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033:二人の生い立ち

今回、一部《》内が第三者視点になります。

 今は石臼を使う予定も無いので貸し出しする事に問題は無い。僕は事情を聞いてみる事にした。


「私の名前はルナで、この子はキャロと言います。この近くのエルフィーデ孤児院でお世話になっています」孤児院の名前が若干気になったが、僕は、黙って頷いた。


「エルフィーデ女王国の援助で設立された孤児院なんです。毎年子供の人数に応じて支援金が支給されていますが、ガザフの人口増加で孤児の数が増え、ここ数年は経営がとても苦しくなっています。幸い院の庭が広かったので畑にする事で、最低限の食事はなんとか出来ているんですが、服等が買えなくて、厳しくなってきてるんです」


「それでポーションの露天売りを?」僕は確認の質問をする。


「はい、院長先生には子供が露天売りなんて無茶だと反対されましたが、試しにやらせて欲しいとお願いしたんです」少女は頷きながら答えた。


「なるほど、今回上手くいって納品先まで確保できたし、道具とか使いたくなるよね……うん、別に使うのは構わないよ、何処で試してみる?」


「あっ! でも孤児院で昼間は子供達が邪魔するので作業とかは難しいです……どうしよう……」


 少女が悩み始めたので、助け船をだす事にした。


「僕が今、宿にしている猪鹿亭なら昼間は食堂が空いてるし、一度お願いしてみよう」

 

 僕は最悪、裏庭とかなら許可して貰えるだろうと請け合ったのだった。


◻ ◼ ◻



 僕達は今、猪鹿亭に向かって歩いていた。ルナが石臼を使いたいと言ってきたのだが、使う場所に問題があったからだ。


「すいませんユーリ…….さん、使いたいと言っておきながら場所がないなんて……孤児院だと昼間はそういう作業はとても出来ないので……」


 僕達はお互いを呼び捨てで呼ぶ事にしたのだが、ルナはまだ慣れないようだ。


キャロは「キャロはキャロだよ!」と良く分らない事を言ってたので、そっとしておくことにした。


 時間があったので道すがら、二人の生い立ちを聞く事が出来た。


 キャロは探索者だった母親が病で亡くなり孤児院へやって来た、まだ幼かったので父親の事とかどんな暮らしだったかは良く覚えていないらしい。


 ルナも似たような境遇だったが、行商人として順調に商いを行っていた父親が事故で亡くなり孤児院に来る事になったらしい。


《ルナの家庭はそれなりに裕福で生まれた時に母親を亡くしたルナを心配しとても教育熱心になり、ルナが水魔法の高い適正があると知ると、水魔法を買い込み覚えさせた。


 結果としてはその判断は正しかったのかも知れない、無理な商売をしていた父親が亡くなると家財は売り払われ、ルナに残ったのは身一つと常に身につけていた、とても小さなマジックポーチだけだった。

 

 実はこのマジックポーチは特注品で隠蔽の効果が付与されており、債権者達の目を欺く事ができたのだ……ルナはこの年齢しては、賢明な子供だったので、怪しまれない程度の他人には価値の無い思い出の品や、高価な服を除いた実用的な普段着をポーチにしまい込んだ。


 高価な服装はこれからの自分には必要の無いものだと理解していたからで、残す品には思い入れのある服もあったが、あまり持ち出すと怪しまれる恐れがあっからだ。


 何かあった時に使いなさいと渡されていた、金貨一枚をポーチにしまい、自身に刻印された魔法と共に世間の寒空に放り出されたのだった。》


 

 




 


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