウエストをしており、それが余計に胸を強調させている。
「ほら、サテナだって黙々と食べてるじゃないか」
マオの隣で脇目も振らずにご飯を食べてるのが二人目の妻のサテナ。この世界は一夫多妻制がOKなので何人妻がいようと問題ない。
肝心の見た目だが、こいつは完全なロリ。身長は150ぐらいでさらさらの白髪に色白の肌をした全身真っ白なやつだ。体型も確か胸は確かBカップもないって言ってたな。
目の色は澄んだ蒼色で、白によく合うんだこれが。
俺がサテナを見ながらそんなことを考えていると、サテナは箸を置きこっちを見る。
「……どうしたのー……?」
「何でも無いから気にするな」
こいつはいつもこんな感じに眠そうな声で喋る変わったやつなんだ。
ちなみにこいつは人じゃない。いわゆる魔族ってやつだ。イメージとしては、吸血鬼やエルフらへんが分かりやすいんじゃないか?
「クロ、そこの醤油取ってちょうだい」
「はいよっと」
こいつの名前はリーシェ。俺達が通っていた学校がある国の元王女だ。学校で俺達に逢うまで、魔法が使えないからと周囲から罵倒されていたらしい。まぁ今でも魔法は使えないがそのかわりに違う力を身につけ、今では人類最強と言っても過言ではないくらいにまで成長してくれた。
まぁ俺達には未だに勝てない。
ちなみに俺とマオは人ではなく、魔族とのハーフだ。リーシェと零也は先祖に魔族がいたのでいわゆる隔世遺伝という形で、血だけ魔族っていうかなり珍しい例なわけで。
リーシェの見た目は、光輝くような金髪にサテナと同じく蒼色の目をしている。体型はというと、バランスがかなりいい。身長は俺より少し低いぐらいで、胸はCかDの丁度いいサイズに、細すぎず太すぎずといった具合の手足の持ち主。
正直言って一番俺の好みの体型だ。ただこいつには一つ問題があったりする。
「何よ、あんまりじろじろ見ないでくれる?」
そう、性格があまり良くない。出会ってからもう7年以上経つがちっとも変わらないのはなぜだろう。
「いや、お前に見とれてたからつい」
するとボンッと音が出たわけではないが、そんな感じでリーシェの顔が瞬く間に真っ赤に変わった。
これも昔から変わらない所だな。
「零也君、あーんです」
テーブルの反対で幸せそうに零也の世話を焼くのは、零也の妻である葵だ。零也も差し出された煮物を仕方ないといった様子で口に加えた。
こいつもサテナと同じくロリである。艶やかな黒髪に茶色の目、若干肌に黄色が混じっているのは葵の出身国である東の国大和の特徴の一つである。体型もサテナに似てぺったんこな胸に童顔でしかも泣き虫とまさしく子供。今でも学生として十分やっていけるような顔立ちをしている。
さてと、ご飯も食べ終わったことだし軽く運動でもするか。
「ごちそうさま、ちょっと散歩してくるわ」
なぜこの時に限って俺だけ外に行ったんだろうと後になって後悔するのだった。
「しかしこの島もだいぶ住みやすくなってきたな」
俺達はとある海にある無人島を買い取り、数年前からここに住んでいる。
始めは辺り一面うっそうと生い茂る森ばかりでとてもじゃないが住めるような場所ではなかったが、俺達が見事に住みやすい環境に変えてやった。
そのおかげで今では俺達以外にもこの島に住み着くようになり(当然俺達の知り合いだが)、自然と人と魔物の共存のバランスが見事にとれたここは一種の楽園となっている。
今歩いているのは砂浜だ。打ち寄せる波が足にかかるか、かからないかのギリギリの所をゆっくり歩いている。
頭上はまだうっすらと暗い程度だが、キラキラと一番星が輝いていた。
ザブンザブンという波音や海鳥の鳴き声を耳にしながらこんな風に自然を満喫していると、なんだか幸せな気持ちになってこないか?
そんな束の間の平和を噛み締めている所で事件は起きたんだ。
ふと上を見上げると、俺の頭上にはいつの間にか魔法陣が出来ており、いまかいまかと発動の機会を伺っている状態だった。
「チッ、いつの間に」
急いで周りを見渡してみるが、人や魔族の気配はない。
どうやら攻撃してくるわけではなさそうだ、と安心していると、魔法陣から俺に向かって光が降り注ぎ始めた。
「んー、これなんだろ?まぁじっとしていれば分かるか」
と余計な詮索をやめ、大人しくしていることにした。しばらくして、魔法陣が一瞬強く光ったかと思うと次の瞬間、俺はこの世界から消え去っていた。