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始まりのお話

※この話に限り、「人間に絶望した少女が魔王に拾われて幸せになるお話」と同じ内容です。





その日、私のいた村が滅んだ。





────魔王率いる軍によって。






















▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲













「やーいクソおんな!」





少年から投げられた石を無視し、私はバケツを運ぶ。

無視された少年は面白くなさそうな顔をしていたが、やがて舌打ちと共にどこかへ行った。




本気で投げられなければ怪我をすることはない。

少し痛いだけだ。





少女は必死にバケツを運び続ける。

中身は糞尿だ。




少女は毎日、糞尿を回収して肥溜めへと運んでいた。




これがこの村での少女の役目だから。








私は、村で迫害されていた。




両親がいないから?

毎日糞を運んでいるから?

馬小屋に住んでいるから?





────どれも本当の事だが、それが理由ではない。





両親がいない子は私の他にもいる。

しかし、私以外は里親に引き取られ幸せそうに暮らしていた。




そして私にはこの役目しか選択肢が無かった。

……いや、選択肢すら無かったか。




住んでいる小屋もそうだ。

誰も私を引き取ろうと名を上げるものはいなかったらしく、とりあえず馬小屋になった。

その()()()()()が何年も続いているのはもう気にもならない。






私がこうなった理由、それは……







─────目だ。






私の目はとにかくおかしかった。




左右で色が違う。

片方が黄色。

片方が緑。




どれか一つでも異質なのにも関わらず、私はそれらを兼ね備えていた。





結果、悪魔の子だ~とか村に不幸が~とか根も葉も無いことを浴びせ続けられて生きてきた……





(私には尻尾も羽も角も無いし、村に不幸という不幸なんて来たことがないのに…)






しかし、少女には希望があった────




それは、先日捨てられていた本に記されていた事。





ここは大陸の中の村で、山を越えれば町というものがある。

そして、そこには数多くの人間が住んでいるのだ。





────きっとそこには、私のような目を持つ人だっているはずだ。





そこに行けばきっと、私を引き取ってくれる人がいるはず……

皆の様に、暖かい家で寝れる…

本で見た、色とりどりのご飯を食べれるかもしれない…

私を汚いものを見るような目で見る人も、石を投げてくる人もいないかもしれない…






想像していたらお腹が空いてきた。





(今日は食べられる葉っぱ見つかるかな…)






少女はなけなしの力を振り絞り、山へと向かうのだった────
















▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


















「やった…!三本も、生えてる…!」




道が汚れるから近づくなと言われていた山道へこっそり来たのは正解だった…!




ギザギザの葉っぱは食べるとピリピリと変な感じがするけど、土の風味が少なくて美味しい。





思わぬ収穫に喜んでいたその時、遠くからこちらへ近づいてくる話し声を聞いた少女は咄嗟に草むらへ姿を隠す。




(村の人じゃ、ない…?)




見えてきたのは、銀色の鎧に包まれた30人ほどの兵士だった。




確か…お城を守る強い人達…だよね…?




本から得た知識を思い出しながら兵士達を見つめる。





(……!!もしかして、町から来た人達!?)





もしかしたら、町まで連れて行ってくれるかもしれない!




そう考えた少女は迷わず兵士達へ向かって行く。





「…!?何者だ!ってうわ、なんだこのくせえガキは!」

「あ、あの!」




臭いと言われたのは少し傷ついたが、そんなの分かっているし今はどうだっていい。




「私は近くの村、住んでる…町へ連れて行って…もらえませんか!」




ちゃんと伝わっているだろうか…

本で読んだ文字を声に出す練習をしていても、いざアドリブで話すとなるとつっかえてしまう。

なにせ、言葉や読み書きを教えてもらった事がないのだ。




しかし、本を沢山見て皆の声を聞き、ここまで話せるようになった。





「うーん…悪いが俺達は行かなくちゃいけねぇとこがあるんだ」

「君、村に住んでいるんだろ?なんで町に行きたいんだ?」




もう1人の兵士が現れ、少女に質問した。




「私は両親いない、村の人は…私の目、嫌いしてる」




精一杯答えたつもりなのだが、兵士達は困惑していた。




「え~と…よく分からんのだが、目がなんだって?」

「私の目…」




少女はそう言うと、鼻まで伸びている前髪を掬って兵士達に目を見せる。





するとそれを見た兵士二人がギョっとする。




「おい、なんだその目は!?」

「お前、魔族か!?」




声を荒げた兵士達は腰に挿していた剣を抜き、構える。




「なんの騒ぎだ」




その時、後ろの方から金色の鎧を身に纏った兵士が現れた。

その姿を見た兵士は慌てて道を空け、頭を下げる。




「た、隊長!実はこの先の村のガキが突然出てきまして…」

「目がどう見ても人間じゃありません、もしかしたら魔族の可能性もあります」

「ふむ」




兵士の言葉を聞いた隊長が一言唸ると、少女の前に歩み寄る。




「た、隊長!お気を付け下さい、何をしてくるか分かりませんよ!」




兵士の言葉を無視し、隊長は少女をじっと見つめる。

少女はどうすればいいのか分からず、とりあえずそのままの体勢でいた。






………

……





「こいつはただの人間だ。魔力が僅かも感じんからな」




隊長はそう言って立ち去ろうとする。




「あ、あの!」




しかし、情報が得れるかもしれないこのチャンスを逃すわけにはいかない。

そう思った少女は咄嗟に隊長を引き止めた。




「……なんだ」




呼び止められた隊長は顔をしかめつつ、少女を見る。




「町に行けば…私同じ目、暮らしてますか!」




少女は一番聞きたかったことを問う。

緊張しているのか、答えを聞くのが怖いのか…

心臓はバクバクと鼓動し、口がカラカラに乾く。





しかし、帰ってきた返答は無情なものだった。




「そんな目をした人間なぞ見たことがない。この世界どこを探してもお前のような人間はおらんだろうな」




隊長はそういうと今度こそ立ち去っていった。




「いつ魔王軍が来るか分からない、さっさと進むぞ」

「はっ!」




隊長は部隊に号令を掛け、どこかへ歩いていった。
















▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
















────その日の夜。





藁のベッドの上で、少女は一人丸まって寝ていた。




摘んできた野草をまだ食べていなかったが、もはや食べる気も動く気も起きなかった。





この村にも、町にも……いや、世界を探しても、自分を受け入れてくれる人がいない…




その事実は少女の唯一の希望を砕き、同時に絶望へと塗り替えられた。





(私は…なんのために生きているんだろう…)




光の刺さない暗い馬小屋の中で、少女は思う。




このまま一生、死ぬまで、私は嫌われ続けるのだろうか…






それなら────





このまま死んだほうが良いのではないだろうか…?





そう考えた瞬間、身体の力が抜けていくのを感じた。

常にどこかしらの痛みがあった身体から痛みが消え、手足の感覚が無くなる。




猛烈な眠気に誘われるまま、少女は瞳を閉じたのだった────




どうも、あすれみです!


こちらは魔王視点になります!

詳しい説明等は少女視点でのあとがきに書きましたのでそちらをご覧くださいませ!


https://ncode.syosetu.com/n1871gw/


それでは!

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