「寝取られ」が圧倒的トップだと?執筆してる場合じゃねえ!今すぐ調査と分析だ!
果てしなく無意味なことだろうと男にはやらねばならんときがあるのだ……
かめのこたろう氏のエッセイ
DMM(FANZA)が公開した同人エロジャンルレポートで「寝取られ」が圧倒的トップだった話
https://ncode.syosetu.com/n0456fg/
にて、2018年の(DMM同人における)圧倒的人気ジャンルが「寝取られ」であるという衝撃のお話である。
最初タイトルを見たときの感想は、「ハハハ、またまたご冗談を」である。
そして本文を読み、実際に該当のレポートを読んだ結果、「え?本気?」である。
大半の性癖は共感は出来ずとも理解は出来ると思っている私も、「寝取られ」は共感はおろか理解も出来ない特殊性癖である。
熱く語っている方はいるけど、どうしてそこで興奮出来るのか、ちっとも納得できない。
「寝取られ」がジャンルトップというのは、容認出来ない。アイデンティティに関わる問題だ。
第一そんな大人気であるはずの「寝取られ」を、普段ほとんど目にしない。
私の知らないところで大ブレイクしてたりするとなると事態は深刻だ。一刻の猶予もない。
◇
そんなわけで、性癖調査を開始です。
まずは実態調査。今人気のある売れ線を調べよう。
そう思い立ち、向かった先はDLsite。
ダウンロード専門のデジタルコンテンツに特化したサイトです、日頃、何かとお世話になってます。
トップページに見える、2018年、年間ランキングのバナー。
さすが老舗の大手は違います。こちらの欲しいものがわかってる。
早速クリック。
1位から見ていきます。
…………
10位まで確認したところで
「ダメだ!ダメだぁ!こんなもの使えん!!」
総合ランキングはゲームばっかりなんですね。それもゲームとしての面白さで評価されてるものばかり。
DLsiteの歴史を振り返れば当然ですし、そういったゲーム性を評価されるところだからこそ私が愛用しているのだけど今回は困りました。これでは調べられない。
仕方ない。餅は餅屋。同人誌のことを調べるなら、とらのあなだ!
ということで、とらのあなへGOです。
最初、ランキングの使い方がよくわからなかったのですが、しばらく弄ってたらエロ同人誌週間ランキングにたどり着きました。
キーワード拾ってパパーッと分析しようとしたんですが、タグついてない作品も結構多い。
そんなわけで人海作戦です。一人ですけど。
一冊ずつサンプルページや商品紹介を見て傾向やおおまかな内容を把握します。100作品分。
少し話を逸れますが、水源氏のエッセイ
コミケに参加したけどつまら、なかった、これなろうに投稿したけど反応がなくてつまらなかったと同じかも
https://ncode.syosetu.com/n9192ff/
で述べられていた、今の同人誌における売れ線の半数をオリジナル作品が占めるという情報に関しても、気になっていたので調べてきました。ついでです。
結果(2018.12.31~2019.1.6集計分より)
オリジナル作品 54作品
二次創作(ゲーム) 24作品
二次創作(アニメ等) 22作品
まさにおっしゃる通りでオリジナル作品が過半数という状況でした。
これが同人誌界隈において、オリジナルの波が来ているのなら、私の感覚がズレてきている証拠で、ヤバイなー時代に乗り遅れてるなー、なんて思っていたのです。
後述する性癖調査にてオリジナルの比率も集計していて、とらのあな全体ではオリジナル作品の比率は30%を下回るんです。
売れ線はオリジナル作品が強いけど、全体では昔とそう変わってはいないのです。
ああ、良かった。二次創作はまだ廃れたわけではないのね、と一安心です。
で、売れ線で何が起こっているかというと、エロ漫画家がオリジナル作品を出している、と。
それもシリーズ物で出していて、1話ずつ単独で出して、ある程度纏まったところで総集編にして売る。
出版社通さず自費出版でやってる点が違うだけで、作品の中身は商業誌と変わらないんですね。
エロ漫画家は出版社に雇われて原稿料や印税を貰うサラリーマン的職業から、自分で稼ぐフリーランサーになることが求められているようで、そこらへんは時代の流れを感じますね。
さて、脱線した話を元に戻します。
100作品見て、「寝取られ」に該当する作品は、15作品。
比率としても高く、人気があることが伺えます。
じゃあ全体の作品数、つまり描き手の人気度はどうなんだ、と。
とらのあなには
性癖ターミナル - 性癖特化型同人作品検索頁 -
148種の性癖タグからなる検索ページがありました。
ということで148種全部調べてみました。人海戦術です。一人ですけど。
各タグに含まれる18禁作品をカウントした結果をスプレッドシートに放り込んで並び替えます。
上位5つは以下のものでした。右の数字は作品数です。
1位 巨乳・爆乳 2,869
2位 ロリータ 1,456
3位 3P・乱交 1,285
4位 中出し 1,225
5位 貧乳・微乳 988
……おっぱいですね。
大きいのが好きな人と小さいのが好きな人がいるけど、どちらの嗜好の人も、とにかくおっぱいを重要視してることはわかります。男はおっぱいの奴隷です。
でも、上位5位には「寝取られ」いませんでしたね。じゃあどこにいるんでしょうか?
19位 触手 378
20位 ショタ 364
21位 男の娘 343
22位 ケモノ耳 339
23位 寝取られ 332
出てきました。
「寝取られ」は「触手」よりも下です。
「寝取られ」は「ケモノ耳」よりも下です。
特殊性癖としては高いけど、人気ジャンルには程遠い。そんなところでしょうか。
この結果から考えると、作品数の割に売れ線に15作品もあるのは驚異的と言えます。
これはやはり、時代は「寝取られ」になってしまったのかと悲観するところですが、売れ線の傾向と中身のチェック100本ノックをしていて、あることに気付いていた私はへこたれません。
まず、「寝取られ」物の定義。
1. 寝取られ男とヒロインは両想い(両片想い含む)
2. 寝取り男によってヒロインが寝取られる
1を前提として、2の寝取られシーンが描かれるのが、エロ漫画における「寝取られ」物です。
決して、寝取られ男が絶望し苦悩するシーンを描くものじゃありません。
上記を踏まえて考えると、「寝取られ」物は4つの視点で楽しむことが出来ます。
まずは、寝取り男視点。
他人の女を奪い取る達成感。己のチ○ポで女を支配してやったという征服感。寝取られ男よりも優秀であるという優越感。こんな感じの欲望が満たせそうですね。ジャンル的には「寝取られ」ではなく「寝取り」になります。
次いで、ヒロイン視点。
理性を狂わせるほどの快楽責めにあっているという状況。想い人を裏切っているという背徳感。
こんなとこでしょうか。ジャンル的にも「寝取られ」です。
神というか傍観者の視点。
ヒロインがだんだんと淫らに堕ちていく様を堪能できる。ジャンルも「寝取られ」
最後に寝取られ男視点。
ヒロインが寝取られていくことに興奮する?言うまでもなく「寝取られ」
寝取られ男視点以外は特殊でもなんでもない、よくある普通の性癖です。
カバー範囲も広いのでエロポテンシャルは非常に高いことが分かります。
寝取られ男に感情移入して興奮する特殊性癖としての「寝取られ」が、トレンドワードとして独り歩きしたといったところ。
実際、売れ線の「寝取られ」作品はだいたいはヒロインがフォーカスされていて、寝取られ男にフォーカスはあたっていないんですよね。ひどいのになると1コマも出てこなかったり。
DMMの人気も熟女だそうで、熟女と言えば人妻。人妻といえば不貞を働くのが基本(エロ界隈での話です)
そして身も心も堕とされてしまうのが「寝取られ」です。要するに人妻物の定番なんですね。
しかも、ハードで濃厚なシーンが約束されているエロいシチュです。
一番人気になるポテンシャルは十分あったわけです。
昔から人気のシチュだったけど、単に今まで「寝取られ」というジャンルで呼んでいなかった。
【結論】
・エロ同人において「寝取られ」は人気のジャンルで間違いない
・ただし、「寝取られ」は女の子が寝取らていくシーンがメインで描かれた作品であって、寝取られ男にシンクロする作品のことを指すわけではない
そんなわけでとりあえず自分が安心出来る結論が出たので寝るとします。
ってもうこんな時間だよ。おやすみなさい。
――DLsiteのランキングでマンガ・CGランキングで見れば良かったことに気付く。
30日間ランキングを見て、そっ閉じ。
DLsiteヤバイよ。DLsite。薄々気付いてたけど。
サイト毎に抱えてる客層が全然違うとよくわかった。
筆者はDLsiteを応援してます(ぁ
※誤字報告ありがとうございました