第五話 怪獣との出会い
ついに、恐れていた事態が……。
ワクワクが止まらない、ボムが壁から中に入るとすぐに、床を踏み抜いた。本人に悪気がないのは分かる。それに、一カ所だけなら可愛げもある。
だが、当のボムはそんなことなど意に介さず、バキバキと床を踏み抜き、床が壊滅状態に……。
まぁ分かっていたことではある。
彼は、デブなのだ。
とりあえず、直すか代案を考えなければならない。
「なぁ、ボム。床は踏み抜いてはいけないのは、分かってくれたと思う。だが、他に家はないんだよな?」
ボムは、すまなそうにしながら、代案を提示してきた。
「さっきも言った通り、ここから精霊樹が見えるな?」
俺は頷き、先を促す。
「それより左にずっと行くと、城がある。ちなみに、石でできているから、踏み抜く心配はないと思うぞ」
まさかの提案に、心臓が高鳴る。
それにしても、何気に床を踏み抜いたこと気にしているようだ。可愛いやつだ。
だがここで、待ったがかかる。
「ただ、あそこは島の中心に近いところなんだ。精霊樹の役割上、中心部は魔素濃度が高い。つまり、強い魔物が山ほどいる。その上、結界はない。お前の戦闘力は、ゼロに等しいだろ? つまり、辿り着くことはない」
衝撃の事実である。
でも、俺にはボムがいる。
強力で自慢の相棒だ。きっと行ける。
「そこは、ボムが守ってくれるんだろ?」
「守ってやりたいのは山々だが、今のままでは無理だな」
まさかの拒否……。
いや、理由があるはずだ。
確認しなければ……。
「理由は? デブって言ったからか?」
「そんなわけないだろ。理由は簡単だ。お前は赤ん坊を背負ったまま戦場に行けるか?
姿は赤ん坊ではないが、さっき転生したばっかりで戦闘力はゼロ。ただ言葉を話せるだけマシの赤ん坊を家のためってだけで、危険な場所に誰が連れて行くか。それに、神様からの役目でもあるしな」
最後のは、照れ隠しで言ったのだろう。
本当に心配してくれているのが分かったことが、一番の収穫だろう。
じゃあ、目標は、その城に行くことだろう。家は、整地されてるし、まだ無事な床板があるから、床を張らないで敷くことにしよう。そんなわけで家を確保し、食料と水も確保完了。
一つ屋根の下で巨大な熊との生活が始まった。
その日から始まった毎日は、あっという間に過ぎていった。
日中は、ひたすら身体スキルレベルの向上に努めたり、狩りに出て食料を確保したりと、日が沈むまでの日課となった。
水は生活魔法で出せた。
あのときは狂喜乱舞だった。
夜は食事のあと、生活魔法で体と家をきれいにして、魔力を空まで使い切る。その後、モフモフのボムの腹に抱きつきながら爆睡。
そんな生活をして一年くらいしたとき、そろそろ城に行こうかなと思っていると、どこかから見られている気配が……。
周囲を見渡すも、誰もいない。
結界の境界まで行くと、木の陰から小さい怪獣みたいな魔物がこっちを見てた。
可愛い……。
毛がモコモコしてて、羽は無さそうだ。尻尾は長めで、頭に角が二本と首の後ろにトゲトゲが生えてる。色は基本はオレンジ色で腹の部分から尻尾にかけて、薄い黄色。瞳は、サファイアを思わせる蒼色で、クリックリしてる。極めつけは、手足が短い。
可愛い要素しかない。
でも魔物だろうから、抱きつくわけにもいかない。と、考えを巡らせていると、近付いてくるではないか。
簡素な村人達が着てそうなシャツとズボン姿の何に、興味を惹かれたのかは、全くわからないが、その小っこい怪獣は、俺の足に抱きついた。
柔らかい……。幸せだ。
つい頬が緩んでしまう。
だが、どうしよう。この子……。
結界を通過したことから、悪意がないのは分かるが、放置も出来ない。こういうときは、人生経験豊富な熊さんに聞こう。
「と言うわけで連れてきました。この子をどうすればいいでしょうか?」
怪獣を抱きあげながら聞く俺に、ボムは驚いていた。そして、固まっている。しばらくして、固まった状態から復活したボムは……。
「お前、その子を見てわからんのか? その子が創造神様のペットだ」
と、衝撃の一言。
だが、見てわかるはずがないだろう。
「お前には、【神魔眼】ってスキルがあっただろ。アレでステータス見れば、すぐにわかったのに」
そういえば、今の今まで忘れていた。
というか、ボムは何故わかったんだろうか。
「俺のは、野生の勘だ」
最近野生の生活はしてないはずだが……。
まぁせっかくだ、見てみるとしよう。
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やる気がみなぎります。