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SKK 好きが加速するこの世界で  作者: 勘冴えて嬉しいわ
3/6

SKK <3> 「乱れ」




涼夏(すずか)は、シェアハウスの壁にアサガオの絵画を飾った。額縁は黒だった

そこへ、典賢(つねさと)がやってきた。


「悪いね涼夏、任せちゃって、取付大変じゃなかった?」


「平気、そんなに重くなかったわよ。」


涼夏の手が赤らんでいた。おそらく彼女は、無理をしていたのだろう。

典賢が込み入った表情をし、話を続ける。


「その、いつも紅音に買い物任せているからさ、僕も手伝ってくるよ。」


「珍しいわね、別にいいけど。(あらた)君に何か言われないといいけど。」


涼風は怪訝(けげん)そうな表情をした。何か不穏な気配がする・・・・・・。


「行ってくるよ。」


「気を付けてね。」


そう言われると、典賢は、紅音を連れて、スーパーへと向かった。





シェアハウスを出て、歩いている途中で、紅音が通行人とぶつかった。


「痛っ。す、すいません。」


紅音が必死に、肩を(さす)りながらも、

柄の悪そうな通行人が、鋭い眼光で、口走る。


「なんだ、てめえ喧嘩売ってんのか?ああん?」


典賢が言う。


「すみませんね。彼女に、悪気はありません。痛みも感じているみたいです。争いは何も生みません。どうしても、というのであれば、細身の僕ですが、空手の黒帯は取得しています。お相手しましょうか。」


典賢は、争う気はなかったが、紅音のことをなによりも思っていたために、紅音をどうしても守りたかった。

通行人は、軽く頭を下げ、去っていった。


「紅音大丈夫?」


「大丈夫だよ。」


紅音の顔が火照っていた。


「典賢くん。空手やってたの?かっこいいね。私、s・・・・・・・なんでもないよ。」


「え、ありがとね。」


これは、禁断の感情。・・・・涼夏に申し訳ないな。善意で言っただけなんだけど。と考えていると、紅音がすかさず、抱きしめてきた。紅音が小声で言う。


「本当はね、あたし物凄く怖かったの。ありがとね。本当にありがとね。ぐすん。」


紅音は、涙目になっていた。というか、もう泣いていた。典賢の鼓動が早まる。

典賢はぞっこんだった。心底惚れていた。時すでにお寿司、あ、いや、遅し。それは、許されない恋だった。しかし、典賢には情欲が沸いていた。典賢は、人の目を気にせず、紅音の唇を奪った。


「ん。」


2人は舌を絡ませた。典賢が、我慢の限界に達した。


「ダメだ。紅音ちゃん。僕もう我慢できない。ホテル行こうか。」


紅音が黙り込む。典賢が諦めかけていると、紅音が数十秒ほど間をおいてから呟いた。


「いいよ。優しくしてね。」


2人はホテルへと向かった。何をしたかは、ご想像にお任せする。




ホテルを後にすると、2人はスーパーへと向かい、買いものを済ませ、家へと向かった。

家で待ったいた、涼夏に典賢が挨拶する。


「た、ただいま。」


続けて、紅音も挨拶をする。


「タダイマ。」


2人とも動揺を隠しきれていなった。2人は禁戒(きんかい)を犯したのだ。どうすべきか考えていると、涼夏が返事をした。


「あら、おかえり。ちょっと待って、紅音ちゃんどうしたの?髪が()()ているけど、何かあったの?」


紅音は横を一瞬向いた。


「えっと、風が強かったの。」


あ、まずい。僕たちの関係がバレてしまうのかもしれない。そう思った典賢は必死にフォローする。


「そうなんだよね。今日は雲が多くて、風が強かったみたいでさ。」


本当の事なんて口が裂けても言える訳がなかった。言ったらどうなってしまうか誰にだって予想がつく、典賢は唇を嚙み締めた。

涼夏は、訝しんだが、平然と言った。


「あら、そうなのね。大丈夫なの?気を付けて。紅音ちゃん。あと、典賢君も。」


「わかったよ。」


なにかあったのね、聞かないほうがいいかしら。

涼夏は、話題を変えようと試みるが、なかなか話題が思いつかない。


「えっと、そうね、今日は、()()()()ね。前向き過ぎるかしら。」


「そ、そうだね。」


バレてないよね・・・。と、典賢。

確かに、今日の夏は、涼しすぎるくらいだった。何か不穏な気配がする。これ以上何も起きないといいが・・・・・・・。









乱れは、シェアハウスの乱れと紅音の乱れた髪に掛かっています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一話と二話に比べて読みやすく、情景が浮かびやすくなりました。 とても面白いと思います。
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