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第七話 探検

 とりあえず、城門の内側で降りるみたいだ。

 助かった……。

 あんなに強そうな魔物に、勝てる気がしない。

 

 地面に雲が近付くと、ボム達は降りていく。俺も降りなければ置いて行かれる。それは御免こうむる。魔物は城門の中に、入れはしないんだろうけど、声は聞こえるからだ。



 さて、探検の始まりだ!


 まずは、正面の巨大な扉を開け、中の様子をみる。入ってすぐに、広い玄関ホール。左右から二階に繋がっていると思えた階段は、右は二階へ。左は三階へ。

 何だろうか、この巫山戯た階段は。二階から三階に行くときは、どうするのだろうか。まぁその内、分かるだろう。


 二人と一緒に中へ入ろうと思ったら、ボムの頭の上にソモルンが、小さいサイズで乗っかっている。二人は、仲良しになっていた。さて、待ちきれない二人とともに、いざ! 中へ!


 まず、一階で目を惹いたのは、国立図書館並みの本の数が並ぶ、書斎だった。だが、書斎の規模ではない。

 一階のこじんまりとした、食堂。魔道具のトイレ。小さいソモルンとなら、三人で入れそうな風呂。それ以外の全てが、書斎という一つのデカい部屋だった。


 ここに住んでいた人とは誰なのだろうか。

 

 ただ、トイレが魔道具で、風呂があるのは素直に嬉しい。今までは、生活魔法で処理してたから、なおさらだ。俺達の城ではないが、あとで入らせてもらおう。


 それじゃあ次は、二階だ。

 ここは、個人の部屋があるだけのようだ。

 客室らしきものが一つ。

 私室らしき部屋が四つ。

 ということは、四人が住んでいたのだろう。


 さて、また一階に降りて、三階に行かねばならないようだ。めんどくさい。何でこんな構造にしたんだろうか。

 結局一階まで戻って、三階へ。


 ところが、階段をちょうど二階部分まであがると、途中壁に阻まれてるような感覚があり、全く進めない。


「なんだ? この壁は……。俺達の探検を邪魔するのか?」


 と言いながら、ボムは魔力を込め始めた。

 ヤバい。仮にも聖獣。


 だが、頭の上のソモルンは、大興奮でボムの応援をしている。


「ちょっと待った! 探検なんだろ? 探検は、謎を解いて先に進んだり、一筋縄じゃいかない問題を協力したりして乗り越えてこそ、達成したときに大満足のものになるんだ。今までは拍子抜けだったじゃないか」


 どうにかして収めなければ……。


「ふむ。そういうものか。じゃあどうやって進むんだ? 先が進まないのはつまらないぞ」


 なんとか怒りを収めてくれたようだ。

 まず、どこからどう見ても階段がおかしい。

 こんな階段、不便意外の何物でもないだろう。


「とりあえず、一階に降りてみよう。階段以外に何かあるかも」


 二人を促し、一階へ。

 手分けして周囲を見渡すと、ソモルンが鳴き声をあげた。


「グルァ」


 ソモルンの元に行ってみると、階段の裏の黒い石で出来た柱の床に近い部分に、よく見なきゃ分からない程度の亀裂が四つあった。これは鍵穴なのだろうか。

 だとすると、鍵が必要になるのだが……。

 どんな物なのか見当もつかない。


「でかしたソモルン。これはきっと鍵穴だな。ソモルンは鍵穴を見つけ、俺は鍵を見つけたぞ」


 えっ? ボムさん、あなた鍵を見つけたのか?

 ドヤ顔で俺を見てくる熊さんと、褒められて大いに喜ぶソモルン。


 なんか凄く悔しい……。


 一人悔しがる俺を横目に、鍵を挿していく二人。一つ挿すごとに、柱に彫られただろう溝を光が走り抜ける。四つ目を挿し終わると、三階に繋がる階段が消え、代わりに高さ一メートル位の四角柱が目の前に現れた。


 三人で近付き、ボムとソモルンがペタペタ触るが何も起きず。そこで、俺も触ってみた。手が一番上の面に触れた瞬間、魔法陣が展開され、三人が余裕で乗れる、透明な板のような物が、エレベーターのごとく上がっていく。


 なるほど。

 人間にしか反応しないようだ。

 一応三人で協力した形になったのだが、ボムとソモルンは少し悔しげだ。そしてついに、三階に到着。


 これだけもったいぶった三階には何があるのか、楽しみでしょうがない。

 とりあえず、一周してみた。

 ぶっちゃけ何もない。

 ある一つを除けば……。


 この目の前の分厚く、金や宝石で飾られた本を除けば、一つの広大な部屋だった。扉が四つあるから、四つ部屋があるのかと思ったが、中で繋がってた。

 ちなみに、この本も他の二人には全く反応しなかった。


 催促の目を向ける二人にせかされ、魔導書とだけ書かれた、いかにも怪しい本をめくる。勇気を出してめくったはいいが、表紙しかめくれず、一ページ目に魔法陣が描かれ……


【先を読みたければ魔力を流し鍵を開けよ】


 と、書かれていた。無言のプレッシャーを背に浴びながら、魔法陣に手を乗せ、魔力を流す。


 すると、魔力を流しているはずなのに、逆に魔力が流れ込んできた。流れ込んできた魔力は、激しく渦を巻くかのように、右腕に巻き付いていく。

 痛みはなく、声をあげることはなかったのだが、その現象と魔力が流れ込む違和感で、手を退けるなどの行動が、全くできなかった。


 その魔力の奔流がおさまると、目の前に本はなく、四角く黒いキューブだけが置かれていた。


 ……いったいなんだったんだ?





 

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