初配信(3)〜辛いときは〜
「菫ちゃーん!!!」
「沙梨華先輩静かにしてください近所迷惑ですそれと配信者名で呼ばないでください身バレします」
「冷静に説教された!?」
[うるせー!]
[冷静で草]
[沙梨華ちゃんいつもの三倍はテンション高くて草]
「そりゃあそうでしょう!デビューしたての後輩の家に行けるんだよ!?しかも初配信中に!こんなに嬉しい事は無い!」
「勝手に宇宙要塞からでも脱出しててくださいよ、わたしまだ配信中なんです」
「安心してよ、こんな暴走列車でも出来る任務を受けてここに来たんだからさ」
「自分で言うんだ…その任務とは?」
「それはね…」
とそう言った沙梨華先輩はわたしに抱きついてきた。髪を撫でるようにし、背中を優しくさすってくれて、まるで姉さんが泣いていたわたしを落ち着かせてくれていた時の様に…
「な…んで」
「いいから、辛かったよね。寂しかったよね。もう大丈夫だから、わたしが側にいるから」
「あ…う…うぅ』
「大丈夫、ゆっくり呼吸して」
「う…ん‥」
[おや?]
[雰囲気変わったな]
[流れ変わったな]
[ユニコーン!]
[雰囲気壊すな!]
[パチンコうたなきゃ(使命感)]
「落ち着いて、深呼吸して、泣いていいんだよ。辛いときは、悲しいときは、抑え込まないで吐き出していいんだよ」
そう…言われた…その瞬間わたしの中の何かが崩れた気がした。
「辛かった…悲しかった…寂しかった…お父さんも、お母さんも死んじゃって…お姉ちゃんしかいなかったのに…そんなお姉ちゃんもいなくなっちゃって…耐えられなかった…でも、人の前で泣かないようにしてた…心配させないようにしてた…困らせないようにしてた…お姉ちゃん、お姉ちゃん、うぅ…うわぁぁんいなくならないでよぉ、一人にしないでよぉ、またあの笑顔を見せてよぉ」
これがわたしの本音…あの連絡を受けてから心の中仕舞い込んでいた気持ち。
「大丈夫だよ、これからはわたしもいるから、一人には絶対させないから」
「本当…ですか?」
「うん。本当」
「絶対の絶対ですか?」
「絶対の絶対の絶対」
「…約束ですよ。守らなかったら殺しますから」
「重いなぁ…うん。約束」
「なら、いいです」
「あら?寝ちゃった?」
[…重いなぁ]
[うん。重い]
[かなり辛かったんだろうな]
[本当に優しいんだな、この子]
[心の中に仕舞い込んでた理由が心配させたくない、困らせたくないだからなぁ]
[しかしこれってプロポーズでは?]
「…確かに、一緒にいるって、一人にさせないって言っちゃったしなぁ」
[これ菫ちゃんから沙梨華さんへの矢印激重では?]
[確かにな]
[絶対にわたしから離れるなって言われたからな]
[つまりどっちもプロポーズしたってことでよろし?]
「んもう!なんでそういうことになるの!配信主の菫ちゃんが寝ちゃったしそろそろ終わりだよ。みんなこれから菫ちゃんのこと応援よろしくね」
[お疲れ様〜]
[勿論だ!]
[こんなの放っておけないからな]
[視聴者が浮気したら呪い殺されそう]
「それじゃあねーバイバーイ」
なんとか日付が変わる前に完成しました…