第二十一話 強者への道
翌朝目が覚めると、驚きの光景が目に飛び込んで来た。お腹の上に、カルラがいるのだ。スヤスヤと可愛い寝息をたてて、うつ伏せで寝ている。可愛い寝顔に和んでいると、テントの入口の隙間から覗く目が……。
昨夜争っていた方達だ。
羨ましげに見てくる、二人の視線をかわし、カルラをモフる。途中で目を覚ましたカルラは、キュイキュイ言って笑っている。くすぐったいのだろう。昨夜、新たなモフモフを求めてしまった、自分を反省する。目の前のモフモフは、こんなに素晴らしいのだから。
まぁこのままだと、視線だけで殺されそうだから、起きるとしよう。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「「……」」
コイツら寝てないだろ!?
まあ寝なくても大丈夫なんだろう。きっと。
まぁカルラと戯れている二人は放置で、顔を洗ったり、食事の用意をしたりする。朝は、パンと味噌汁だ。ボムのお気に入りのメニューで、カルラもパンが好きだからだ。準備を終え、みんなで食事も済ませたら、いよいよ修行の始まりである。
「とりあえず、二人のステータスを確認するとしよう。そして、無駄を省く」
「「ステータス」」
【名前】 ラース
【性別】 男
【年齢】 9歳
【種族】 人族
【職業】 テイマー
【Lv】 100
【魔力量】 測定不能
【魔法】 生活魔法
火炎魔術
流水魔術
雷霆魔術
時空魔術
幻想魔術
無限魔術
森羅魔術
暴嵐魔術
大地魔術
生命魔術
闇黒魔術
創造魔術
【スキル】
[ノーマル]算術Lv.10
採取Lv.5
魔力制御Lv.10
魔力把握Lv.10
身体制御Lv.8
短剣術Lv.7
武闘術Lv.10
魔闘術Lv.6
身体異常無効
精神異常無効
状態異常無効
物理攻撃無効
魔法攻撃無効
看破
隠密
心眼
[ユニーク]全言語理解
無限収納庫
神魔眼
テイム
全魔対応
異世界電脳
異世界百貨店
隠蔽EX
【称号】 転生者
新種聖獣「ボム」の相棒
星霊怪獣「ソモルン」の友
星霊怪竜「カルラ」の兄
賢者
【加護】 火神の加護
水神の加護
戦神の加護
魔神の加護
技工神の加護
豊穣神の加護
細工技術の成長補正【極】
完成品に補正【大】
植物の恩恵【精霊樹】
【名前】 ボム
【性別】 オス
【年齢】 150
【種族】 紅炎熊
【Lv】 210
【魔法】 大地魔術
火炎魔術
雷霆魔術
流水魔術
時空魔術
【スキル】
[ノーマル]言語Lv.10
魔力制御Lv.10
魔力把握Lv.10
身体制御Lv.10
剣術Lv.5
刀術Lv.5
槍術Lv.7
斧槍術Lv.7
大鎌術Lv.5
鎚術Lv.5
斧術Lv.8
棒術Lv.5
盾術Lv.4
武闘術Lv.10
魔闘術Lv.6
身体異常無効
精神異常無効
状態異常無効
物理攻撃無効
魔法攻撃無効
看破
隠密
心眼
超感覚
[ユニーク]擬人化
【称号】 神々の共犯者
転生者「ラース」の相棒
新種の聖獣への進化
星霊怪獣「ソモルン」の親友
星霊怪竜「カルラ」の父親
【加護】 獅子王神の寵愛
火神の加護
水神の加護
戦神の加護
魔神の加護
新たな加護が追加されて、新たな補正も追加されてるけど、おそらく豊穣神様の補正だと思われるものは、よく分からない。あとは、称号が増えた。ソモルンに対しての二人の称号の違いが、気になる。
それにしても、ボムは多才だ。
元々の種族の能力が、大地魔術を使って数多の武器を作り出し攻撃する、というものだった。そのため、二足歩行になったボムは、武器を作り出しては試すの繰り返しで、楽しんでいた。知らない武器や面白い武器を知りたかったようで、武器図鑑を異世界百貨店で買わされた。まあ、巨大で太った熊さんが、本を読む姿が可愛かったから、良いとしよう。
さて、先ほどから熟考している、プルーム様に視線を移す。
「ふむ。まず、ラース。お主弱いな。普通に、人族の中で暮らす分には構わんのだろうが、この世界は、甘くないぞ。しかし、そなたらの言う冒険なぞ、とてもできん。レベルが、ではないぞ。若いから仕方ないのかもしれんが、密度が違う。何もかもな。
おかしな魔術やギフト、ユニークスキルも十全に扱えぬなら、宝の持ち腐れじゃ。お主は、まず力の使い方とコントロールを覚えよ。あとは、それからじゃ」
的確に、俺の足りないところを見抜いてくるあたりさすがである。あのときの判断は、間違いではなかった。実際に、本格的な戦闘訓練をしたのは、ここ一年なのだ。しかも手探りの、自己流でだ。プルーム様の言う密度。時間ではないのだ。ならば、しっかりと身につけてみせる。改めて胸に刻み込んだ。
「さて、次はお主だな。ボム。まず、お主は馬鹿なのだな」
唖然である。
言われた本人も、俺も。
ただ笑っているのは、カルラだけだ。
それからも、呆れながら続けるプルーム様。
「お主は、進化前の種族を弱いと思っているようだが、それは違う。魔力量と質次第で、武装を生み出せる能力なのじゃぞ? 素材を問わずで。それを馬鹿みたいに鉄ばかり。魔術で作り出しているんだから、魔法金属くらい使え。
それにお主、防御用の武装を何故出さぬ。獅子王に聞いたぞ。丸裸で挑んできたってのう。鎧や武装も作り出せるようになれ。もちろん、魔法金属でだ。それが終わったら、属性魔術を纏わせられるようになれ。そこまでいければいいのう。
次に、お主は何故小さくならぬ? まさか、デカければ強いと思っては、おらぬよな?」
そこまで話して、最後にそう聞かれたボムは、そっと目をそらす。
「はぁ~。そんなわけないだろう。それなら、人間みたいに二足歩行歩行になる必要はないだろう。速度も遅いし、力も弱い。体を上手く使うのに、適した大きさというものがあるのだ。獅子王に憧れてるのは分かるが、彼奴は我々のお目付というのもあって、それ相応のデカさなのじゃ。
それに彼奴は普段、人型になって街に遊びに行ってるのじゃぞ? だから、そうだな。あんまり小さくなると、カルラが悲しむだろうから、二m半くらいでいろ」
途中、小さくなれとボムに話していると、カルラが悲しそうな顔をした。それを見たプルーム様が、昨夜大きくてかっこいい。大きくなりたいって言ってたのを思い出し、そう言い直した。
そう言い直したあとのカルラは、ぱあっと花開いたような笑顔になった。ほんわかしそうになるが、話は続く。
「飽き性なところは、獅子王に似ているな。照れるでないぞ。褒めてないからな」
照れだしたボムに釘を刺す。
「武術スキルを手当たり次第に取りおって。はっきり言って無駄じゃ。お主らには、裏技が使えるからな」
そう言われたボムは、本当にガーンと音が鳴りそうなくらい、ガックリと項垂れた。
その裏技というのが、またすごかった。
剣術や槍、弓などの武術スキルを全てレベル十まで上がると、スキルの統合でレベル表記がない、王術という上位スキルにすることができる。この王術スキルは、剣なら剣王術というように、名前を変える。そして、このスキルを持つ最強の者が、称号に聖の文字を刻まれるらしい。
このスキルを入手すれば、剣なら剣とつくもの全てのスキルを十全に扱えるそうだ。武技とかの段階ではなく、一振り一振りが、武技とかすようだ。はっきり言ってすごい。
その裏技というのが、色々と条件や要素があるなか、二人が共通しているものとしては、【戦神の祝福以上の加護】だ。
これなら達成済みだ。しかも最上級の加護で。
そしてそれぞれの条件というのが、次の通りだ。
【剣王術】 剣術Lv.8以上
刀術Lv.8以上
【槍王術】 槍術Lv.9以上
【撃王術】 斧術Lv.8以上
棒術Lv.8以上
【拳王術】 魔闘術Lv.7以上
ということだ。弓は今回は必要としないから除外した。そして、告げられた目標は、すごかった。特にボムが。
俺は、魔力を流すだけで発動する幻想魔術の使用を考え、拳王術を取得することはもちろん、何か武器をやれと言われ、剣王術を取ることに。
そしてボムはというと、全てだった。
それも少し小さくなってやれとのことだ。
しかも、ある条件をつけてきた。
試しにやってみたが、ぶっちゃけこれが一番キツかった。それは、常に体の周囲を魔力の膜で覆うことだ。均等な量と質、厚さで。もちろん寝るときも。最終的には呼吸をしているように、服の上からも、髪の毛の一本一本にも覆えるようになることを目標にしろとのことだ。それはボムには、地獄ではないか?
ちなみに、プルーム様含む三体の管理神はもちろん、神獣は当たり前にしているそうだ。それに加え、カルラ達星霊シリーズも。
そして始まる。地獄の修行の日々が……。
これからの日々を思い顔が引きつるラース。
一歩でも獅子王神に近づける期待に胸を膨らませ、不敵な笑みを浮かべるボム。
これから毎日の新鮮な経験を純粋な気持ちで、心から楽しみにしている、満面の笑顔のカルラ。
それぞれの思いを胸に、今、修行が始まる。
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やる気がみなぎります。




