SKK <3> 「乱れ」
涼夏は、シェアハウスの壁にアサガオの絵画を飾った。額縁は黒だった
そこへ、典賢がやってきた。
「悪いね涼夏、任せちゃって、取付大変じゃなかった?」
「平気、そんなに重くなかったわよ。」
涼夏の手が赤らんでいた。おそらく彼女は、無理をしていたのだろう。
典賢が込み入った表情をし、話を続ける。
「その、いつも紅音に買い物任せているからさ、僕も手伝ってくるよ。」
「珍しいわね、別にいいけど。新君に何か言われないといいけど。」
涼風は怪訝そうな表情をした。何か不穏な気配がする・・・・・・。
「行ってくるよ。」
「気を付けてね。」
そう言われると、典賢は、紅音を連れて、スーパーへと向かった。
シェアハウスを出て、歩いている途中で、紅音が通行人とぶつかった。
「痛っ。す、すいません。」
紅音が必死に、肩を摩りながらも、
柄の悪そうな通行人が、鋭い眼光で、口走る。
「なんだ、てめえ喧嘩売ってんのか?ああん?」
典賢が言う。
「すみませんね。彼女に、悪気はありません。痛みも感じているみたいです。争いは何も生みません。どうしても、というのであれば、細身の僕ですが、空手の黒帯は取得しています。お相手しましょうか。」
典賢は、争う気はなかったが、紅音のことをなによりも思っていたために、紅音をどうしても守りたかった。
通行人は、軽く頭を下げ、去っていった。
「紅音大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
紅音の顔が火照っていた。
「典賢くん。空手やってたの?かっこいいね。私、s・・・・・・・なんでもないよ。」
「え、ありがとね。」
これは、禁断の感情。・・・・涼夏に申し訳ないな。善意で言っただけなんだけど。と考えていると、紅音がすかさず、抱きしめてきた。紅音が小声で言う。
「本当はね、あたし物凄く怖かったの。ありがとね。本当にありがとね。ぐすん。」
紅音は、涙目になっていた。というか、もう泣いていた。典賢の鼓動が早まる。
典賢はぞっこんだった。心底惚れていた。時すでにお寿司、あ、いや、遅し。それは、許されない恋だった。しかし、典賢には情欲が沸いていた。典賢は、人の目を気にせず、紅音の唇を奪った。
「ん。」
2人は舌を絡ませた。典賢が、我慢の限界に達した。
「ダメだ。紅音ちゃん。僕もう我慢できない。ホテル行こうか。」
紅音が黙り込む。典賢が諦めかけていると、紅音が数十秒ほど間をおいてから呟いた。
「いいよ。優しくしてね。」
2人はホテルへと向かった。何をしたかは、ご想像にお任せする。
ホテルを後にすると、2人はスーパーへと向かい、買いものを済ませ、家へと向かった。
家で待ったいた、涼夏に典賢が挨拶する。
「た、ただいま。」
続けて、紅音も挨拶をする。
「タダイマ。」
2人とも動揺を隠しきれていなった。2人は禁戒を犯したのだ。どうすべきか考えていると、涼夏が返事をした。
「あら、おかえり。ちょっと待って、紅音ちゃんどうしたの?髪が乱れているけど、何かあったの?」
紅音は横を一瞬向いた。
「えっと、風が強かったの。」
あ、まずい。僕たちの関係がバレてしまうのかもしれない。そう思った典賢は必死にフォローする。
「そうなんだよね。今日は雲が多くて、風が強かったみたいでさ。」
本当の事なんて口が裂けても言える訳がなかった。言ったらどうなってしまうか誰にだって予想がつく、典賢は唇を嚙み締めた。
涼夏は、訝しんだが、平然と言った。
「あら、そうなのね。大丈夫なの?気を付けて。紅音ちゃん。あと、典賢君も。」
「わかったよ。」
なにかあったのね、聞かないほうがいいかしら。
涼夏は、話題を変えようと試みるが、なかなか話題が思いつかない。
「えっと、そうね、今日は、涼しい夏ね。前向き過ぎるかしら。」
「そ、そうだね。」
バレてないよね・・・。と、典賢。
確かに、今日の夏は、涼しすぎるくらいだった。何か不穏な気配がする。これ以上何も起きないといいが・・・・・・・。
乱れは、シェアハウスの乱れと紅音の乱れた髪に掛かっています。