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君が寝るのを許してごめん  作者: 負布 浮
1/1

今日のこと

燃えるような夕暮れだった。カラスの甲高い鳴声を聞いて私たちは別れた。

「また明日。」

「じゃあ、ばいばい!」

ありふれた言葉が赤い街に溶けていく。楽しげに走り回るランドセルを眺めていると、自分が消えてしまったような感覚に襲われる。

気がつけば私は足を止めていた。

「どこへ向かっていたのか。そうだ、帰ろうとしていたのだ。しかし何処へ。わからない、わかりたくない。」

嫌になってしまった。私の知っている常識が全て間違っているような気がした。街と一つになっていた意識がふつふつと浮いてきた。

「私は孤独だ。」

確認するように呟く。道行く人々は誰も否定しなかった。

その時、ポケットが震え出した。感覚を失っていた指先が温度を取り戻す。無意識のうちに携帯を取り出し耳に当てていた。

「もしもし。」

「あ、もしもし。私だけど。」

その電話は1年前から付き合っている彼女からだった。

「やっぱり今日、あなたの家に泊まっていいかしら。」

声が少し震えていた。彼女は実家暮らしだ。おそらく家族と喧嘩でもしたのだろう。こういったことは過去にも何度かあったが、いつまで経っても慣れなかった。

「......」

なにも言えなくなってしまった。

たったの一言ですら重くてゴツゴツした固まりに感じた。

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