第四話 家GET
そんなこんなで、ステータスの確認は終わった。
次にすることは、修行。と言いたいが、まずは生きなければならないため、食料確保と水の確保。さらに言えば、屋根があれば言うことなし。
こういうときは無限収納庫に何か入っているのが、テンプレと言うやつなのだが、予想を悪い意味で裏切ってくれた。
「空っぽじゃねぇか!」
仕方ない。
ここは、案内役に頼らせてもらおう。
「ところで、食料と水。出来れば、家があれば言うことないんだけど、どこかにあるかな?」
若干遠慮がちに聞いてみると……。
「あるぞ。小さいが、神様が用意したそうだから大丈夫だと思うぞ。魔神様が言ってたけど、適当コンビの二人には任せられない。って言って、忙しい合間を縫って、水神様が用意してくれたそうだ。だから、安心していいそうだ」
適当コンビとは、加護を見る限り火神様と戦神様だろう。こう言っては失礼だろうが、無限収納庫の中身を見れば、大体分かる。水神様に感謝である。
「あと、さっきから気づいてると思うが、魔境なのに魔物がいないだろ? 何も俺のせいってわけではないからな。転生してすぐに死んだらかわいそうってことで、魔神様が家の周囲に結界を張ってくれたそうだ。
ちなみに、悪意があるものを通さないだけで、悪意がなければ魔物も入ってくるから、しっかり判断しろよ」
魔神様にも感謝である。
でも、悪意がない魔物ってことは、魔獣の可能性もあるのだろうか。
「魔獣も人を襲うのか?」
「襲うぞ。神獣は聖域を脅かす存在以外は無視してるが、聖獣以下は討伐対象だ。神獣は特例を除き、神様の部下だから、討伐対象から外れる。
あと、言い忘れてた。この世界に、もう一種と言えばいいのか……生物がいる。それは、創造神様のペットだ。魔法も、種族特性の魔術を使う。この世界の下界の中では、三体の神様の次に強い。それに、部下とかじゃなく、創造神様の家族だからな。敵対は神罰の対象だ。
もう分かってると思うが、なぜこの話を今したかというと、この島が彼らの住処だからだ。この島は、二体のペットが住むために、創造神様がアバターを使って、可愛がるために創られたからな。気をつけるんだな」
創造神様のペットがいるとは、思ってもみなかった。だが、気持ちは分かる。俺もモフモフが好きだからだ。
それ故に、創造神様もモフモフしたいのだと、理解できる。ただ、規模が違いすぎるだけなのだ。
そういえば、ボムは見たことあるのだろうか。
「どんな姿か分かるのか? というか、住んでる場所が分かれば、近寄らなければいいのだから、分かるなら教えてくれ」
すると、何か考えながら話し出した。
「住んでる場所なら分かる。ここから見える、あの大樹が住処だ。あの大樹は、創造神様がペットのために植えた、精霊樹だからな。島の象徴だ。
ただ、姿をはっきり見たことはない。何やら真っ白な雲を魔術で創って、その上に乗ったり寝そべったりしながら、この島の見回りをしているらしい。俺が、見たのは寝そべった何かが、空を漂っていたのを見ただけだ。だから結論は、わからない」
精霊樹って世界樹とは、違うのだろうか。
まぁ近付かないようにしよう。
それが一番無難な気がする。
そんなことより、家の確認をしよう。
「じゃあ、家まで案内してくれ。他は、追々教えてくれよ」
巨大な熊と並んで歩きながら……
いざ! 新居へ!
目の前の建物を見て、茫然自失。
屋根と柱しかない。
えっ? 壁は?
すべてが入口で出口。
それでも、玄関には、申し訳程度にドアが設置されてる。
意味ある? これ。
むしろ、何でつけようと思った?
まさか、俺には透明に見えるだけで、壁があるのかも。
このオーシャンビューを楽しんでもらいたい、水神様の粋な計らい。さすが、海洋を司るだけはある。
恐る恐る、透明な壁に触れてみる。
そんなおかしな行動を見たボムは……。
「何してるんだ? バカみたいな行動して。そこには何もないぞ。それに、人はここから入るんだろ?」
呆れ顔のボムは、そういうとドアを開けて入ろうとする。
分かっていた。ただ、希望が少しでもあればと思ったのだが、どうやら混乱していたようだ。
そして一人恥ずかしい思いをしながら、ボムを見る。すると、入れる要素が全くない。それにも関わらず、一生懸命玄関を潜ろうとしている。
まず、ボムの身長と屋根の高さが同じくらい。
ドアの幅の二倍以上のお腹。
何をやっても入れないのは、目に見えてる。
むしろ、穴だらけの壁から入った方が、まだ可能性があるだろう。
「おい。そこのおデブさん。どうやってもそこからは入れないぞ(笑)」
今度はボムが、顔を赤くして恥ずかしがっていた。
「デブじゃねえ。家が小さいのが悪い」
そもそも今まで野生だったんだから、家に入る必要があるのだろうか。あと、大体巨大なやつについてる、サイズ変更スキルはないのか? と思い、聞いてみた。
「せっかく人と契約して、人と同じ行動をとれるのだから、人の国にあるダンジョンに潜ったり、文化に触れたりしてみたいじゃないか。創造神様も冒険して欲しいって願っているんだからな。
あと、そのサイズ変更スキルは、もっとデカいやつが過ごしやすいように、持ってることがあるな。ドラゴンとかな」
お前も十分デカいわ! と、心の中で叫んでいた。
過ごしやすいようにって、ドアを潜れない時点で、そのスキル必要だろう。と思いながら、何故こんな家になったかを考えると、一つの答えが浮かんだ。
神様の空間ってスゴイ開放的だったのだ。
何もない空間に、ポツンと机だけ。
その結果、これが理想で最適だと思っても不思議はない。
まぁ屋根があるだけマシだと思うことにしよう。
中を壁があるはずの場所から覗くと、水の樽と食料が入ってるらしき袋とナイフだけが置かれてる。床は一応張ってあって、布団らしき物もある。
ただ、横にいるコイツをどうしよう。
ワクワクしながら中を覗くデカい熊を見上げつつ、新しい相棒との新生活に一抹の不安を抱えながら、思いを馳せるのだった。
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やる気がみなぎります。