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少年と選挙

「はぁぁぁぁっ!」

「全然ダメじゃ、そんな攻撃じゃ生徒会選挙なんてとても無理じゃよ」


俺とドライズは生徒会選挙に出ることを決め、戦いの腕を磨いていた。


「そなたは中途半端じゃ、魔術と武術の両方に才があるせいでどっちも悪くないが決して良くはない。そして戦闘に迷いが出ている。」

「じゃあどうすればいいんですか?」

「今からひとつを極める時間はない。必殺を身につければいいんじゃ。」


「必殺技、ですかぁ」

「例えば、戦闘開始からひたすらチャージし続けてファイアボールを放つとかどうじゃ?」

「うーん、隙だらけになりませんか?」

「そりゃそうじゃ、魔術を練れば練るほど繊細さが必要になってそっちへ集中せざるを得んよ。」

「ダメじゃないですか!」


やがて日は落ち、ガリューズとドライズの必殺技作戦の話し合いは遂に終わることは無かった。


「かぁーっ!ダメですよこれ。必殺技はまだ無理です。」

「残り1ヶ月にしては厳しいのぉ。もう強そうなやつの対策考えたほうが良さそうじゃの。」

「そうですね……」

「そなたがいつも目で追っているあの女の子は出るのかの?」

「別に追ってないです!」




ドライズとの特訓の1ヶ月もあっという間に終わり、成果も確認できないまま、それは訪れた。選挙という名のトーナメントはまもなく始まる。

1年生の部では、どうやらあの女の子や、入学時の現生徒会長をも上回ると言われている生徒までも参加するそうだ。

生徒会に選ばれるには準決勝まで進まなければならない。

緊張感が一気に高まる中、会場の盛り上がりは極限となった。


「1回戦!アクイラ・ガリューズ!対するは白き刃!白き鎧!その甘いマスクで全てを見通せ!ソーニャ・ブレッツ!!」


なんだ、なんなんだあれ。

そして確信した。

あいつはバカだ。1回戦は確実に勝ち進めるだろうと。


「1回戦!試合開始ィィ!」



「ヘイベイビー、すまないね。僕の剣のサビとなれ!」

特訓の成果なのかはよく分からないが、相手の剣の斬撃方向が恐ろしいほど分かる。

相手の剣をかわし続けていると、話しかけてきた。

「僕はここら辺に顔が効く領主の知り合いの息子だ。僕の名誉のために負けろ。埋め合わせはする。お願いだ。」

やはり金持ちは全員愚かなのだろうか。

「2回戦はもっと強いひとが来るかもしれないよ。」

そうそっと呟き、俺は相手の腹に全力で斬撃を当てた。相手の体が浮き上がると同時に

「ファイアボール!」

容赦なく叩き込み、1回戦は勝利した。


「そなた、やったの!」

「あんなの勝ったうちに入りませんって」

「ところでこれ、何回勝てばええんじゃ?」

「6回勝てば準決勝って何回言えば分かるんですか」

「如何せんこんなに細かいトーナメント表とか見たことないからの……」

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