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HOPE・DIEAMOND  作者: 行方不明者X
Chapter.01 Hope・Diamond
1/4

とあるニュース

《次のニュースです。


 


 


昨日、×××××博物館で発生した立て籠もり事件が思わぬ悲劇で幕が引かれてしまいました。


 


 


本日未明、犯人グループが人質の身代金を要求していた最中、博物館内で火災が発生し、中にいた人質を含む多くの犠牲者がでました。


 


 


救出された犯人グループの一人であった××××・××××容疑者の供述によれば、『突如リーダーだった×××××容疑者から炎があがり、体についた火を消そうとした×××××容疑者が暴動を起こしたことによって展示されていた布製の展示品に引火し、火災が発生した』とのことです。


 


 


現地警察は、この供述をもとに火災が発生した際の状況を調べています。》


 


 


窓から長閑な朝日が射し込む朝。彼女がいつもの習慣でなんとなくつけたテレビで、海を越えた先にある遠い国の事が流れていた。


 


「………うわ、火事とかこっわ」


 


長閑な朝には似合わない、人の命が世界から消えた事を告げる物騒なニュースを見て、ぽつりと、そんな無慈悲な一言を他人事のように彼女は呟いた。



「あら、この博物館……」


「知ってるの?」



続くニュースを見るぼんやりと見る彼女に、焼き上がった朝食のトーストを持ってきてくれたらしい彼女の母がテレビを見ながら呟く。



「知ってるわよ、お母さんが結婚した時に、お父さんと一緒に行ったしね」


「へぇ……新婚旅行ってやつ?」



彼女が母の口から出る話に興味を持って聞き返せば、そんな返答が返ってきた。



「そう。いいとこだったのになー、燃えちゃったのね、全部。もう一回ぐらい行きたかったんだけど……」



燃え上がる博物館の映像を見ながら、母は言った。……そんなに良かったんだろうか。あまり興味がない私でも惹かれるものが見つかれば良かったのにな、と、彼女は思いながら、焼きたてのトーストにかじりついた。



《また、この火災で博物館に保管されていた『ホープ・ダイヤモンド』と、火事によって亡くなった博物館館長夫妻の一人娘のフローレンス・アキレジアちゃんが行方不明となっており、現地警察は、何者かによって計画された誘拐事件の可能性があるとして、火災発生した原因究明と平行して捜査を進めています。》



そこで、テレビに女の子の写真と青色の宝石の画像が映された。………青い宝石を見て、思わず、彼女は、


 


 


 


 


 


 


 


 


「………きれい」


 


 


 


 


 


 


 


 


見惚れてしまった。





照明の光を受けて燐光を撒き、キラキラと煌めく音さえ聞こえてくるような輝きを放つその青色の宝石に。





魅入ってしまった。




 


―――――――――欲しい、という欲求が、彼女の中に沸き上がってくる。


 


 


この青い宝石が欲しい。


 


 


 


どうしても欲しい。


 





欲しい。


 



 


 


欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいほしいホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイ。


 


 


―――――――………………どうヤッタラ、手ニはいルだロウ?


 


 


そこまで考えて、彼女ははっと我に返った。



………今、自分は何を考えたんだろう。先程何かを考えていたような気がする。なのに、妙にぼんやりとして思い出せない。はて、何を考えていたんだっけ?



ぼんやりとしてしまっていただけだろうか、と首を傾げながら、彼女は止まっていた食事の手を動かす。少し冷めてしまったトーストをもう一口齧ったところで、彼女は目の前にいた母親が動きを止めている事に気が付いた。その視線は、先程の自分と同じくテレビに釘付けになっている事に気が付いた。

いや、テレビというよりは、テレビに映る………―――



「………お母さん?」



彼女が母親に声をかけると、母親もはっと我に返ったように目を瞬いた。



「………あ、あらやだ、ボーッとしちゃったわね。冷めないうちに食べてね」



「うん………。大丈夫?」



「大丈夫よ」



にっこりと、いつものように笑う母を見て、彼女はほっと息を吐く。



先程の母親は、何かが可笑しかったと彼女は感じていた。もし説明を求められれば、説明できないだろうが………何かが、いつもと違っていた。そんな事を感じていた。



敢えて言うならば、自分の欲を、何としても満たそうとする獣のような…………



「………はぁ」



何だか薄気味悪さを感じ、見る気を失くして、テレビを消した。

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