雨水 潤
俺、雨水 潤は自他共に認めるイケメンである。
自分でイケメンだと言うのもどうかと思うが、今まで生きてきた人生の中で、一番俺にふさわしいとか思う言葉がそれなのだから仕方がない。
街を歩けばモデルにならないかと声をかけられ、学校にいれば否が応でも注目の的になる。
正直告白された数は数え切れないくらいだ。
身長182cm、体重74キロの細身の体格で、髪の毛はワックスでキレイに整えたセミロング。
自分でも多少は身なりを整えようと努力はしているが、正直モテすぎて困る。
最近は駅で待ち伏せされて毎日遅刻している始末だ。
ぶっちゃけめんどくさい。
俺は別に全ての女にモテたいわけじゃない。
一人でいい。
幼稚園の頃に出会った初恋の女の子。苗字はわからないが、名前は瞳ちゃんだったはず…。
自分の事をボクと呼ぶ不思議な子だった。
俺は彼女と生涯を暮らしたい。
ただ、それだけなのだ。
その為に俺は自分を磨きに磨いている。
それなのに…。
「潤くーん!今日一緒帰ろ!」
「えー!美穂何言ってんの!今日は私の番だって!」
「ず、ずるいよー。私も私も!」
俺の意思とは関係なく始まる女子たちの俺争奪戦。
正直もううんざりだ。
え?どうして悪態をつかないのかって?
嫌いようなそぶりをすれば良いじゃないかって?
まぁ、その通りだ。
そうすれば周りの女達は俺の元を離れていくだろう。
しかし、俺は運命の人を探しているのだ。
そう。瞳ちゃんを!
運命の人を探しているのに、女性との関わりを断つなんて本末転倒だ。
女性からの好感度は高い方がいいに決まっている。
俺は35億の人類の中でもたった一人の女神を探しているのだから。
ああ。
俺の運命の人はどこにいるのだろうか。
後ろで聞こえる姦しい声を聞きながら、今日も俺は教室を後にするのだった。