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暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~  作者: 暇人太一
第三章 学園国家グラドレイ
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第五十八話 それぞれの結果

少し遅くなりました。すみません。

 俺は指示通り祭壇を出し、プルーム様にメールの内容を告げた。プルーム様は本来魔石を置く場所に魔力を流すと、祭壇にある教会の扉が開いた。


 そこには水神様と火神様がいた。


 小さいアバターだったのだが、しっかりと存在感を感じられたのだ。


「プルーム、大丈夫? あなたのように若くてきれいな子に向かって、性悪ババアと言ったのは誰?」


 話しているのは水神様のようだが、いつものように偉そうな話し方ではなかった。それ故に、恐怖が正確に伝わってきた。俺はすぐにでも結界の中に入りたかったが、動くことも出来ず震えていた。火神様も同様のようだ。何か言いたそうにしているが、水神様の圧に押され沈黙していた。


 ソモルンは久しぶりの神々との再会にはしゃぎ、カルラを紹介しようと二人で祭壇に近付いたのだが、さすがの二人も怖かったのだろう。結界の中に入り、ボムに抱きついていた。


「……おい。マーロ」


 ついに、火神様は決死の覚悟で水神様に声を掛けた。どうやら、冤罪を訴えたいようだ。


「俺は無実だ」


「犯人は、全員そう言うわ」


 火神様に微笑みながら言う水神様だが、その微笑みからは恐怖しか感じない。


「本当だ。俺は教えてもいいと思ったことを、教えてやれとしか言ってない。嘘だと思うなら、リオリクスを呼べ。その場にいたんだからな」


 だが、すんなりと行くわけがなかった。


「あそこの熊さんに会ってしまうと、リオリクスが恥をかいてしまうわ。それに、私はあの熊さんが好きなのよ。熊さんも、傷つけてしまうかもしれないわ」


 ボムに顔を向ける水神様。その行動にボムは、頭を下げてお礼をしていた。火神様はどうにかしろ! と、訴えるような顔を俺に向けてきた。


「……では、ご提案をさせて頂きたいのですが、よろしいですか?」


 勇気を振り絞って言った言葉だ。出来れば、通って欲しい。


「ええ。お願いするわ」


「畏まりました。お……私は以前に、嘘を発見する魔道具を作りました。神様に使えるか分かりませんが、ここには被疑者である虎がいます。彼に使用すれば、火神様やリオリクス様が命令したというのは嘘と、証明出来るのではないでしょうか」


 そう説明すると、「早く言えよ!」という顔を向けてきた。口パクとともに。だが、怖かったのだ。出来れば黙っていたかった。ボムは、俺の方を見て合掌していた。しかし、ボムにも魔の手が伸びたのだった。


「皆さんで確認しましょう。そんなに離れていないで、こちらにいらっしゃい」


 そう言って手招きをした水神様。ボム達は驚愕の顔をしながら、結界から出てきた。


「ようこそ」


 俺は、最大級の嫌味をぶつけた。ボム達テイマーズは、苦虫をかみつぶしたような顔をして俺の横に並んだ。雷竜王は、酔いも吹っ飛んだのだろう。真顔になり、キビキビと動いていた。


 俺は早くこの事態を収めたいと思い、魔道具の準備を急いだ。


「では、虎さん。この上に手を置き、少し魔力を流して下さい。その後質問しますので、嘘だと判断された場合は体が赤く光ります。正直にお願いします」


 本当に機能するのか? と、言いたそうな顔をしながら、手を乗せ魔力を流し始めた。


「では、プルーム様への暴言は、火神様とリオリクス様からの命令だというのは、本当ですか?」


「当然だ」


 俺の質問に即答した虎さんは、赤く輝いていた。もう、阿呆としか言いようがなかった。水神様達がいなかったら、最強の神獣ではなく最強の阿呆と言ってしまっただろう。


「……御覧のとおりです」


「ありがとう、ラース。……ボルガニス、良かったわね。無実が証明できて。さて、このデリカシーがなく、嘘つきのお馬鹿さんにお仕置きをしなくてはね。何がいいかしら? ……あぁ! ラースが以前にやっていたアレをしましょう」


 火神様は、ホッと息を吐き安心していたようだった。そして水神様は、何かを思いついたようだ。俺がやっていたと言っていたことから、色々思い出してみたが、特出して相応しい罰は思いつけなかった。


 一人悩んでいると、水神様が指を鳴らした。次の瞬間、虎の毛がハラリと落ちて、ツルッツルになっていた。


 笑ってはいけない場面だが、笑いがこみ上げてしまう。震える体を必死に抑え、奥歯を噛み締め笑いを堪えていた。ただ、俺だけではないのが唯一の救いだった。横でボム達の毛が、揺れていたのが見えたからだ。


「プルームの外見について、暴言を吐いたのよ。あなたには、同じような罰を与えなければね。【金聖虎・ヘリオス】。あなたはその姿で、各神獣の下を巡りなさい。そして何故そうなったか、教訓とともに話してきなさい。このスタンプカードをあげます。このスタンプカードは、各神獣の魔力を込めて完成する物です。完成させたら、自分の管理ダンジョンにお供えをして完了報告をしなさい。そうすれば、元に戻してあげます。

 それから一つ言っておきます。あなたが本来教えることは、何もありませんでした。理由は、プルームが師として、既に教えていたからです。プルームが教えている以上、神獣が教えることなどダンジョンについてのみです。ボルガニスが、あなたをここに来させたのは、あなたの慢心を憂いたからです。プルームがラース達に教えていることなど、少し聖獣に聞けば分かることです。既に、【煉獄鳥・ガルーダ】や【嵐魔狼・フェンリル】辺りが、口実を探してここに来る気満々で行動を開始しているでしょう。彼らが何故、ここに来ることに興味があるのかも、見つけられるといいですね。では、お行きなさい」


 説教を聞いた虎さんは、プルーム様に頭を下げ旅立ったのだった。


 そして、俺達に向き直る水神様。いつもの柔らかい雰囲気に戻ったようで、ソモルンが飛び出していった。


「マーロ、久しぶり。妹と弟出来たの。見てー♪」


 ソモルンは、カルラとニールを紹介しようと、少し大きくなり抱き上げていた。


「可愛い子達だな。モフモフではないか」


 水神様の口調が戻った。ここでやっと、俺達も安心できたのだった。プルーム様は、水神様にお礼を言っていた。


「マーロ様、ありがとうございます。そして、ボルガニス様、お手を煩わせて申し訳ない」


 チラッと、俺を見たボルガニス様。どうやら、後方支援がバレているようだ。


「……いや。プルームは悪くない。アイツの阿呆さが、治ればと思って来させたが、成功したようだ。お礼にいい物をやる」


 そう言って、指輪をあげていた。


「それは、存在感の自動制御用の神器みたいな物だ。プルームは管理神だからな。アーティファクトでも、抑えられないだろうから創ってみた」


「これは助かります。常に気を張っていなければならず、酒が飲みにくくて」


 大喜びのプルーム様の姿を見て、やっと終息したのだと実感した。すると、俺とボムは水神様に呼ばれた。その手はずっと、ソモルンとカルラ、ニールを撫でながらだったが。


「ラース。お主のマッサージは気持ち良さそうだな。是非、私の可愛い神獣にもしてあげてほしい。少し遠いところにいるがモフモフだぞ。好奇心旺盛で優しい子だ。出来れば、早めに会いに行って欲しい。それから、ボム。お主は可愛いの。いつも見ているぞ。カルラやソモルンのことは、本当に感謝している。そこで、お主に最強への道のアドバイスをやろう。武器術にこだわりすぎてはいかん。大事なのは、属性纏だぞ」


 そう言って笑みを浮かべながら、ボルガニス様とともに帰って行った。


「マーロの神獣に会いに行くなら、ヘリオスの抜け毛で毛布でも作ってから行けよ」


 ボルガニス様は、最後にヘリオスの抜け毛をくれるという言葉を残し帰って行った。俺は、欲しかったから嬉しかった。毛布やコートを作るのに、最適だと思っていたからだ。俺が喜んで抜け毛を拾っている間、ボムはというと、頭を下げてお礼をしていた。


 だが、水神様のアドバイスに混乱しているようだった。ちなみに、俺は答えを見つけている。まだ上手く出来ないのだが……。完璧に出来るようになったら、ボムにも教えてあげよう。


 そして俺達は、プルーム様に暴言を吐かないと心に決めながら、特大のケーキを食べるのだった。満面の笑みを浮かべながらケーキを食べるソモルンの姿を目に焼き付け、横で失神している者達の分も食い尽くすのだった。


 もちろん、失神している原因はプルーム様の威圧だったのは、言うまでもないだろう。そして、夜は更けて行くのだった。





 ◇◇◇





「ったく! 酷い目にあったな。ラースも、まさか全員に送るとはな。確かに俺だけなら、神にお供えをするのは当然だと言いゴリ押ししていたから、ここで女神達を巻き込んだのは正解だった。だがお陰で、創造神並みの女の恐怖を味わうことになったがな。ヘリオスも阿呆な事をしたもんだ。ガルーダに会ったなら、詳しく聞けばよかったものを」


 火神は、自分の居城に戻ってきた。十一の神々と言っているが、それは上級神が十一柱いるというだけで、他にも部下や天使なども存在している。そして十一柱の神々はそれぞれ城を持ち、そこに住んだり仕事をしたりしている。


 そこで今回メールを受け取って、「知るか」というメールを送る直前に同時送信されていることに気づき、すぐにメールを書き直しているところに水神の乱入があり、連れ出されることになったのだ。


 ちなみに、以前、天使の一人が創造神・クレアのことをペチャパイで幼児体型だと陰で笑っていたところを見つけ、公開処刑しているときの雰囲気と全く同じだったため大人しくついていったのだ。


 連行されている現場には、最強の神である戦神もいたのだが、助けることなどせず雷のごとく逃げた。そして、その修羅場を作ったラースへのお仕置きを考えていたところ、そのラースからメールが届いた。


 どうやら、ラースの方が早く動いたようだった。いつもの三倍の量の豪華スペシャルコースの、大量の酒と高級おつまみを、今回のお礼とともに送って来たのだ。


 お供えだと、純度百パーセントの火炎属性の魔石を用意しなければならないが、メールの添付であれば、数回に分ければ送りたい相手にだけ届けることが出来た。それに、一言添えられていた。


『お供えではありませんので、全てボルガニス様の物ですよ』


 という、独り占め出来るという特典つきだった。


「アイツも分かってるじゃねえか。今回は許してやろう」


 と、御満悦だった。冷蔵庫を兼ねた金庫にしまい、いつもの晩酌メンバーを呼ぶのだった。










「マーロ様。お帰りなさい」


 そう言った者は、モフモフの象だった。ここは、十大ダンジョンの一つがある場所。水神は自身の居城を経由して、その場所へ遊びに来たのだった。そして水神にも居城に帰ると同時に、ラースからいつもの三倍の量のスイーツが感謝の言葉と特典の言葉とともに届けられた。


 水神は他の神々と違って、自身の属性の神獣をとても可愛がり、スイーツを届けてあげたりお昼寝したりと、かいがいしく世話をやいていた。こういうところは、創造神にソックリである。


 生命神と冥界神以外は、この世界を創ったときに創造神が創った子達である。そのため、親に似ている部分があるのは当然だったのだが、溺愛の仕方も同じだった。しかも会いに来る頻度が、創造神よりも多かった。


 その可愛がっているうちの一体が、目の前ではしゃいでいる【氷帝象・マンモス】である。この子が、ラースに頼んだマッサージしてあげてほしい子である。


「ただいまなのだ。相変わらず、可愛いのぅ」


 アバター姿で鼻に抱きつき、モフモフする水神。水神は、唯一十大ダンジョンを二つ管理している神ということで、自身の神獣も二体いる。ただ、ダンジョンの場所が真逆にあるため、なかなか三人で会えないのが残念だった。


 一度でも攻略されればしばらくは神獣が守護しなくても済むため、可能性が高いラースにさっさと攻略してもらいたかった。さらに、マンモスがいる場所は極寒大陸という場所だ。ここに人間はいない。魔物や動物しかいない。甘い物もない。マンモスには、友達もいないのだった。可哀想に思った水神は、寂しくしていたソモルンと仲良くなってくれたラース達なら、この子を任せられると思いついたのだった。


「今日も甘い物を持ってきたのじゃ」


 そう言って、マンモスを愛でるのだった。










「あーはっはっはっはっ! 笑わせてくれる。だから言った。代わってくれと。これで警戒されたら、俺が行きづらくなるだろ! やっと口実を見つけたのに」


 目の前に現れた【金聖虎・ヘリオス】の姿に、大爆笑する【煉獄鳥・ガルーダ】。その後、ヘリオスの阿呆な行動により、自身が行きづらくなったことに不満をもらす。


「……何故あそこに行きたい? 確かに、人間にしては強い。だが、神獣どころか聖獣にも負けそうじゃないか」


 どうしてあそこに行きたいのか不思議でしょうがなかったヘリオスは、我慢出来ず聞いたのだった。


「はぁ~。お前、強さでしか価値を測れないのか? アイツ、ラースとか言ったか。まだ十歳だぞ。しかも、プルーム様に師事していた期間は半年だけだ。それで、最強の神獣を称する【金聖虎・ヘリオス】を本気にさせたのだろ? 十分期待出来るじゃないか。それにリオリクス様が自慢している酒と飯は、そのラースにもらっているのだぞ。他にも注文すると、色々くれるという。リオリクス様のお使いに行くために争奪戦も行われたのだ。勝ち取った聖獣は、入り浸って帰ってこないそうだ。それに、マッサージが上手いらしい。さらに、可愛い子達や熊がいるらしい。こんな場所で管理だけしているよりも、ワクワクするではないか。強さが足りないなら、俺が代わりに戦闘してやる。退屈という名の悪魔を、追い払ってくれるのだ。そこらの有象無象など屁でもない。だが、お前に感謝しよう。俺は火神様直属だからな。お前が空けた穴を、俺が埋めてくる。最強の口実だろう。……フェンリルすまん。先に行く」


 そう念話で言い残し、ラース達の下へ最高速度で飛んで行った。その場に、ヘリオスを残して……。


「あの者が、あの旨いものを……」


 自分が犯した重大なミスに、やっと気付けたのだが、既に手遅れだった。


「反省の旅が終わったら、謝りに行こう」







 そんな念話を聞いた【嵐魔狼・フェンリル】はというと、苦悶しながら叫ぶのだった。


「クッソー!!!」





 ◇◇◇





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