015:初めてのダンジョン
串焼きを買った僕は、何処か座って食べられそうな場所を探して、辺りを見渡したが、それらしい場所は近くに無いようだ。
でもダンジョンの場所を示す、標識らしき物を見つけて、取り敢えずそっちに向かう事にした。
ダンジョンの場所は、ギルドの裏側に広い道があり、そこを北に向かうようだ。
僕は串焼きを食べながら、ゆっくり北を目指した。
暫く歩いた道の突き当たりに、広場が見えてきた。
標識にはダンジョン前噴水広場と書かれており、かなりの広さがあった。
中央付近に石積みで円の形になった小さな池があり、真ん中から水が吹き上がっている。
他に何か無いかとあたりを見まわすと、奥に小さな建物があり、その入口に衛兵らしき人が二人見えた。
僕は近くに設置されていた長椅子に座り、串焼きを食べながら気分を落ち着かせた。
(ただダンジョンに入るだけなのに、緊張してきたな……あの池みたいなのが、他にそれらしい物がないので、噴水かな? 今日は良い天気で良かった)
そんな今からダンジョンに入る事とは関係の無い事を考えながら、串焼きを食べ終えると、少し落ち着いてきた。
「……よし! いこう!」僕は立ち上がりダンジョン入口と思われる建物に向かって歩き出した。
◻ ◼ ◻
建物の近くに来ると、衛兵の人が「ダンジョンに入るのなら刻印か身分証を提示するように」と言ってきた。
僕が右手の刻印を見せると。
「気を付けてな」と一言だけ言って入室の許可をくれた。
僕は軽く頭を下げその建物に入った。
中は思った程、暗くはなく、窓のような物から光が差し込んでいた。
そして、奥に石造りの階段が地下に向かって伸びているのがみえた。
近寄って中を覗いたが、底は見えなかった。僕は勇気を出して階段を下っていった。
階段が終わると、短い洞窟になっていて、その先は明るい景色のようなものが見えた。
僕は真っ直ぐ歩いて行き洞窟をでた。
「草原だ……空が青い……外とはまるで別世界……神が創りしダンジョン遺跡……生きているダンジョン……」
僕は只、茫然と暫く立ち尽くしていた……
「じいちゃんの言ってた事は本当だったんだ‼」僕は思わずそう叫んでいた。
◻ ◼ ◻
興奮から少し冷めた僕は、草原の層の一層目を探索する事にした。
二層への階段の入口は洞窟を抜けて、そのまま真っ直ぐ向かえばやがて到着するらしい、今日はそこまで行く気はなかったので、遠くに見える一本の木を目指す事にした。
歩きながら何か役に立ちそうな薬草や香辛料のなる草花を探してみたが、既に採集された痕跡があった。
後から知った事だがダンジョンの素材や魔物そして、鉱石などは、一日で回復する。
その性質を利用して戦闘をしない探索者が、襲ってくる魔物のいない安全な一層で、暗い早朝からダンジョンに入り採集しつくしてしまうらしい。
薬草等の採取場所は、ある程度変わらないらしく、まるで巡回するように採取するらしい。
そういう探索者の事を[探索業者]とか[巡回業者]と呼ぶそうだ。
移動中の採取では目ぼしい成果の全く無かった僕だったが、目印にしていた木の側に到着して、今日の目的だったダンジョンのウサギ……[レッサーラビット]を発見したのだった。




